「モンゴル日本共同「ビチェース」 プロジェクト22年の成果」特別展が開催
特集「モンゴル日本共同「ビチェース」プロジェクト22年の成果」特別展が国立民族歴史博物館で開催された。本プロジェクトは,1996年以来モンゴル側代表A.オチル氏と日本側の研究者が,モンゴル国に現存する突厥時代からモンゴル帝国時代に至るまでの碑文の調査・研究を行い、今年22年目を迎えた。
本プロジェクトは,モンゴル日本文化交流の分野で大きな成果と意義を有している。共同プロジェクトは、モンゴルに残ったモンゴル語、トルコ語、ペルシア語、漢語、チベット語、モンゴル語、キタン語、アラビア語などの諸言語で書かれた30ほどの碑文を発見し、6冊の報告書を刊行してきた,主たる研究対象は碑文資料だが,各時代の遺跡の調査も数多く行なってきた。今回国立民族歴史博物館で行われた特別展の後、展示された文物は発見された場所のゴビアルタイ県の博物館に寄贈される。その中で最大の成果は,モンゴル帝国時代の重要な軍事拠点であったチンカイ・バルガスの発見である。チンカイ・バルガスとは,チンギスハーンが1212年にウイグル人の功臣チンカイに命じてモンゴル西部のアルタイ地方に造らせた軍事拠点である。大規模な兵站基地として,1219年からのチンギス ハーンの中央アジア遠征を支えていた。本プロジェクトで文字が書かれた最古の石をドンドゴビ県、フレンハイルハン山で発見し、研究した。この文字は1929年の前、書かれたと研究者らは発表した。
2011年、プロジェクトの調査団がボラガン県のダシンチレン郡で木の樹皮に書かれた本の100ページを発見したことは本プロジェクトのもう一つの大きい成果である。発見された本を日本で再生し、解読した。また石に掘られた文字、岸壁に墨で書かれた文字などの沢山の記録も集まった。
2016年の発掘調査によって,仏像の一部と思われる足と手が出土した。そして,仏像の足付近で出土した家畜の骨片と,仏像の足の芯棒の木片のC14年代測定を行なった結果,骨片は13世紀のモンゴル帝国時代,木片はそれより古い年代であることが判明した。木片は実年代よりも古い時代を示すことがあるので,骨片と木片は同時代と考えられる。