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シリーズ第三  モンゴル・バサルト、家をまるごと包み込む優れもの


2017-05-18 18:58:56
画像  前回のMRブランドに引き続き、今回取り上げるのは「モンゴル・バサルト」社の「バサルト・ウール」である。近年、ウランバートル市内を見渡す限り、高層マンションが立ち並ぶ風景はどなたにとっても当たり前になっているのではないか。温度差の激しいモンゴルでこういった高層マンションの建設は、ままならぬ努力の結晶と言って過言ではない。特に、暖房設備や断熱材はこうした高層マンションの死活問題ともなる。モンゴル・バサルト社は、それまで外国からの輸入への依存が高かった建設資材市場において輸入代替資材の製造を手掛けて、独自の「バサルト・ウール」ブランドとして展開中である。これは、火に強く燃えにくい上、水を吸収しない軽くて耐久性のある優れた断熱材である。

ロック・ウールとは
 ロック・ウールは耐熱性に優れた高炉スラグや玄武岩などの天然岩石を主原料とし、高温で溶解し生成する人造物繊維である。約1100度の高温まで形状を維持できる耐熱性能があってその断熱性能も優れているため、建築物の断熱資材としてもっとも適したものとして評価されている。また、優れた吸音性がある。この資材は主に建築の断熱材として用いられる他、鉄道と飛行機、船、軍事品、機械、農作機械などにも使用されるケースもある。

ロック・ウール誕生の小史

 19世紀末期、アメリカ人のある学者はハワイ島マウナロア火山の斜面でウール状の繊維を発見した。それを機に欧米諸国でロックウールの繊維化技術の開発・研究が始まったとされる。世界におけるロックウールの生産は欧州で1880 年代に、米国では1900-1930年に生産・販売されてから主に住宅用断熱材等の用途に使用され続けて今日に至る。モンゴルにおけるロック・ウール製造は、モンゴル・バサルト社創設由来である。
 同社創設者であるL.アリウンボルド社長(技術士)はロシアと中国、デンマークやその他ヨーロッパ諸国における製造工場などを調査し、「ロック・ウール製造工場建設事業」に関する計画書をまとめて「モンゴル・バサルト」社を設立した。

モンゴル・バサルト社のバサルト・ウール製品について

 21世紀の人はその人生の約8割近くを屋内生活を送っているという。この慣習をもう変えられない以上、生活を送る上でそれなりの利便性の高い住まいを居住条件とするのが当然するだろう。安全性と便利性が確保された住まいも市場ニーズも高いことは言うまでもない。こういった住まいを実現させようとしているのは、モンゴル・バサルト社で、断熱資材として「バサルト・ウール」ブランドの開発だ。同社の理念は、省エネで熱漏れを防ぐ保温資材の開発と製造で地球温暖化防止、二酸化炭素の排出量削減、ウランバートル市の大気汚染の解決策への寄与である。そのため、国が手掛ける開発事業や民間の建設事業に対して積極的に関わっているという。例えば、同社は「ジェンコ・ツアー・ビュロ」社が建てたツォンジン・ボルドグにある「チンギス・ハーン像」やウルグー映画館の拡張事業、ウランバートル・デパート、シャングリ・ラ・ホテル、ラマダ・ホテル、ジグール・グランド、新国際空港などの建設工事に製品を納入した。

バサルト・ウールは優れもの
 ボード状ロック・ウール断熱材の製造工場能力は、一分間で6平方㍍で、一日で約2880平方㍍、年間で約72万平方㍍である。工場の心臓部分となる機械設備は、日本の三菱社から納入した全自動成形機である。同社は、市場ニーズがもっとも高いとされる厚さが4種の壁用ボード状ロック・ウールと屋根用ボード状ロック・
ウールを製造している。今、市場ニーズに応じた増産や新製品の開発も検討中。今後、従来の8000㌧の生産能力を2年間で年間約2万㌧以上にする工場拡張を行っているほか、2016年2月12日に保温材製造の新たな工場を稼働させており、ウランバートル市内暖房用の温水供給管の保温実験も完了した。
 アリウンボルド社長は「製品に関して温水管の熱移動や伝達を外気から完全に遮断できる優れた保温性がその実験で確認された。これまで市内の温水供給管のほとんどに保温材に適しない資材を用いるため、それで送られる温水の45%~48%を失っている。いかに温度を保つかは重要な課題だ」と述べた。また、同社は日本に対して断熱材を輸出しており、日本の顧客からも「品質良い」との高い評価を受けている。

製造ノウハウは高い!
 主な原材料となる玄武岩をウランバートル市にもっとも近いとされるトゥブ県バヤンデルゲル郡にある鉱山から採掘している。同鉱山の採掘可能な埋蔵量は約250年分といわれている。原材料の玄武岩は決して高くはないが、工場設備投資より製法だけで約400~1200万米㌦が要るという。

新製品、ロック・ウール吹付け

 同社は、展開している断熱材「バサルト・ウール」の性能をさらに向上させた新製品「ロック・ウール吹付け」を開発した。この製品は、住まいの隅から隅まで家全体を覆う現場吹き付け発砲による断熱資材である。環境にやさしく、断熱性と耐水性が優れたこの製品は、建築物や機械などの断熱材にもっとも適したという。


「趣味の実現化」に成功したアリオンボルド社長

「90年代の初頭、同級生らが商売で稼いでいた時、自分はトロリーバス営業所で自動車グラスを独自に開発し
た炉に入れて実験に夢中になっていた」と語るオラル技術大学の卒業生であるアリウンボルド社長は、自分の趣味を活かし、それを成功させた企業家である。モンゴル一般高校300校に科学実験室を設けて、卓越したエンジニアたちの育成に寄与した。社長は「創造力は前進の元となり」と若手エンジニアの教養が国の発展にとってもっとも大事だとのことを語った。