2017年は、モンゴルにとって挑戦の年 ! ( 1 )
経済
開発促進、チンギス国債の償還
彼らは、経済発展に関しては異を唱えるものの、根本的なところでは、モンゴル経済の主力エンジンが故障中で、その財政は非常に厳しいという面で、2017年は挑戦の年だというところで合意している。彼らの見解では、2017年は好調と不調を繰り返すが、重要なカギは国家政策の安定性である。政治勢力で左右されてしまうような政策決定は経済を不安定に揺るがす。政策決定は慎重でなければならないと懸念を促す。
この大事なタイミングで、国会は全220項目から成る経済の救済を図る計画を決定した。立案者は、この計画が短期的に経済困難から脱却及び構造改善に向けると説明している。さらに、財政難克服計画の中枢は、いうまでもなく財政及び為替相場の安定化と金採掘量の増加、メガ・プロジェクトの促進化である。これに対して、国内では賛否両論がある。一部は経済効果は絶大に支持するが、一方で短期間措置は問題の本質と向き
合っていないとして批判的だ。
圧し掛かってくるチンギス国債の償還5億8000万米㌦をはじめとする債務履行で2017年は本当に厳しい年となる。償還期間が30~40年の低利息の国債発行によるインフラ整備推進が先進国では通説であるが、モンゴルの場合は償還期間が短い上、利回りが5.7%の国債からの調達資金を世界では前例のないインフラと道路整備に充ててしまった。つまり、開発に向けるはずの総額15億米㌦のチンギス国債のほとんどが、直接利益を生ま
ない公共財であるインフラや道路と化してしまった。結果的に、今年は償還負担が国民の肩に圧し掛かってくる年となる。
国家歳入が約6兆トゥグルグであるモンゴル政府は、債務問題解決の糸口を探っている。その中で、もっと効果的な選択肢は償還の延期、または国際通貨基金(IMF)とのスタンドバイ協定締結での融資を受け、財政健全化を図ることである。
モンゴルはこの間、2009年4月にIMFから6カ月償還期間付の2億4090万米㌦の融資を受けている。だが、今回の要請は2009年の融資よりはるかに大きく、10~20倍の巨額となるものである。目的は経済困難の脱却
を図るためで、IMFからの派遣団は政府提供の報告書のみならず社会各層への調査などで慎重な姿勢を見せている。一部の経済学者は、国債の償還が経済流動性リスクや将来に対する個人と企業の見通しを不透明にする恐れがあるとの見解を示しており、財政投融資費用の削減が民間部門における打撃だとも指摘した。IMFも政府債務高が国内総生産の8割を超えたこの時では、財政安定化と政府歳出の削減、外国投資増加などを図るべきだと提言している。
2017年の経済動向、経済指標で
モンゴルは、2017年度国家予算をその歳入額が6兆1000億トゥグルグで、歳出額を8兆5000億トゥグルグと決定した。赤字額は国内総生産の9.1%に当たる2兆4000億トゥグルグである。歳出を支える歳入は楽観的に扱われたため、一部の知識人から懸念されている。また、「ネールトテイ・ニーゲム・フォーラム(開放社会フォーラム)」に属する経済分析者らは、国家予算における収支額は国内総生産の2%範囲内に抑えるべきだ
モンゴルは、2017年度国家予算をその歳入額が6兆1000億トゥグルグで、歳出額を8兆5000億トゥグルグと決定した。赤字額は国内総生産の9.1%に当たる2兆4000億トゥグルグである。歳出を支える歳入は楽観的に扱われたため、一部の知識人から懸念されている。また、「ネールトテイ・ニーゲム・フォーラム(開放社会フォーラム)」に属する経済分析者らは、国家予算における収支額は国内総生産の2%範囲内に抑えるべきだ
が、2017年度はもう9%を超えているとそのリスクを指摘している。
しかし、例年に比べると今年度の歳入は鉱物資源の市場価格を他の国際機関の予想価格より下方で見積もっている。世界銀行は金属資源価格を銅1㌧当たり4866米㌦、石炭1㌧当たり51.9米㌦との予想を発表した。一方、モンゴル政府は、銅1㌧当たり4599米㌦、石炭1㌧当たり44.1米㌦と下方で見積もったが、その分大量
に輸出しようとしたことで、果たして順風満帆に行けるのかと疑問を投げかける。国際機関等は、モンゴル経
済に関して鉱産業依存の脱却と産業における多角化を図るべきだと度々指摘する。モンゴルも2014~15年の間では鉱物資源の国際価格下落が直接経済に影響し、経済成長を妨げた要因ともなったが、農業に関して果たして同じことを言えるかどうかというと、実際はそうではない。この期間、農業は安定的な成長を続けて来られた。
財務省は、2017年度の経済成長率を3.4%との予測を立てている。農業も8%の成長率との見込みだ。また、2~3万㌧の輸出向けの食肉加工生産するため、加工生産高が前年比で10.4%増加する予想だ。これらに関しても、一部の経済学者は赤字予算を家計に例えて「所得を上回る消費がある家庭はあり得ない」などと批判する。
本誌記者 B.アリオンザヤ