フンヌビービイェルゲー舞踊は 世界的になるでしょう
特集
モンゴルの伝統的な舞踊であるビービイェルゲーの歴史、魅力、発展などについて、ナトルダンスプロダクションの創立者兼、モンゴル国立文化芸術大学教員M.ムングンツェツェグ振付師にインタビューした。
――まずは歴史から知りたいですが、ビービイェルゲーはいつごろに生まれたのですか?
具体的には、紀元前モンゴルに存在していたフンヌ(匈奴)、シャンビ、ジュジャンなどの古代国家時代に生まれたとみなされています。当時、ビービイェルゲーというより、ブジグ(舞踊)と言われていた。1077年に著わされた辞典にはブゼイ(buzi)という言葉があります。フン語ではJ、Z、TS、CH字の発音が同じで、J、Z字が統一され、G字が追加されてBujig(ブジグ)となりました。そのため、ブジグという言葉は約1000年前から使用されてきたことが明らかになりました。ブジグは古代モンゴル語の言葉で、「ある、存在する」という意味を表します。ビイェルゲーとはビレグという植物の名称です。
――ビービイェルゲーには多くの種類がありますか? どのように伝承されてきましたか?
モンゴル人はビービイェルゲーをオイラド族の舞踊だと思いがちです。実は、これはモンゴル国民の舞踊なのです。方言により、言い方が異なる多種類のビービイェルゲーがあります。モゥルグル(祈り)ビイェルゲーが一番共通していて、モンゴルの各民族にはぞれぞれの特徴を表すジョロー(馬の歩き方)というビイェルゲーがあります。
――ビービイェルゲーの魅力は何ですか?
我々は馬の歩き方を足で完全に表すことは出来ないです。肩、肩甲骨、肋骨の動きで馬の歩き方を表現することがビービイェルゲーの魅力です。ビービイェルゲーには肩や上半身の動きが欠かせないものです。
――ビービイェルゲーは他の国にありますか?
オーストラリアとアフリカの先住民族の間で広まっています。だが、モンゴルビービイェルゲーは独自の魅力を持つ世界唯一の舞踊です。朝から夜まで、日常生活での行動を反映しているように踊ります。
――モンゴル人は柔軟性が高いといわれます。これはビービイェゲーに関係していますか?
モンゴル人は高地に住んでおり、寒暖の差が激しい気候を乗り越えます。これにより、モンゴル人の身体は柔軟性に富んでいます。ネコ目と食肉目に所属するオオカミやヒョーも柔軟性がとても高い。このため、モンゴル人の柔軟性は食事に関係しているかもしれないと思われています。気候により、モンゴル人は冬によく肉を食べます。私は台湾の大学でダンサーの教師を務め、台湾のプロダンサーたちにビービイェルゲーを教えました。何度も教えたけれど、肩甲骨と肋骨の動きは鈍いように感じました。一方、モンゴル人ならこれらの動きをすぐ習得します。だから、ビービイェルゲーはモンゴル人の身体に適した素晴らしい芸術と言えます。台湾だけでなく、オランダ、ドイツ、中国、ロシアでビービイェゲーを教える時、動きを教えますが、ビービイェゲーのしとやかさはなかなか伝えられなかった。
――ビービイェルゲーの意義については?
これは私が過去10年間、研究しているテーマです。ビービイェルゲーはモンゴル人だけではなく、外国人の身体にも適する。ビービイェルゲーを踊る時、肩、肩甲骨、肋骨を動かすため、これに沿って脊椎、静脈も動き、体内に入り込んだウィウルスや汚れた空気が外へ発散されます。クラシックダンスでは全身を引き締めることが重要
です。一方、ビービイェルゲーは全身を解放し、筋肉と器官を心の内で感じます。私の先生D.ナンジド氏は、「ビービイェルゲーを踊っている人の身体が動き、心の内が歌っています」と言っていました。つまり、身体を動かしながら、自分について振り返ることがとても健康的なのです。モンゴルで多数のヨガ、クラシックダンスのクラブができているのは嬉しいですが、健康に注意したい場合、モンゴル人にとってビービイェルゲーはとても有意義です。風邪を引かないです。大気汚染レベルの高い都市では自分たちの健康を大事にして、ビービイェルゲーを学ぶと良いです。これについては医学の観点から研究する必要がありますね。
――これまでの発達と改革については?
ビービイェルゲーは2008年に、ユネスコ(UNESCO)の緊急保護リストに登録されたが、その後、十分に発達したとは言えないです。ビービイェルゲーの発達は美術研究者、プロダンサー、大学教員次第だと思います。最近、私はユネスコ北京事務所の主催による無形文化遺産の研修に参加し、我々が文化遺産保護者だということを実感しました。私は50余りのビイェルゲーを知っています。これに関する研究で、モンゴル西部の数県を廻りました。近年、数多くの新しいビービイェルゲーが生まれていま
す。そのため、民族ぞれぞれの特徴を持ったビービイェルゲーを他の民族のビービイェルゲーと混ぜないで教えることや、ビイェルゲーのしとやかさを保ち、伝承させていくのがとても大切と考えています。
――いつからビイェルゲーを教えていますか?
私は7歳から踊り始め、42年間、この芸術に携っています。大学の時は、ビイェルゲーにあまり興味を持っていなかった。1993年に、ナンジド先生がビイェルゲーを教えている時に初めて興味を持ち始め、それ以降、モンゴルのモンゴル伝統舞踊に関わっており、モンゴル国立文化芸術大学で15年間、教師を務めています。うちの大学の
ダンサー部では年間40人から60人が卒業し、その半数は私の生徒です。
――The Huバンドがモンゴルの伝統芸術で世界中に注目されています。これと同じように、モンゴル人は踊り及びビイェルゲーで世界的に知られる可能性がありますか?
あると思います。私はオーストリアのウィーンで教師を務め、国際振付師にビービイェルゲーを教えました。その時、「先生、どこでこのモダン運動を学びましたか?」とよく質問されました。これはモンゴルの伝統舞踊ですと言ったら、わずか3~5分で全身が暖まり、血行が良くなり、筋温も上昇することに驚いていました。短期間で身体を暖めるとどんな運動をしても、ケガなく続けることができ
ます。
――ありがとうございました。今後の活躍を期待しております。
モンツァメ記者J.ボロル