インタビュー
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(ウランバートル市、2025年、2月11日、国営モンツァメ通信社)モンゴル国大統領の後援の下で第3回「モンゴルの持続可能な金融フォーラム2024」が開催された。今回、B.ダワーダライ・モンゴル国大統領経済政策顧問に話を伺った。
ーー今回のフォーラムで討論された課題は何ですか。フォーラムの特徴は何でしたか。
11月27~29日にかけてモンゴル国大統領の後援の下で「モンゴルの持続可能な金融フォーラム2024」が「モンゴル国 ―グリーン開発の金融調達」をテーマに開催された。フォーラムは3年目を迎え、大統領府、モンゴル持続可能な金融協会、ハーン銀行、国連モンゴル事務所が共催した。今回のフォーラムに規制機関、民間企業、市民社会の代表など各分野のグリーン開発リーダーたちが参加し、今後の協力と活動について話し合った。モンゴルにとって最優先的な課題は気候変動、土壌劣化、砂漠化である。また、モンゴルは持続可能な開発目標(SDGs)およびパリ協定の下で、2030年までに国際的な義務を果たさなければならない。従って、今回はグリーン開発、グリーン転換、その資金調達について明細に議論した。
ーー新政府は、グリーン開発、グリーン転換などに取り組んでいるのは、時宜を得たと思います。フォーラムでどのような成果が得られましたか。
一番大事であると思うのは、政府が市民や企業に対して、グリーン開発に関する具体的なプロジェクトやプログラムを詳細に説明したことである。今回のフォラームで、政府は市民と企業に対して3つの主要な情報を提供した。
1. 政府はエネルギー分野の改革と再生可能エネルギー・プロジェクトを実施する。
2. 農業分野では「食糧革命」、「ホワイト・ゴールド」、「新協同組合」の3つの国民運動が実施され、現在実施中の農業プロジェクトとプログラムの融資と資金調達において、グリーン開発基準を設定する。
3. 環境に優しく、省エネの住宅を建設した場合、住宅ローンに適用する。
ーーエネルギー、農業、建設分野を重視したのはなぜですか。
モンゴルが排出する温室効果ガスの約90%がこの3分野に関係している。そのため、これらの分野に注力することで、成果を出すことができる。具体的に、現在は家畜100頭のうち6頭だけが集約的に飼育されている。もちろん農業を100%集約的に開発することはできない。私たちモンゴル人は伝統と文化を守るべきである。しかし、特定の割合を環境に優しいものにし、グリーン発展を支援・発展させるのが適切である。つまり、100頭の20頭が農場方式で飼育されれば、環境を保護し、グリーン転換を一段と進めることができる。
ーーモンゴルに適した解決策は何ですか。国際専門家とモンゴル人専門家の提案は何ですか。
モンゴルは2030年までに温室効果ガスの排出量を22.7%に引き下げる目標を設定しており、そのため、二つの政策を実施しなければならない。まず、エネルギー分野の改革と農業分野の強化であり、家畜の頭数を環境に優しく適切なレベルに維持することである。さらに最重要な解決策は、二酸化炭素排出量の多い産業に税金を課すことであり、ビジネスが環境に悪影響を及ぼす場合、高額な税金を支払う原則である。環境への影響が少ない場合は、低額な税金を支払う。他の国々では、同制度を基本政策として採用している。モンゴルにはその規制がまだ導入されてない。モンゴル銀行は課税に関する調査を行っている。これは非常に公平なシステムである。一方、グリーン・ローンを利用した市民や実業家は低金利で長期ローンやインセンティブを受けることができる。
ーー全ての事業の推進力は資金調達である。モンゴルは資金がいくら必要ですか。
2030年までに温室効果ガス排出量を22.7%削減する目標を達成するには、110億米㌦が必要である。この一環、2021年にフレススフ大統領は毎年、環境分野に国内経済の1%に相当する資金を徴収する計画を立てた。つまり、モンゴルの経済が70兆トゥグルグとすれば、7000億トゥグルグがグリーン開発に費やされる。ただし、国家予算だけでなく、民間企業や国際機関など全ての財源を活用する。
ーーモンゴルはグリーン・ファイナンスの調達にどのような方法を利用していますか。
モンゴルに環境分野資金調達の世界ベストプラクティスが導入されている。この一環、世界自然保護基金と共同で「環境永続的な資金調達プログラム」を確立した。現在、国際投資家の助成金により7000万米㌦が投資されている。2030年までに政府と民間企業の協力により、さらに1億米㌦を調達する可能性がある。同基金の目標は、2030年までに特別保護地域の面積を30%に到達させることであり、モンゴルは同目標を法的に保障した。現在、特別保護区の面積は20%である。
ーーリーダーシップにおいて銀行と金融機関がより積極的であるようです。2030年までにグリーン・ローンを10%に到達させるという銀行の目標はどの程度現実的ですか。
銀行と金融機関はそのように取り組まなければいけない。近年、投資家が環境やグリーン開発に投資している。世界がグリーン・ファイナンス基準を採用している。モンゴルも世界的な基準に採用しなければ、国際市場から投資や資金を調達する可能性が低下する。
ーー新政府が自然環境・気候変動省を設立したことは、モンゴルがグリーン・ファイナンスに注力していることの表れですか。
フレススフ大統領は、国連気候変動会議に出席し、環境と気候変動問題に大きな注意を払っている。 オユンエルデネ首相もサウジアラビア王国のリヤド市で開催された国連砂漠化防止条約第16回締約国会議(COP-16)に出席した。さらに、連立内閣は環境観光省を自然環境気候変動省に再編した。近年、自然環境・気候変動に関する法律と法的環境を検討するよう国際機関に言われている。一部の国は「気候変動法」という独立した法律がある。その法律に気候変動に関する全ての内容が含まれており、政府の統治、各省庁の責任、資金調達方法などが盛り込まれている。
ーーお忙しい中、お時間を割いていただき、ありがとうございました。
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(ウランバートル市、2025年1月26日、国営モンツァメ通信社)清水武則「モンゴル・日本友好協会」理事長は、2011~2016年にかけて在モンゴル日本国特命全権大使を務めた。数日前、モンゴルを訪問中の清水武則氏に話を伺った。
ーー清水さんは1977年にモンゴルに足を踏み入れました。それ以来約50年間が経過しました。モンゴルを訪れるたびに、最も強く感じることは何ですか。
私は1977年にモンゴルに足を踏み入れた。当時、モンゴル語を学ぶために来たが、残念ながらモンゴルが社会主義国であったため、大学の学生寮で過ごし、教えてもらうことはできなかった。私はベトナムの学生たちと一緒にモンゴル語を勉強した。その当時、生活は貧しかった。それ以降、長年が経過したが、実際にこの期間中にモンゴルで発生した変化を振り返ると素晴らしいという言葉以外は言えない。50年前に、モンゴルが発展のこのレベルに到達するとは想像もしなかった。それ以来、私はモンゴルに4回派遣された。従って、モンゴルは私の第二の故郷となった。
ーー清水さんは在モンゴル日本国大使館に4回派遣され、アタッシェから大使までの職務を務めました。大使としての任務を終了してから8年間が経過しましたが、今回の訪問の目的を伺ってもよろしいでしょうか。
大使としての任務を終えてから、様々な形式でモンゴルと関わってきた。3年前から、私の故郷である大分県の九重町とアルハンガイ県のツェンヘル郡との間で交流を始め、学生交換プログラムを実施することになった。今後、アルハンガイ県と大分県は協力していく予定である。そのため、今回は千葉工業大学で使用されていた550台のiPadを完全に更新し、ウランバートル市とアルハンガイ県の学校に寄贈するために来た。その350台がアルハンガイ県の諸郡の学校に配布される。同活動がモンゴルの教育分野に、ある程度、貢献すると考えている。もちろん、大使としての任務と比べると現在実施している活動はそれほど大したものではない。しかし、今私が目指している最大の目標は、子どもを対象にした活動である。
ーーモンゴルで大使として勤務する際、教育分野で多数のプロジェクトやプログラムを成功裏に実施しました。そもそも、清水さんの活動の中心がなぜ子どもと青年であってきたのでしょうか。
国の発展を加速させるのに人材育成が重要である。モンゴルの人々が健康で教育を受けていれば、どの障害も賢明に乗り越えることができる。そのため、モンゴルは教育分野を最優先にし、注力して取り組むべきであると考えている。
ーー清水さんに関する一つの話を聞いたことがあります。清水さんは、民営化の危機にあった「児童創作センター」の修理に投資を行い、その施設を引き渡したと言われています。当時、「これこそ私がやるべき仕事だ」と思ったと話したそうですが、そのことについてお話しをいただけますか。
ありがとうございます。実は、この話はすっかり忘れていた。同センターに多くの素晴らしい講師が働き、ゲル地区の多数の子どもが教わっていた。従って、その教育活動と周辺の取り組みを維持することが非常に重要であると感じた。そのため、屋根を修理し、引き渡した。当時、かなり努力して成し遂げた仕事の一つである。
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(ウランバートル市、2025年1月12日、国営モンツァメ通信社)モンゴル国憲法裁判所の元裁判官であり、法学博士でモンゴル国立大学法学部教授であるTs.サラントヤ氏、憲法裁判所の元裁判官であり、モンゴル弁護士協会憲法委員会委員長で、モンゴル国立大学法学部教授であるSh.ツォグト氏、憲法裁判所の裁判官であり、元法務・内務副大臣で、博士であるV.オドワル氏の3人に「憲法」について話を伺った。
ーーモンゴルは2024年に初代憲法制定の100周年を迎えた。民主的な新憲法(4番目の憲法)は1992年に制定された。この2つの憲法の関連性や特徴をどのように考えていますか。
Ts.サラントヤ氏:1924年、1940年、1960年の憲法は、それぞれの時代の社会的関係の基盤を構築し、国民と政府との関係を調整する役割を果たしていたため、現代憲法の特徴を含んでいる。また、構造や論理の面でも、いずれも一貫したシステムを有する文書であり、成文化された憲法に求められる要件に応じる。上記の3憲法は、モンゴルの現代法制度の発展に大きく貢献したといえる。1992年に民主主義憲法が制定される以前、モンゴルでは裁判所が政府の独立した権限として認識されていなかった。当時、政府に忠誠を誓うことが、裁判所の独立や正義の勝利、侵害された権利の復興よりも重要視されていた。1924年の憲法に裁判官や裁判所に関する規定は一切含まれていなかった。しかし、1940年と1960年の憲法に裁判所と検察庁に関する条項が設けられたが、裁判官は数年ごとに選出される制度が採用された。裁判所と裁判官の独立性に関する概念は、現代のように確立されていなく、裁判や訴訟を公正かつ客観的に決定するための条件は、現在と比較してかなり制限されていた。また、憲法は国家の最上位の権限を有する法律として承認されていたが、その実施と保護は全く言及されなかった。憲法に対する理解と実施は1992年まで抽象的な理論の段階にとどまっていた。一方、新憲法では、市場経済、財産の多様性、思想の多様性、自由などが認められ、人道的かつ市民的で民主的な社会構築が目標として設定された。従って、1992年の憲法第2章に規定された全ての権利と自由が、モンゴル国全土で実現する扉が開かれた。また、他方で、人権や自由を保護するための前提条件を整備するために、政府は自らの行動を憲法に記載された権限の範囲内で行い、そこに定められた権力の分配や制限遵守が、同憲法の特徴を特定する。同件により、1992年の憲法は単に国家の最高法と呼ばれるだけでなく、生活において実際に機能する法基盤を構築したのである。
Sh.ツォグト氏:まず、憲法は政治学、哲学、歴史学、数学など、いくつかの学問分野によって説明される独自の研究対象であることを指摘すべき。憲法の初期理念は、1911年のモンゴル国の5省と上院・下院から開始された。しかし、1924~1960年の憲法に記載された選挙権と被選挙権は、一党制の下での普遍的な選挙性質をもっており、国民は自分自身の政治的指針に基づく真の選択をすることが不可能であった。また、上記の3憲法には現代的に見える多数の権利が盛り込まれていた。例えば、言論、出版、集会、デモの自由、男女平等の権利、労働と休暇の時間を8時間に制限するなど、ポジティブな法的規範が規定されていた。しかし、これらの権利はその目的に応じて制限されていたのである。一方、1992年に制定された民主主義憲法により、モンゴルは過去30年間以上にわたり、政治的な民主主義体制を基盤とした新指導体制の確立を目指してきたと概説できる。
V.オドワル氏:モンゴルは1924年に制定した憲法を1940年と1960年に改正した。社会の変革や改革の理念を反映させた改正が1990年に追加され、これにより以前の憲法の価値観、理念、原則などが変更され始めた。例えば、1990年3月23日に、モンゴル人民共和国の憲法改正案が承認され、1960年の憲法の約10条項に改正が加えられた。前文から「モンゴル人民共和国の政府と社会の指導的な勢力はマルクス・レーニン主義理論である」という表現が削除され、第82条が改訂された。この条文には「モンゴル人民共和国の国民は、人道的かつ民主的で社会主義的な社会を構築する目的、国民の根本的な利益と団結に沿った計画や規則を有する政党や他の公共団体に参加する権利がある」という表現が盛り込まれ、また、様々な思想をもつ政党や市民社会団体が国家を平和的に発展させる基盤が構築された。上記の理念は、1992年の憲法から明確に読み取れる。これは、1911~1924年にかけて、モンゴルが世界の憲法的原則の動向を模索していたことと同様なものである。
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(ウランバートル市、2025年1月5日、国営モンツァメ通信社)モンゴル国大統領の管轄下にある言語政策国家委員会のN.ナランゲレル研究者とインタビューを行った。2025年1月1日からモンゴルは千年の歴史をもつモンゴル文字を公式に復活させ、モンゴル語に関する法律の重要な条項が施行されたからである。
ーー2025年が始まり、モンゴルは縦文字を行政の業務に使用し始めた。この取り組みは「モンゴル語に関する法律」に基づいて実施されており、その指導を行っている主要な機関は貴委員会です。
2015年に法律が制定されて以来、同委員会は大規模な構造で同法律の実施を開始した。その過程で、21県の330郡に支部委員会を設立し、10年間にわたって強化し、モンゴル文字の「全国プログラム」を実行した。そして、今日、国民に対して報告を行うことができ、大変嬉しく思っている。
指針と方針に関して「モンゴル文字の全国プログラム3」は2020年にモンゴル政府の決定により承認された。同プログラムは5年間の計画と実施の後、基本的に完了した。「全国プログラム」は4つの目標に基づき、69件の活動を通じて実施する予定であった。「モンゴル語に関する法律」に基づき、モンゴル文字プログラムを実施し、適切な準備が整った上で、行政機関および地方自治体はキリル文字とモンゴル文字の両方で業務を行う。
4つの目標の枠で69件の取り組みの95%が達成されたと見なされ、行政の業務がモンゴル文字の活用により行われるようになった。
ーーモンゴルはいくつの行政機関がありますか?そのいくつがモンゴル文字とキリル文字の両方で業務を行い始めていますか?
2022年に印刷ページの標準が策定された。合計4200箇所の行政機関があり、全職員を対象に研修が実施されてきた。研修の一環、教科書、携帯電話用の電子ツール、教師用のマニュアルが作成された。全国プログラムに基づき、私たちは国家公務員研修プログラムの内容も決定した。
2024年12月27日までの調査によると、モンゴル全国に4200箇所の行政機関があり、その50%、つまり2022箇所の機関がモンゴル文字とキリル文字の両方を活用しているという情報がある。
ーー法律の規定ではキリル文字とモンゴル文字を併用して業務を行うことになっています。一部の機関はすでに2022年から準備を整え、10種類以上の公式文書にキリル文字とモンゴル文字の両方を活用しています。モンゴル文字を復活させることが重要であるということで、モンゴル文字だけで進めていったらどうかという意見もあります。この点についてどう思いますか。
法律の規定に従う。法律では、キリル文字とモンゴル文字を併用すると定められているので、併用しなければ効力をもたない。一部の人々は、二重の紙に印刷して経済的に損失を被るのではないかという問題を提起したが、モンゴル政府は「デジタル・ネイション」プログラムを実施しており、電子的に公式なやり取りができる環境が整っている。従って、経済的な損失はないと考えている。
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(ウランバートル市、2024年11月14日、国営モンツァメ通信社)アゼルバイジャンのバクー市で開催された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国会議(COP29)において、バトムンフ・バトツェツェグ外務大臣に話しを伺った。
ーーCOP29の会議で、モンゴルの大統領が出席し、モンゴルの立場を表明した。このような会議で大統領が出席することの意義は何であるか。
オフナー・フレルスフ大統領は、COP29の首脳級会議で演説を行った。今年で大統領に就任してから4年目を迎える中、モンゴルは気候変動対策に関するイニシアティブに参加し、自国の立場を表明するとともに、ハイレベルで積極的に関与し、責任と約束を果たしている。
大統領が参加することは、モンゴルが気候変動への対応に対して重要な関心を持ち、自国の役割を強調していることを示している。私たちは、約束した事項を実行し、毎年開催されるCOP会議で採択された最終文書に記載された条項を遵守し、交渉活動を調整するなど、多方面で重要な意義を持っている。
さらに、モンゴルの大統領がこの会議に出席することで、100を超える国の国家元首や外務大臣と直接会う機会が得られる。これにより、各国との意見交換や対話が可能となり、国際的な協力を深める貴重なチャンスとなる。
ーー大統領は演説の中で、モンゴルが2026年に砂漠化対策に関するCOP17会議を開催することを言及した。この件について。
モンゴルは2026年に砂漠化対策において非常に積極的なイニシアティブを示すものであり、COP17という砂漠化防止に関する会議を自国で開催することを大統領が表明した。モンゴルは、世界中で砂漠化が進行している国々を招待し、この分野における国際的な科学者らを招待して研究成果や発表を行い、会議の準備を国連と共同で進める予定である。
モンゴルは遊牧による家畜飼育を行っており、気候変動や砂漠化の影響を大きく受けている国である。特に発展途上国にとって、これらの課題は大きな試練となっている。なぜなら、気候変動対策に充てる予算が非常に限られており、その結果より多くの被害を受けているからである。
また、モンゴルは伝統的に自然環境や家畜と調和して生活してきた遊牧民の国であり、その文化を今も大切にしている。私たちは常に、自然と共生する生き方を実践し、世界中に対して「自然と調和して生きること」の重要性を呼びかけている。
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(ウランバートル市、2024年10月31日、国営モンツァメ通信社)『永遠の天の文字・モンゴル縦文字競書』の書道展示会が開催される。同展示会に関連して、書道の現状や今後の発展について、バトバヤル書道家・画家・教師にインタビューした。
ーーカリグラフィーとは何か、具体的に説明してください。
ギリシャに由来する言葉で、カリグラフィーは単なる書道だけでなく、非常に広い範囲で説明されている。簡単に言うと、美しい文字が人に好まれる場合、それはカリグラフィーと呼ばれる。
また、カリグラフィーの教育が必要である。政策として支援されるべきである。しかし、モンゴルでは、数人が数語を書いてそれを販売することにとどまっているため、現在の状況では多くの人が書道の価値を理解していない。実際、書道は非常に貴重な芸術である。
ーー バトバヤルさんはどのようにモンゴル縦文字を筆で書く技術を学んだか。
私は学校でも美術学校でもモンゴル縦文字を教わらなかった。しかし、私の父は全ての書類をモンゴル縦文字で記入する会計士であり経済学者だった。1987年から父が書いたものを読むことに挑戦し始め、そこで初めてモンゴル縦文字を学んだ。
街の装飾を専門とする画家らと協力し、スローガンや絵、装飾を受注して制作していた。現在での竹の筆のようなもので書いていた。1991年9月18日に「モンゴルの本」という展覧会を開催し、その中で「一滴のインクで」という書道展覧会も同時に行った。
ーーそれはモンゴル初の書道の展覧会か。
その前には、書道について話されることがなく、展覧会も開催されていなかった。90年代に民主化が進み、人々が商売を始めた頃、私は「自国で何か貢献する必要がある、何をしようか」と考え、ただ文字や書道を広めていこうと決意して、その展覧会を開いたのである。
美術学校では文字の芸術、つまりフォントの芸術が教えられている。それを基に、外の世界での作品の変化を見て、自国の文字や書道を発展させることができると勇気を持ったのである。
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(ニューヨーク市、2024年9月25日、国営モンツァメ通信社)オフナー・フレルスフ大統領の外交政策顧問であるE.オドバヤル氏に話を伺った。
ーーフレルスフ大統領は、第79回国連総会に出席中である。モンゴルは、国連の改革に関してどのような提案を行うことができるか。この会議では、国連安全保障理事会からロシアを除外することについて、研究者らが意見を表明している。
私たちは数年前から立場を明確に表明している。国連の改革に、安全保障理事会だけでなく、その他の全てのメカニズムも含まれている。これはウクライナとロシアの戦争以降に議論されている問題だけではない。モンゴルは国連の改革を支持している。しかし、ロシアを除外するかどうかの問題については言及しない。安全保障理事会のメカニズムは、現在の5つの常任理事国に限らず、他の国々を追加する必要があるという点で国連全加盟国が協議し合意を得、長年にわたり議論を続けている。従って、国連は現在よりも強力で名誉あり、効果的かつより安定的な決定を下し、それが実行される組織となることを目指す立場が明確に示されている。
ーー今回の国連総会におけるフレルスフ大統領の参加はどのようなものになるのであろうか。
フレルスフ大統領は2021年に大統領に就任して以来、国連総会に出席しており、これはモンゴルの外交政策の重要な一環となっている。国連総会の今年の会議には、2つの大きな特徴がある。一般討論のテーマは「誰一人取り残さない ― 平和の促進、持続可能な開発、そして今日と将来世代の人間の尊厳のために共に行動を」である。
アントニオ・グテーレス事務総長の主導による「未来サミット」にフレルスフ大統領が出席する。同サミットでは、各国の首脳らが3つの重要な宣言文を採択する。その後、フレルスフ大統領は国連総会第79回会議の一般討論に出席する。この際、国際関係の重要な課題についてのモンゴルの立場、外交政策の目標や優先事項を紹介する。
多極的な世界秩序が形成されつつある現在、この時期の証人として、人類が平和、友好、相互理解、相互信頼、文化、歴史、発展の道、そして多様性を互いに尊重する世界秩序を構築することを願っていると述べ、平和と友好を呼びかける。
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(ウランバートル市、2024年9月20日、国営モンツァメ通信社)9月30日、政府庁舎で第1回モンゴル翻訳者・通訳者全国フォーラムが開催される。同シンポジウムを前に、電子翻訳の利点と欠点、今後の動向についてモンゴル国立大学モンゴル語・言語学部のE.ムンフオチラル副教授兼博士に話しを伺った。
ーー最近、電子翻訳がますます普及している。この現象について人々は批判的な見方を持つ傾向がある。同分野の専門家として電子翻訳の弱点についてどのように考えているのか。
現代の翻訳研究では翻訳を三つのタイプに分類する。人間による翻訳、コンピューター支援翻訳(CAT)、完全自動翻訳(AI翻訳)である。
最近の専門分野における翻訳動向を見るとコンピューター支援翻訳が主流になっている。つまり、コンピューターが間違いなく正確な部分を翻訳することにより時間が節約され、プロの翻訳者が人間の知性が必須な部分をその専門的なスキルに基づいて翻訳する。
完全自動翻訳の最も優れたプログラムはアリババ、アマゾン、グーグル、アプテック、バイドゥ、マイクロソフトなどがある。これらは多言語対応の面で優れている。
完全自動翻訳の弱点は、国の文化の特性、文体の微妙なニュアンス、専門的な知識などを細かく翻訳する際に誤りが生じやすいことである。また、同義語の選択や文脈に応じた意味付けにも問題があることが多い。
ーー翻訳は専門家の技術と知識が試される仕事である。電子翻訳の登場により、翻訳者にはどのような利点が生まれたのか。
人間の言語をコンピューターで処理する技術は1940年代から始まった。これまでの経過を振り返ると電子翻訳プログラムは決して簡単なものではないことが分かる。確かに、電子翻訳ソフトウェアは現実のものとして進化し、既に日常的な使用となっている。
翻訳ソフトウェアの利用により、翻訳者は繊細な感性や高度な専門スキルを必要としない単純な部分を迅速に自動で処理できるようになったことは大きな利点である。一方、軽微な誤りを含むバージョンを迅速に生成し、それを修正することで場合によっては時間を節約することができる。
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(ウランバートル市、2024年9月12日、国営モンツァメ通信社)9月30日、政府庁舎で第1回モンゴル翻訳者・通訳者全国フォーラムが開催される。
モンゴル大統領府、モンゴル国立大学、国営モンツァメ通信社は同フォーラムを共催する。
フォーラムの開催準備作業の枠内で翻訳業界の団体や市民による討論が行われ、意見が集約されている。 9月6日、7日、10日に「翻訳業界の問題」、「翻訳者・通訳者のスキル」、「翻訳作業の品質と基準」、「翻訳業界における開発と解決策」をテーマにした討論が開催された。9月12日、翻訳者・通訳者の倫理に関する討論が行われる。
同フォーラムについてシャグダルスレン・エグシグ・モンゴル国立大学准教授兼翻訳者・通訳者資格評価センター長に話を伺った。
ーーフォーラム開催の目的は何であろうか。
モンゴル国立大学の研究者らが同フォーラムの開催を発案した。モンゴル国立大学で翻訳者・通訳者資格評価センターが開設された。同センターの目的は翻訳者と通訳者の能力を調査することであり、また、世界に遅れを取らず、共に歩むように注意を払うことである。
翻訳の品質が社会で議論される。国民は批判するが、解決するための措置を講じない。その他、2021年以降の調査によると、モンゴルの翻訳者・通訳者の能力は世界水準を下回る。特に、戦略的能力または翻訳者・通訳者の多数のスキルを調整する能力が低いという調査結果が出た。これを直す必要があり、翻訳者・通訳者自身が国家レベルで討論する必要がある。このような理由で全国的に討論すべき時期が到来したと思う。
ーー翻訳が不十分になる理由は何であるか。
母国語と外国語の十分な知識があってからこそ質の高い翻訳と通訳が可能になる。翻訳・通訳が不十分になる理由の1つは、母国語教育の質が低下したことである。また、外国語能力を評価する制度もない。従って、翻訳者・通訳者の能力向上を取り扱う時期がきた。
ーー人工知能が翻訳者・通訳者を代替することは可能か。
翻訳業界は世界的に存在している。同業界の動向は機械翻訳・通訳であり、機械翻訳・通訳が主流になりつつある。従って、世界と歩調を合わせるために大学生に知識を提供しなければならない。モンゴル国立大学は、人工知能やコンピューター、機械などによる翻訳・通訳に関する知識の提供を目指し、カリキュラムに取り入れた。
国際翻訳家連盟(FIT)がある。同連盟は毎年スローガンを立てる。今年のスローガンは興味深いものである。過去の優れた翻訳作品の著作権を保持するにはどうすればよいか、この問題の解決方法は何か、というスローガンである。これは、人工知能が引き継いだ場合、過去の優れた翻訳作品がどうなるかに注目を払ったことであると思う。
ーーモンゴル翻訳者・通訳者全国フォーラムにどのように参加できるか。
興味のある方なら誰でも討論に参加できる。討論に参加できない場合は、参加する別の機会が与えられる。それは、アンケートに記入し、オンラインで提言を送信することである。
ーー同フォーラムの意義は何であるか。
翻訳者と通訳者の社会問題とは何か、自らのスキルをどう見ているか、翻訳作品の品質と基準はどのレベルにあるか、今後同業界の発展はどうなるかという課題に対し解決策を決定する。これら課題に関して事前協議が行われる。翻訳者が直面している問題について、全国レベルで議論する。問題に対するアイデアや解決策があれば政府に報告し、翻訳者・通訳者の宣言を発行する。また、他の提案を提出する機会を与え、主要な問題を解決する方法を決定する。
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(ウランバートル市、2024年9月5日、国営モンツァメ通信社)ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン・ロシア連邦大統領の訪問の結果とそれを取り巻くいくつかの課題についてバトムンフ・バトツェツェグ外務大臣に話を伺った。
ーー近年、モンゴルの積極的な外交政策を証明する多数の訪問が行われている。昨日終了したプーチン・ロシア連邦大統領の訪問はかなり注目を集めた。
プーチン大統領の訪問は国内のみならず海外からも注目を集めた。これについて語る前に、モンゴルの独特な位置、地政学的環境、それによる安全保障と外交政策の基本原則について言及する必要がある。
モンゴルの外交政策の理念に「ロシアおよび中国と友好関係を維持することは、モンゴルの外交政策の最優先の目標であり、これらの国々との関係のバランスを取り、良き隣国として広範な協力を発展させる。その際、我々は、これら両国との歴史的伝統と経済協力の特徴を考慮する」とされている。
どの国にとっても、近隣諸国と友好的かつ定期的な関係と協力を保つことが重要である。従って、モンゴルは隣国と全面的に安定的な関係を保ってきた。今後もそうなるであろう。
モンゴル政府は2024~2028年に14件のメガ・プロジェクトの実施を計画している。ロシアおよび中国と多くのプロジェクトで協力する。
2年前、中国とロシアの外相らがモンゴルを訪問した。ロシアの国家元首が訪問したところである。モンゴルと中国の外交関係樹立75周年と包括戦略的パートナーシップ10周年を機に、近いうちに中国のハイレベル訪問が開催される。
訪問や会議は事前に計画される。特にレベルが高くなるほど、更に多くの時間と準備が必要になる。関係の歴史や特性に応じて、定期的かつ伝統的な訪問も行われる。フレルスフ大統領は2021年にロシアを訪問する際、プーチン大統領がハルハ河戦争勝利85周年を機にモンゴルを訪問するよう招待した。今回の訪問はそれに従った開催された。以前、ハルハ河戦争勝利70周年、75周年、80周年を機にロシア国家元首がモンゴルを訪問した伝統がある。もちろん、これら訪問は両国の貿易、経済、インフラなど現在の課題について話し合い、合意に至る良い機会となる。
これら全ての訪問の背後に外交政策のバランスを維持するという原則がある。バランスの取れた関係は、モンゴルの外交政策の最優先の目標である。ロシアと中国の他に第三隣国もある。
ロシアおよび中国との関係はバランスをとる必要がある。その他、第三隣国との関係もバランスがとれていなければならない。