モンゴル開発銀行、マンドール頭取: まず5000万米㌦~1億米㌦元本償還で調整
経済
政府はこの度、モンゴル開発銀行(DBM)に対して、サムライ債の返済期日を前倒して支払い履行についてゴーサインを出した。不良債権問題。支払い期日の前通し。開発銀行のニャムデレグ・マンドール頭取に聞いた。
――就任当初の貴行債権残高はどのぐらいでしたか?
当初はなかなかチャレンジ性があって大変だと見当が付いていたが、就任してから不良債権残高が1兆8000億トゥグルグだと分かった。その前、モンゴル銀行が貸出金調査を実施し、昨年末に今の状況が明らかになった。
――現状はどう変わりましたか?
現時点での債権回収高は2200億トゥグルグだ、前の経営陣も政治的関与が疑われる債権について、さまざまな方法を用いて試みていたようだ。おそらく力が及ばなかっただろう。多くの債権が発行されたが、債権発行元が大きな穴に陥りかねている。政府に対して問題の提起もあった。先方から全面的に協力するから、すべての諸表を提示してほしいと指示があった。我々もそれに応じた。開発銀行が不良債権回収に失敗だったなら、国債の支払いは政府が担うしかない。政治的権威とは本当にあると実感した。あれほど嫌がっていた債務者も積極的に債務返済へ応じ、さまざまな支払い方法を提案している。もちろん出来るものと出来ないものがある。幸いなことに、私自身は政治的に中立しており、どこの勢力にも属していない。だから、本職に任命されたと思う。
――借手はそれぞれだと思いますが、製造業で大きな開発プロジェクトを執行している企業が為替変動で巨額な損失を被っているとのことがありますが、これについてお考えを聞かせてください。
柔軟に対応せざるを得ない状況だ。だから、非常に単純な原則で対応する。まず、少なくとも融資とその使途が目的に適っているかという点だ。次はプロジェクトが進行しているかだ。本当にマクロショックによる問題がある場合、弊行も解決策を共に探る必要がある。以前は、融資とその使途を確認する機能が不足した可能性がある。でも、その中、国の発展にとって有益なプロジェクトもある。例えば、セメント生産に係る4つのプロジェクトは上述の2つの要件を満たしている。でも、本当に要件を満たさないプロジェクトも多数ある。これについて当局に伺った方がよいかもしれない。同行は借主に対して融資使途を証する書類提出を求めていくのみだ。弊行は汚職対策庁の要請に基づいてすべての書類を提出した。
――国債の支払いについて伺いたいです。
開発銀行は、上半期決済を6月30日、年末決済を12月31日にまとめる。不良債権整理が進展しない場合、国際監査機関が、よろしくない結論を付けるだろう。それも海外へ発信されるだろう。モンゴルが国債の支払いでこのような問題を抱えているとのメッセージを海外投資家へ発信されると、予定より早く支払いが要求される可能性は否定できない。これは悪い知らせが続くとの意味だ。我々は国内企業らと協力して債務返済で前向きなシグナルを発信していると思う。一方、貸付残高の3分の1を占める国有企業が抱える債務をどうするかとの問題も必然的に生じる。政府は公的資金を投入しないとの立場で、債務返済について話し合っている。実際、国有企業は資産を持っている。まず、これらの資産をどう経済的に活用するかを検討ししている。近日、財務省から具体的な案が政府へ提示されるだろう。
――政府の負債を整理すると、国債への支払い可能でしょうか
来年、2つの国債を支払う。一つはサムライ債。同債について、支払い期間を前倒す方向で返済を調整している。その反面、出資者との交渉も始まった。300億円は約2億4000万米㌦相当だ。まず、5000万米㌦~1億米㌦の元本償還で調整する。開発銀行は13年に政府保証債を発行。保証人たる政府は、債権発行元が支払いできない場合、その返済を代弁することに同意している。そもそも開発銀行の設立目的は、開発国債を通じてその恩恵を受け、調達資金で大規模な開発プロジェクトが賄われ、海外で発行された債権を返済することだった。今回はそのようになれなかった。