2020年、国内10大ニュース
特集
国営モンツァメ通信社は2020年にモンゴル国内で起きた10大ニュースを発表した。
1.モンゴルを見逃さなかった新型コロナウイルス感染症
世界を動揺させた新型コロナ ウイルス感染症対策とし、モン ゴルは初めて防災の全国準備態勢(全国警戒態勢)に移行し、ウランバートル市の97%がロックダウンになった。 今年3月にモンゴル入りしたフランス人に新型コロナウイルス感染症の陽性が確認されたのが、初の事例となったが、中国で発生した時期からモンゴルは国境を閉鎖し、各種イベントなどの開催制限のかげで10ヶ月間 国内感染がなく、耐えて来た。 11月11日に隔離施設から出た 国際輸送の運転手及び配偶者に新型コロナウイルス感染症の陽性が確認され、初の国内感染になった。当日から全国警戒態 勢に移行し、新規感染者数が減り、規制はできたということで12月16日に高度準備態勢に引き下げた。しかし、首都ウランバートルのバヤンズルフ区病院で新規感染者が確認されたため、 首都ウランバートルが12月23日~来年1月6日まで再びロックダウンとなった。 防疫時に住民の生活、企業の 運営に支障が生じたため、政府 が全世帯、一部企業の光熱費と給水の前年同月分と同額を2020年12月1日から2021年7月1日まで負担する。ちなみに、これまでモンゴルがチャーター便を運 航し世界80各国から2万1000人余りの住民を帰国させた。
2.パンデミック時の訪問
世界的流行の新型コロナウ イルス感染症が中国で猛威を振るっていた2月27日、ハルト マー・バトトルガ大統領が同国を訪問し、防疫時に外遊した初の首脳になった。訪問の際、バトトルガ大統領が習近平国家主席と会談し、共同でコロナ対策に関して意見交換するほか、モンゴル国民から中国に羊3万頭の寄付を表明 したのが、国際社会ではSheep Diplomacy(羊外交)と呼ばれ た。大統領がスタートした訪問の次に、ニャムツェレン・ エンフタイワン外相のロシアへの訪問、中国の王毅外務大臣のモンゴル訪問と日本の茂木外務大臣のモンゴル訪問などが続いた。
王毅中国国務委員兼外相が9 月15日~16日、「モンゴル・ 中国両国政府間のモンゴル・中国国境検問所、その規制関連の協定改正」に関する公文書を交換するほか、経済・技術協力に向けた両国政府間の協定締結、両国の外務省間の2021年~22年度協力計画 、中国への小麦粉輸出における検査及び検疫条件に関するモン ゴルの行政管理庁、中国の関税庁間の協定書に署名した。モンゴル・中国国境検問所、その規制関連の協定改正により、ザミーンウーデ~エレン (中国語名:二連)国境検問所のほか、ガショーンソハイト~ガンツモド(甘其毛都)、シベーフレン~セヘー(策克)、ビチグト~ズーンハタブチ(珠恩嘎達布其)という3ヶ所の国境検問所が開通し、両側の輸出入、経由輸送量増加の後押しとなった。ニャムツェレン・エンフタイワン外相は9月21日~22日にかけて、ロシアを正式訪問した。訪問では2019年9月にハルトマー・バトトルガ大統領、ロシアのウラジーミル・ プーチン大統領が署名した「友好関係・包括的・戦略的パートナシップに関するモンゴル国・ロシア国間協定」の批准書を交換することで同日から有効となった。さらにモンゴル・ロシア・中国の「経済回廊」構築に関する各事業促進、「パワ ー・オブ・シベリア2」ガスパ イプライン建設事業フィジビ リティースタディー(F/S)の早期作成に尽力することで合意した。
なお、日本の茂木敏充外務大臣がモ ンゴルのニャムツェレン・エンフタイ ワン外務大臣の招請により、9日と10日 の両日にモンゴルを公式訪問し、両側は日本政府が新型コロナで経済的影響を受けたモンゴルを支援することを目的とする250億円の緊急支援円借款供与に関する交換公文書に署名した。
3.総選挙2020年:与党による政策続く
モンゴル人がモンゴル国憲法における選挙権と被選挙権を行使し、国権の最高機関となる国会を今年6月24日、8回目として選んだ。選挙結果では、モンゴル人民党の現与党が政策を引き続ける義務を負った。詳しくは、モンゴル人民党が62議席(前回65議席)で圧勝し、民主党が11議席(前回9議席)を獲得した。そのほか、モンゴル人民革命党、市民勇気・緑党、モンゴル伝統統一による「我が連合」からサインフー・ガンバートル(元国会議員)、全国労働党と社会民主党、正義党による「正しい人間•エレクトラト連合」からトグミド・ドルジハンド(全国労働党理事長)、無所属立候補者にノロブ・アルタンホヤグ氏(元首相)がそれぞれ当選した。
また、10月15日に行われた地方選(県・都、郡・区議会)の結果、モンゴル人民党がウランバートル市議会の45議席の34議席を獲得するほか、全県21の13県の県議会の与党になった。なお、民主党が8県で勝利するほか、ウランバートル市議会で8議席を獲得した。そのほか、全国労働党がウランバートル市議会に3議席を初めて獲得し、選挙に成功を収めた。
4.匈奴帝国の都とされる遺構発見
ウランバートル大学考古学部のP.イデルハンガイ考古学者が率いる研究チームがアルハンガイ県ウリジート郡郡庁所在地から西南へ10㌔の場所で発掘調査を行ない、「天子・シャンニュ(単于)」と刻まれた飾りの破片を発見した。このことから、初の遊牧国家「匈奴」の首都であるルンチェン、つまりロウトホト(竜の都の意味)の遺跡を発見したと7月17日に発表した。イデルハンガイ考古学者らはオルホン、タミル、ハンユ、フンウイ河川流域で10年かけて匈奴時代に属する墓地、古代都市の位置を詳細に調査し、古代都市の遺構を2017年に初めて発見した。研究チームは研究や調査発掘を重ねてうえでこのように「天子・シャンニュ、空のように永遠に万歳」という文字の飾りを見つけたのである。チームは普通の貴族の宮殿を「天使・シャンニュ」と飾らないとみなし、3年の調査結果を「竜の都」のルンチェンだと発表した。
5.モンゴル発展のモデル「ビジョン2050年」
5月13日の通常国会で「ビジョン2050年」モンゴル国家長期開発計画が採択された。30年後の開発ビジョンという長期的な視野に立った国造りには、政府機関及び業界団体、大学・研究機関、各分野の専門家や研究者ら、総勢1500人が尽力した。モンゴロル協同組合(1914年)、大藏省(1924年)、国家開発委員会が1945年以降の8回の5ヶ年開発計画など500の開発計画が統合され、これらの成功と失敗を踏まえ、作業におよそ8カ月をかかった。この意味でモンゴル帝国の歴史と遊牧文明、特有性と世界の発展理念を両立した「モンゴル独自の開発」となったと、オブザーバーはみている。
長期的開発には、国民の共通価値、人間開発、生活水準と中間層、経済、ガバナンス、グリーン開発、安心できる社会、地方再生、ウランバートル市と衛星都市構想といった9の目標と47の目的を設置し、2021年~30年、31年~40年、41年~50年と10年ごとに3区分し、目標達成に向けて段階的な行動を実施する。
過去30年、モンゴル国の経済が鉱業に依存していた。現在もそうであり、世界市場における原料価格の変動がモンゴルの経済に直接影響する。これに従い、今後30年
1. 経済の偏見構成、不安定な成長を解決するには付加価値を付けた鉱業、その関連メガ事業
2. 農業分野を含めた重・軽工業、食糧と3種類の加工産業
3. エネルギー分野
4. 輸送ロジスティクス
5. テーマ別の観光、それに伴うサービス、中小製造業
6. 有能で創造性のある経済を経済優先分野だと発表し、特別に政策支援する。
これにより、1人当たりのGDPを現在4000米㌦から、2030年に1万2000米㌦、2050年に3万8000米㌦に引き上げ、アジア太平洋地域で高い競争力を有する国になると計算している。
6.モンゴルと米国間の戦略的パートナシップ強化
合衆国議会における米国・モンゴル議員連盟の提案により、今年9月4日に米国下院に提出された「米国・モンゴル間戦略的パートナーシップ強化」決議案は12月7日付けの米国下院本会議で採択された。
2019年のバトトルガ大統領による米国訪問では、両国関係を戦略的パートナーシップレベルに引き上げたことと米国・モンゴル間の同宣言を発表した。この決議案は戦略的な利益、民主主義、価値観、グッドガバナンス、人権尊重に関する原則に基づき強化されている両国の関係拡大に重要な役割を果たすとともに、合衆国議会に上程された「第三隣国貿易に関する法案」審議経過の後押しになる。この法律はモンゴル産のウール・カシミア製品が米国市場へ無関税で輸出されることを目的としている。
7.E-モンゴリア国家電子サービス導入
通信・情報技術庁は、181種の国家サービスをオンラインで提供するE-モンゴリアシステムを10月2日に導入した。同システムはホームページとケータイアプリの両方で利用できる。これまで住民は国家サービスを受けるに平均30分費やしていたが、ホームページやモバイルアプリなどを使えばわずか5分で受けられる。今後、492種類の国家サービスの移行を目指し、国会イノベーション電子政策常任委員会は春季通常国会で電子移行の包括法案を作成している。包括法案には情報安全保護法案、データ保護法案、国家電子利用法案が含まれている。
国家サービスが完全電子化に移行すれば、事務用品費や輸送費から最低年間100億トゥグルグが節約される。
8.首都ウランバートルの大気汚染5割減る
近年、世界で最も大気汚染が深刻な都市としてランキングされていたウランバートルの大気汚染は2019年~2020年の冬に5割減った。モンゴル政府は2018年に第62号閣議決定で、2019年5月15日からウランバートルに生石炭の使用を禁止し、改良固形燃料豆炭を導入したのが大気汚染削減の重要な進歩となった。ゲル集落の22万世帯が年間120万㌧の生石炭を燃焼していたのが大気汚染原因の8割を占めていた。なお、昨年からタワントルゴイ・トゥルシ社が首都6区に、改良固形燃料豆炭を導入した。さらに政府は今年12月8日、改良固形燃料豆炭生産の第2の工場を開設することで、ウランバートルの全区に燃料提供できるようになった。新型コロナの影響のため、改良固形燃料豆炭の価格を75%引き下げている。従い、ウランバートルの大気汚染は8割減ると推定している。
「ビジョン2050年」モンゴル国家長期計画の主要目標の一つはインフラ開発であり、同分野で数件の事業を成功裏に進めている。その一つはズーンバヤン~タワントルゴイ414.6㌔の鉄道敷設で、ウランバートル鉄道公社のエンジニアらが今年11月30日現在100㌔を終了させた。事業は2022年に竣工予定であり。タワントルゴイ炭鉱の石炭のほか、鉄道沿いの直系30キロ以内にある炭鉱群を開発し、経済を支えるほか。鉄道輸送量も伸びる。10年前から原油採掘国になったモンゴルが一歩進み、製油所建設事業計画、エンジニアリング設計の段階から建設段階に移行した。詳しくは、今年10月に第一の“EPC-1”契約(設計エンジニアリング・調達・建設)を結んだ。
10.FATFグレーリストから解除
モンゴルがマネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)のグレーリスト入りから10月23日、削り除された。FATFは2019年10月、マネーロンダリング及びテロ資金対策において戦略的欠陥があると、モンゴルをグレーリストに追加発表したが、モンゴルは1年以内にこのようにリストから削り除された。具体的に、法執行機関の幹部の解任、法廷での金融犯罪の迅速な解決、司法改革に関連する法案の審議などを評価し、FATF総会に参加した130か国及び国際機関の代表らが100%の支持でグレーリストから除した。