テレルジで出会った一頭の「先生」
モンゴル・ストーリー
(ウランバートル市、2026年2月13日、国営モンツァメ通信社)私はT.エルデネトヤと申す。マーケティングマネージャーであり、心理学者でもある。かつての私は、内向的で単調な日々を送っていた。その生活を大きく変えたのが、テレルジで体験した一度の乗馬であった。
初めて馬に乗るとき、私は「言うことをよく聞き、足取りが軽く、背の高い馬に乗りたい」と願った。すると、まさにその条件に当てはまる栗毛の馬が現れた。
馬に乗ると、心が満たされ、体が引き締まっていくのを感じる。澄んだ空気の中で過ごす時間は、精神にもよい影響を与えてくれた。私は、無理にジムへ通うよりも、週に一度は必ず乗馬をしようと決めた。それ以来、行くたびに、あの栗毛の馬を探して乗るようになった。
私は馬に声をかけたり、するのが好き。やがて、私が手綱に近づいて口笛を吹くと、その栗毛の馬はひとりで跳ね上がり、私の存在に反応するようになった。馬ガイドが40人分の乗馬の準備をしている最中に、その馬が自ら手綱を引いて私のもとへやって来たこともある。栗毛の馬に会いに行くたび、まるで大切な人に会うかのような胸の高鳴りを覚える。
かつて競走馬だったその馬に、私は「ソムフー」と名付けた。ソムフーは、私に乗馬を教えてくれた馬であり、私にとって「先生」のような存在である。
幼いころ、馬から落ちた経験があり、恐怖心を抱いていた私を、ソムフーはからかうように走らせ、立たせ、時には両足で立ち上がることまで導いてくれた。「できた」と思うと、また新しいことを教えてくる。その繰り返しの中で、私は少しずつ自信を得ていった。
馬という生き物は、非常に強いエネルギーを持っている。馬に乗って走ることは、人に圧倒的な活力を与える。一日何も食べずに過ごしていても、馬から降りるころには心が満たされ、まるで食事を終えた後のような満足感が残る。
その強いエネルギーに触れるたび、人は力を与えられるというより、内側にある力を引き出されているのではないかと感じる。ソムフーは、私をカリスマ性や目標への意欲、人生に対する積極性を持つ人間へと変えてくれた。
現在、私は乗馬アーチェリーのクラブで練習を重ね、十分に馬を操れるようになった。それでも今も、私はソムフーに会うためだけに、テレルジへ足を運んでいる。
モンゴルには「馬は人を選ぶ」という言葉がある。馬のことをよく知らなかった都会育ちの私を、ソムフーがいつ「自分の人間」として選んだのかは分からない。
それでも私は、いつかソムフーを本当の意味で自分の馬にできる日を、静かに夢見ている。
