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バトトルガ大統領が重視する外交方針


2018-01-08 15:02:18
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 昨年、モンゴル国民は自由選挙で第5代大統領を選んだ。モンゴルの国家政策における連続性が続いている。ハルトマー・バトトルガ大統領は、経済界から政界入りした初の大統領だ。これまでの歴代大統領は、ビジネス界との接点がなかった。そのため、バトトルガ大統領は産業と経済発展を重視する傾向があ る。バトトルガ大統領は、これまでに国会当選3回。閣僚として2度抜擢された経緯がある。
 大統領は経済関係の改善を目指す具体的な取り組みを実施する方針である。例えば、 関税や貿易取引価格の改新を重視している。モンゴルは地下と地上資源が豊富な国である。農牧業分野も潜在的な能力が高いが、技術的には遅れている。
 現在、モンゴルの製造業の振興が遅れているため、隣国に対して未加工の金、カシミ ヤ、皮革、銅、石炭などを輸出している。大統領は、これらの原料を先端技術による加工を施してから輸出するための合弁事業の実施を呼びかけている。さらに、大統領は技術導入によって付加価値が付いた製品を両隣国の市場へ輸出できる、と主張している。
 モンゴルは1990年まで、南の国境を閉鎖しており、北の隣国とのみ交流を持っていた。しかし、これまでの27年 間は北の隣国との経済関係が ほとんどなくなり、中国との経済交流に偏っている。新大統領はビジネス界の人間であるため、その取引が当事者相互に利益をもたらしてこそ、長く続くいう立場の人である。わが国は中国から多量のものを輸入している。大統領は、国産品と同様な製品の中国からの輸入に対して税制政策を取るべきであるとみなしている。モンゴルの製品が中国へ輸出の場合に20~35%税金を支払う。しかし、モンゴルへの輸入の場合に5%のみの税金を払う。毎年、モンゴルは1000万枚の毛皮を中国へ輸出している。しかし、羊の毛皮は最も安価であるため、モンゴルの農牧業分野が見捨てられていると、大統領は批判している。
 バトトルガ大統領は食糧・ 農牧業・軽工業大臣を務めていた際に、毛皮1枚に300米㌦までの付加価値を付けるプロジェクトを実施していた。スペインの製造技術を導入し、家畜皮革で最終製品を生産するプロジェクト案を作成し、試験も成功していた。モンゴル家畜の1000万枚の毛皮とは、遊牧民の収入源になるものだ。
 さらに、アルタンボラグ北部国境地点からザミーン・ ウーデ南部国境地点までの1100㌔の輸送回路に高速道路を敷設すれば、ロシアと中国間の貿易の流れの一部を輸送可能となる。また、鉄道事業もある。失業と貧困率を減らすには国内で雇用の場を多く設ける必要がある。新大統領は、中国との関係を今後も強化し、ロシアとの関係も中国と同様なレベルに持ち上げる目的である。大統領職就任直後、両隣国への訪問が予定だったが、昨年ロシアへの訪問が実現された。今年、中国を訪問する予定だ。モンゴルとロシア、中国間で経済回廊構築事業案は3年前からスタートした。1年前に3カ国間の協定が結ばれた。経済回廊は「 一帯一路」構想の重要な一翼を担っている。
 経済回廊構築の一環で、32件の案件の実施が計画されている。その大半はモンゴル領土を経由してロシアと中国を結ぶインフラ整備事業である。大統領は「第三の隣国」概念も引き続き強化すると意向だ。モンゴル及び欧州連合 (EU)間のパートナーシップ協力協定に欧州議会及び全加盟国が従っている。モンゴル産の7200品目の製品を非課税で欧州連合へ輸出する協定を締結したが、EUへの輸出品は 70品目に達してないことも事実だ。大統領はこうした事実に着目するほか、米国へ裁縫製品を非課税で輸出することを提案している。
 新大統領は、日本との関係において3つのことを強調している。まずはフシギーン・ フンディー地での新国際空港を速やかに開設することで、 両国の関係だけでなく、観光や経済分野の促進に大きく寄与すると、強調している。さらに、ゴビ・カシミヤ工場、ダルハン冶金工場のようなもう一つの工場の建設を要望している。モンゴルは毛皮、カシミヤ、地下資源などを未加工のままで中国に輸出している。製造業の振興を図り、ゴビ工場のような工場を建設できれば、原料を100%国内で加工できる。第二は458㌔になる新鉄道建設もモンゴル経済発展にとって戦略的意義のある事業である。第三は鉱業への日本一流企業による参入である。
 結論として言うと、バトトルガ大統領は外交政策において連続性と多元的で開放的なほか、産業界に優しい政策を取り続けている。モンゴルは民主主義国であり、政権が変わっても外交政策に変更はなかった。1994年に外交政策と国家安全保障概念を宣言し採択しており、これまでにこの公文書に従事して各国との協力関係を促進し続けている。
 
教授D.バヤルフー