2025年 国際10大ニュース
特集
(ウランバートル市、2025年12月23日、国営モンツァメ通信社)国営モンツァメ通信社は、2025年に世界で起きた10大ニュースを選定した。
1.トランプ氏再登板、関税強化とロシア・ウクライナ情勢が焦点に
共和党のドナルド・トランプ氏が米国第47代大統領に就任し、その政策運営が国際社会の注目を集めた。就任直後に打ち出したのが、輸入品に対する関税の大幅な引き上げである。新たな関税政策は主要な貿易相手国を含む幅広い国・地域を対象としており、各国との通商交渉が相次いだ。
また、トランプ大統領は就任直後、ロシアとウクライナの紛争終結に取り組む姿勢を表明した。8月に、米露首脳が2021年以来となる会談を行い、トランプ氏とプーチン大統領がウクライナ情勢の調整について協議した。
トランプ政権はさらに、紛争終結を目指す包括的な新計画を策定し、関係国との協議を進めている。
2.米国出身者が初のローマ法王に就任
ローマ・カトリック教会でラテンアメリカ出身として初の法王となったフランシス法王が、2025年4月21日に逝去したことを受け、後継法王の選出が世界的な関心を集めていた。
バチカンで、70ヵ国から集まった133人の枢機卿によるコンクラーベ(秘密選挙)が規定に基づき非公開で行われ、その結果、ロバート・フランシス・プレヴォスト枢機卿が第267代ローマ法王に選出された。
新法王は米国生まれとして史上初で、教会はその即位名を「レオ14世(Pope Leo XIV)」と発表した。
3. 金価格、史上最高値を更新
来年2月受渡しの金先物価格が4300米㌦を突破し、前年第4四半期の平均価格(2663米㌦)と比べ約63%の上昇を記録した。これに伴い、銀の価格も史上最高値の62米㌦に達し、前年同期比100%以上の上昇となった。
専門家は、金価格上昇の背景として、米連邦準備制度(FRB)が年末までに政策金利を合計で75ベーシスポイント引き下げる可能性があるとの見方、米㌦安、さらに米国の労働市場指標が予想を下回ったことを挙げている。特に8月に失業率が1.5%上昇しており、このような要因が金価格を押し上げたと分析されている。
4.地球温暖化で自然災害の発生頻度が増加
2025年、世界各地で自然災害が相次ぎ、気象に起因する危険現象の発生頻度が増加した。
年初に、米カリフォルニア州ロサンゼルスで大規模な山火事が発生し、約1万6000棟の建物が被災した。被害総額は同市の3年間の予算に匹敵する規模となった。ヨーロッパでも山火事が多発し、100万㌶以上の森林が焼失した。
更に、2004年の津波以来見られなかった大規模な自然災害が、年央から10月にかけて東南アジア各国を襲った。サイクロンや豪雨により、インド、ネパール、インドネシア、タイ、スリランカ、マレーシア、ベトナムでは洪水や土砂崩れが多発した。これにより1400人以上が死亡し、多数が行方不明となったほか、数百万人が住居を失い、経済や環境に甚大な被害が生じ、人道危機に発展した。
5.インド、世界第3位の経済大国に躍進
Lowy Institute研究所の調査によると、インドは経済規模で日本を上回り、世界で第3位の経済大国となった。経済成長率は6.9%と高水準を維持している。ジェフリーズ、JPモルガン、S&Pグローバル・レーティング、モルガン・スタンレーなどは、名目GDPで2027年に世界第3位となり、2030年に約7兆米㌦に達すると見込んでいる。
人口面でも、2023年に中国を上回り、消費市場が急速に拡大した。中間層・高所得層の世帯数は増加しており、裕福な市民は1億人に達すると予想される。平均年齢は28~29歳で世界平均より若く、豊富な労働力を背景に、今後数十年間にわたる持続的な経済成長が期待されている。
インド政府は2047年までに先進国入りを目指し、農業中心の経済から製造業・ハイテク分野をリードする国への転換を進めてい.
6.ガザ地区で停戦
イスラエルとハマスは、エジプト、カタール、米国、トルコの仲介により、ドナルド・トランプ米大統領が提示した和平案の初期段階を実施することで、10月9日に合意した。従って、ガザ地区で約2年間続いた戦闘は10月10日から停止した。
トランプ大統領は声明で、「世界各地で起きていた8つの武力衝突をわずか8ヵ月で停止させ、多くの命を救った」と述べた。対象となった紛争は、アゼルバイジャン・アルメニア、カンボジア・タイ、コソボ・セルビア、コンゴ・ルワンダ、インド・パキスタン、エジプト・エチオピア、イスラエル・イラン、イスラエル・ハマス間の武力衝突であるという。
一方で、タイのアヌティン・チャーンウィラクル首相は、停戦宣言後も、自国領土や国民への脅威が完全に解消されるまではカンボジアに対する軍事行動を継続すると発表している。
7.日本初の女性首相誕生
2025年の国際政治を象徴する出来事として、東アジアで相次いだ政権交代が大きな注目を集めた。
日本で10月21日、自由民主党の新党首に選出された保守派政治家の高市早苗氏が、国会での首相指名選挙を経て第104代首相にに就任した。日本で女性が首相に就任するのは初めてであり、政界のみならず国際社会からも歴史的な一歩として受け止められた。
一方、韓国で政権の大きな転換が起きた。2025年4月、韓国憲法裁判所は尹錫悦大統領の罷免を決定した。同大統領は2024年12月、非常事態宣言下で政治的混乱が続く中、職務を離れていた。
憲法の規定に基づき60日以内に実施された臨時大統領選挙で、最大野党「共に民主党」の李在明氏が勝利し、新大統領として就任した。
8.オーストラリア、16歳未満のSNS利用を禁止
オーストラリア連邦政府は、16歳未満の子どもが「TikTok」「YouTube」「Instagram」「Facebook」などの主要なソーシャルメディアにアクセスすることを禁止する法律を施行した。子どもの年齢確認を含む利用管理の責任は、各プラットフォーム運営企業に課される。
この法律は、国家レベルでSNS利用を年齢制限付きで全面的に規制する世界初の試みとされており、違反した企業には最大4950万オーストラリアドルの罰金が科される。
この禁止措置は、オンライン上でのいじめや誤情報の拡散、暴力的・性的な不適切コンテンツから子どもを守ることが目的だという。
9.AIブームの年
2025年、人工知能(AI)は「未来の技術」の域を超え、日常生活に深く浸透する実用的な存在となった。技術の進化は著しく、長年この分野に携わってきた専門家をも驚かせている。
AIは、文章や画像などのコンテンツ生成をはじめ、医療分野での病気の診断支援、自動運転車の制御など、幅広い領域で活用が進んだ。
従来は特定分野の意思決定を補助する役割にとどまっていたが、近年は汎用的なシステムへと進化し、経済、教育、医療、更に創造的活動の在り方そのものを変えつつある。
最新の統計で、2025年の市場規模は前年比38%増の約2000億米㌦に達し、過去5年間で約5倍に成長したとされる。今後も拡大が続き、2030年に1.5〜2兆米㌦規模に達するとの予測も出ている。
AIの普及に伴い、関連産業への投資も活発化している。特にAI向け半導体を手がける企業の市場価値は大きく伸び、米国の半導体大手エ(NVIDIA)は企業価値が初めて4兆米㌦に達したと報じられ、世界の株式市場で大きな話題となった。
10.がん治療に大きな進展
2025年は科学分野で相次いで重要な成果が報告され、宇宙研究や物理学、バイオテクノロジー、医療など幅広い分野で研究の前進がみられた。
中でも医療分野で、米国の研究チームがCRISPR(クリスパー)遺伝子編集技術を用いた治療により、乳児のまれな遺伝性疾患を治癒させたとする発表が注目を集めた。
がん治療でも進展があった。卵巣がんの希少型に対し、複数の薬剤を組み合わせた新たな治療法が開発され、患者一人ひとりの特性に応じた個別化医療が前進したと報じられた。
一方、考古学の分野で、英東部サフォーク州での発掘調査により、ネアンデルタール人が約40万年前に火を使用していたとみられる痕跡が確認された。現存する中で最古級の証拠とされ、人類史研究に新たな知見をもたらした。
宇宙分野でも成果が相次いだ。新型宇宙望遠鏡「ジェームズ・ウェッブ」は、これまでにない高精度で星雲の観測に成功し、ビッグバンから約2億8000万年後に形成されたとされる最遠方の銀河「MoM-z14」を発見したと発表された。
Ulaanbaatar