インタビュー
B.バトツェツェグ外務大臣:モンゴルは2026年に砂漠化対策のCOP17会議開催

(ウランバートル市、2024年11月14日、国営モンツァメ通信社)アゼルバイジャンのバクー市で開催された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)締約国会議(COP29)において、バトムンフ・バトツェツェグ外務大臣に話しを伺った。


ーーCOP29の会議で、モンゴルの大統領が出席し、モンゴルの立場を表明した。このような会議で大統領が出席することの意義は何であるか。


オフナー・フレルスフ大統領は、COP29の首脳級会議で演説を行った。今年で大統領に就任してから4年目を迎える中、モンゴルは気候変動対策に関するイニシアティブに参加し、自国の立場を表明するとともに、ハイレベルで積極的に関与し、責任と約束を果たしている。


大統領が参加することは、モンゴルが気候変動への対応に対して重要な関心を持ち、自国の役割を強調していることを示している。私たちは、約束した事項を実行し、毎年開催されるCOP会議で採択された最終文書に記載された条項を遵守し、交渉活動を調整するなど、多方面で重要な意義を持っている。


さらに、モンゴルの大統領がこの会議に出席することで、100を超える国の国家元首や外務大臣と直接会う機会が得られる。これにより、各国との意見交換や対話が可能となり、国際的な協力を深める貴重なチャンスとなる。


ーー大統領は演説の中で、モンゴルが2026年に砂漠化対策に関するCOP17会議を開催することを言及した。この件について。

モンゴルは2026年に砂漠化対策において非常に積極的なイニシアティブを示すものであり、COP17という砂漠化防止に関する会議を自国で開催することを大統領が表明した。モンゴルは、世界中で砂漠化が進行している国々を招待し、この分野における国際的な科学者らを招待して研究成果や発表を行い、会議の準備を国連と共同で進める予定である。


モンゴルは遊牧による家畜飼育を行っており、気候変動や砂漠化の影響を大きく受けている国である。特に発展途上国にとって、これらの課題は大きな試練となっている。なぜなら、気候変動対策に充てる予算が非常に限られており、その結果より多くの被害を受けているからである。


また、モンゴルは伝統的に自然環境や家畜と調和して生活してきた遊牧民の国であり、その文化を今も大切にしている。私たちは常に、自然と共生する生き方を実践し、世界中に対して「自然と調和して生きること」の重要性を呼びかけている。


モンゴル書道の魅力は世界に誇る日が来る

(ウランバートル市、2024年10月31日、国営モンツァメ通信社)『永遠の天の文字・モンゴル縦文字競書』の書道展示会が開催される。同展示会に関連して、書道の現状や今後の発展について、バトバヤル書道家・画家・教師にインタビューした。


ーーカリグラフィーとは何か、具体的に説明してください。


ギリシャに由来する言葉で、カリグラフィーは単なる書道だけでなく、非常に広い範囲で説明されている。簡単に言うと、美しい文字が人に好まれる場合、それはカリグラフィーと呼ばれる。

また、カリグラフィーの教育が必要である。政策として支援されるべきである。しかし、モンゴルでは、数人が数語を書いてそれを販売することにとどまっているため、現在の状況では多くの人が書道の価値を理解していない。実際、書道は非常に貴重な芸術である。

ーー バトバヤルさんはどのようにモンゴル縦文字を筆で書く技術を学んだか。

私は学校でも美術学校でもモンゴル縦文字を教わらなかった。しかし、私の父は全ての書類をモンゴル縦文字で記入する会計士であり経済学者だった。1987年から父が書いたものを読むことに挑戦し始め、そこで初めてモンゴル縦文字を学んだ。

街の装飾を専門とする画家らと協力し、スローガンや絵、装飾を受注して制作していた。現在での竹の筆のようなもので書いていた。1991年9月18日に「モンゴルの本」という展覧会を開催し、その中で「一滴のインクで」という書道展覧会も同時に行った。

ーーそれはモンゴル初の書道の展覧会か。

その前には、書道について話されることがなく、展覧会も開催されていなかった。90年代に民主化が進み、人々が商売を始めた頃、私は「自国で何か貢献する必要がある、何をしようか」と考え、ただ文字や書道を広めていこうと決意して、その展覧会を開いたのである。

美術学校では文字の芸術、つまりフォントの芸術が教えられている。それを基に、外の世界での作品の変化を見て、自国の文字や書道を発展させることができると勇気を持ったのである。




オドバヤル氏:モンゴルは平和を重んじ、独立した多角的な外交政策を実施

(ニューヨーク市、2024年9月25日、国営モンツァメ通信社)オフナー・フレルスフ大統領の外交政策顧問であるE.オドバヤル氏に話を伺った。


ーーフレルスフ大統領は、第79回国連総会に出席中である。モンゴルは、国連の改革に関してどのような提案を行うことができるか。この会議では、国連安全保障理事会からロシアを除外することについて、研究者らが意見を表明している。


私たちは数年前から立場を明確に表明している。国連の改革に、安全保障理事会だけでなく、その他の全てのメカニズムも含まれている。これはウクライナとロシアの戦争以降に議論されている問題だけではない。モンゴルは国連の改革を支持している。しかし、ロシアを除外するかどうかの問題については言及しない。安全保障理事会のメカニズムは、現在の5つの常任理事国に限らず、他の国々を追加する必要があるという点で国連全加盟国が協議し合意を得、長年にわたり議論を続けている。従って、国連は現在よりも強力で名誉あり、効果的かつより安定的な決定を下し、それが実行される組織となることを目指す立場が明確に示されている。


ーー今回の国連総会におけるフレルスフ大統領の参加はどのようなものになるのであろうか。


フレルスフ大統領は2021年に大統領に就任して以来、国連総会に出席しており、これはモンゴルの外交政策の重要な一環となっている。国連総会の今年の会議には、2つの大きな特徴がある。一般討論のテーマは「誰一人取り残さない ― 平和の促進、持続可能な開発、そして今日と将来世代の人間の尊厳のために共に行動を」である。

アントニオ・グテーレス事務総長の主導による「未来サミット」にフレルスフ大統領が出席する。同サミットでは、各国の首脳らが3つの重要な宣言文を採択する。その後、フレルスフ大統領は国連総会第79回会議の一般討論に出席する。この際、国際関係の重要な課題についてのモンゴルの立場、外交政策の目標や優先事項を紹介する。

多極的な世界秩序が形成されつつある現在、この時期の証人として、人類が平和、友好、相互理解、相互信頼、文化、歴史、発展の道、そして多様性を互いに尊重する世界秩序を構築することを願っていると述べ、平和と友好を呼びかける。

人工知能の適切な活用は効果的

(ウランバートル市、2024年9月20日、国営モンツァメ通信社)9月30日、政府庁舎で第1回モンゴル翻訳者・通訳者全国フォーラムが開催される。同シンポジウムを前に、電子翻訳の利点と欠点、今後の動向についてモンゴル国立大学モンゴル語・言語学部のE.ムンフオチラル副教授兼博士に話しを伺った。


ーー最近、電子翻訳がますます普及している。この現象について人々は批判的な見方を持つ傾向がある。同分野の専門家として電子翻訳の弱点についてどのように考えているのか。


現代の翻訳研究では翻訳を三つのタイプに分類する。人間による翻訳、コンピューター支援翻訳(CAT)、完全自動翻訳(AI翻訳)である。

最近の専門分野における翻訳動向を見るとコンピューター支援翻訳が主流になっている。つまり、コンピューターが間違いなく正確な部分を翻訳することにより時間が節約され、プロの翻訳者が人間の知性が必須な部分をその専門的なスキルに基づいて翻訳する。

完全自動翻訳の最も優れたプログラムはアリババ、アマゾン、グーグル、アプテック、バイドゥ、マイクロソフトなどがある。これらは多言語対応の面で優れている。

完全自動翻訳の弱点は、国の文化の特性、文体の微妙なニュアンス、専門的な知識などを細かく翻訳する際に誤りが生じやすいことである。また、同義語の選択や文脈に応じた意味付けにも問題があることが多い。


ーー翻訳は専門家の技術と知識が試される仕事である。電子翻訳の登場により、翻訳者にはどのような利点が生まれたのか。


人間の言語をコンピューターで処理する技術は1940年代から始まった。これまでの経過を振り返ると電子翻訳プログラムは決して簡単なものではないことが分かる。確かに、電子翻訳ソフトウェアは現実のものとして進化し、既に日常的な使用となっている。

翻訳ソフトウェアの利用により、翻訳者は繊細な感性や高度な専門スキルを必要としない単純な部分を迅速に自動で処理できるようになったことは大きな利点である。一方、軽微な誤りを含むバージョンを迅速に生成し、それを修正することで場合によっては時間を節約することができる。



モンゴル翻訳者・通訳者全国フォーラムが開催

(ウランバートル市、2024年9月12日、国営モンツァメ通信社)9月30日、政府庁舎で第1回モンゴル翻訳者・通訳者全国フォーラムが開催される。


モンゴル大統領府、モンゴル国立大学、国営モンツァメ通信社は同フォーラムを共催する。


フォーラムの開催準備作業の枠内で翻訳業界の団体や市民による討論が行われ、意見が集約されている。 9月6日、7日、10日に「翻訳業界の問題」、「翻訳者・通訳者のスキル」、「翻訳作業の品質と基準」、「翻訳業界における開発と解決策」をテーマにした討論が開催された。9月12日、翻訳者・通訳者の倫理に関する討論が行われる。


同フォーラムについてシャグダルスレン・エグシグ・モンゴル国立大学准教授兼翻訳者・通訳者資格評価センター長に話を伺った。


ーーフォーラム開催の目的は何であろうか。

モンゴル国立大学の研究者らが同フォーラムの開催を発案した。モンゴル国立大学で翻訳者・通訳者資格評価センターが開設された。同センターの目的は翻訳者と通訳者の能力を調査することであり、また、世界に遅れを取らず、共に歩むように注意を払うことである。

翻訳の品質が社会で議論される。国民は批判するが、解決するための措置を講じない。その他、2021年以降の調査によると、モンゴルの翻訳者・通訳者の能力は世界水準を下回る。特に、戦略的能力または翻訳者・通訳者の多数のスキルを調整する能力が低いという調査結果が出た。これを直す必要があり、翻訳者・通訳者自身が国家レベルで討論する必要がある。このような理由で全国的に討論すべき時期が到来したと思う。

ーー翻訳が不十分になる理由は何であるか。

母国語と外国語の十分な知識があってからこそ質の高い翻訳と通訳が可能になる。翻訳・通訳が不十分になる理由の1つは、母国語教育の質が低下したことである。また、外国語能力を評価する制度もない。従って、翻訳者・通訳者の能力向上を取り扱う時期がきた。

ーー人工知能が翻訳者・通訳者を代替することは可能か。

翻訳業界は世界的に存在している。同業界の動向は機械翻訳・通訳であり、機械翻訳・通訳が主流になりつつある。従って、世界と歩調を合わせるために大学生に知識を提供しなければならない。モンゴル国立大学は、人工知能やコンピューター、機械などによる翻訳・通訳に関する知識の提供を目指し、カリキュラムに取り入れた。

国際翻訳家連盟(FIT)がある。同連盟は毎年スローガンを立てる。今年のスローガンは興味深いものである。過去の優れた翻訳作品の著作権を保持するにはどうすればよいか、この問題の解決方法は何か、というスローガンである。これは、人工知能が引き継いだ場合、過去の優れた翻訳作品がどうなるかに注目を払ったことであると思う。

ーーモンゴル翻訳者・通訳者全国フォーラムにどのように参加できるか。

興味のある方なら誰でも討論に参加できる。討論に参加できない場合は、参加する別の機会が与えられる。それは、アンケートに記入し、オンラインで提言を送信することである。

ーー同フォーラムの意義は何であるか。

翻訳者と通訳者の社会問題とは何か、自らのスキルをどう見ているか、翻訳作品の品質と基準はどのレベルにあるか、今後同業界の発展はどうなるかという課題に対し解決策を決定する。これら課題に関して事前協議が行われる。翻訳者が直面している問題について、全国レベルで議論する。問題に対するアイデアや解決策があれば政府に報告し、翻訳者・通訳者の宣言を発行する。また、他の提案を提出する機会を与え、主要な問題を解決する方法を決定する。       



バトツェツェグ大臣:モンゴルはバランスのとれた多面的な外交政策を堅持

(ウランバートル市、2024年9月5日、国営モンツァメ通信社)ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン・ロシア連邦大統領の訪問の結果とそれを取り巻くいくつかの課題についてバトムンフ・バトツェツェグ外務大臣に話を伺った。 

 

ーー近年、モンゴルの積極的な外交政策を証明する多数の訪問が行われている。昨日終了したプーチン・ロシア連邦大統領の訪問はかなり注目を集めた。

 

プーチン大統領の訪問は国内のみならず海外からも注目を集めた。これについて語る前に、モンゴルの独特な位置、地政学的環境、それによる安全保障と外交政策の基本原則について言及する必要がある。


モンゴルの外交政策の理念に「ロシアおよび中国と友好関係を維持することは、モンゴルの外交政策の最優先の目標であり、これらの国々との関係のバランスを取り、良き隣国として広範な協力を発展させる。その際、我々は、これら両国との歴史的伝統と経済協力の特徴を考慮する」とされている。


どの国にとっても、近隣諸国と友好的かつ定期的な関係と協力を保つことが重要である。従って、モンゴルは隣国と全面的に安定的な関係を保ってきた。今後もそうなるであろう。


モンゴル政府は2024~2028年に14件のメガ・プロジェクトの実施を計画している。ロシアおよび中国と多くのプロジェクトで協力する。


2年前、中国とロシアの外相らがモンゴルを訪問した。ロシアの国家元首が訪問したところである。モンゴルと中国の外交関係樹立75周年と包括戦略的パートナーシップ10周年を機に、近いうちに中国のハイレベル訪問が開催される。    


訪問や会議は事前に計画される。特にレベルが高くなるほど、更に多くの時間と準備が必要になる。関係の歴史や特性に応じて、定期的かつ伝統的な訪問も行われる。フレルスフ大統領は2021年にロシアを訪問する際、プーチン大統領がハルハ河戦争勝利85周年を機にモンゴルを訪問するよう招待した。今回の訪問はそれに従った開催された。以前、ハルハ河戦争勝利70周年、75周年、80周年を機にロシア国家元首がモンゴルを訪問した伝統がある。もちろん、これら訪問は両国の貿易、経済、インフラなど現在の課題について話し合い、合意に至る良い機会となる。


これら全ての訪問の背後に外交政策のバランスを維持するという原則がある。バランスの取れた関係は、モンゴルの外交政策の最優先の目標である。ロシアと中国の他に第三隣国もある。


ロシアおよび中国との関係はバランスをとる必要がある。その他、第三隣国との関係もバランスがとれていなければならない。