憲法により国家団結の基盤を構築

社会
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2025-01-12 16:21:35

(ウランバートル市、2025年1月12日、国営モンツァメ通信社)モンゴル国憲法裁判所の元裁判官であり、法学博士でモンゴル国立大学法学部教授であるTs.サラントヤ氏、憲法裁判所の元裁判官であり、モンゴル弁護士協会憲法委員会委員長で、モンゴル国立大学法学部教授であるSh.ツォグト氏、憲法裁判所の裁判官であり、元法務・内務副大臣で、博士であるV.オドワル氏の3人に「憲法」について話を伺った。   

ーーモンゴルは2024年に初代憲法制定の100周年を迎えた。民主的な新憲法(4番目の憲法)は1992年に制定された。この2つの憲法の関連性や特徴をどのように考えていますか。


Ts.サラントヤ氏:1924年、1940年、1960年の憲法は、それぞれの時代の社会的関係の基盤を構築し、国民と政府との関係を調整する役割を果たしていたため、現代憲法の特徴を含んでいる。また、構造や論理の面でも、いずれも一貫したシステムを有する文書であり、成文化された憲法に求められる要件に応じる。上記の3憲法は、モンゴルの現代法制度の発展に大きく貢献したといえる。1992年に民主主義憲法が制定される以前、モンゴルでは裁判所が政府の独立した権限として認識されていなかった。当時、政府に忠誠を誓うことが、裁判所の独立や正義の勝利、侵害された権利の復興よりも重要視されていた。1924年の憲法に裁判官や裁判所に関する規定は一切含まれていなかった。しかし、1940年と1960年の憲法に裁判所と検察庁に関する条項が設けられたが、裁判官は数年ごとに選出される制度が採用された。裁判所と裁判官の独立性に関する概念は、現代のように確立されていなく、裁判や訴訟を公正かつ客観的に決定するための条件は、現在と比較してかなり制限されていた。また、憲法は国家の最上位の権限を有する法律として承認されていたが、その実施と保護は全く言及されなかった。憲法に対する理解と実施は1992年まで抽象的な理論の段階にとどまっていた。一方、新憲法では、市場経済、財産の多様性、思想の多様性、自由などが認められ、人道的かつ市民的で民主的な社会構築が目標として設定された。従って、1992年の憲法第2章に規定された全ての権利と自由が、モンゴル国全土で実現する扉が開かれた。また、他方で、人権や自由を保護するための前提条件を整備するために、政府は自らの行動を憲法に記載された権限の範囲内で行い、そこに定められた権力の分配や制限遵守が、同憲法の特徴を特定する。同件により、1992年の憲法は単に国家の最高法と呼ばれるだけでなく、生活において実際に機能する法基盤を構築したのである。 




Sh.ツォグト氏:まず、憲法は政治学、哲学、歴史学、数学など、いくつかの学問分野によって説明される独自の研究対象であることを指摘すべき。憲法の初期理念は、1911年のモンゴル国の5省と上院・下院から開始された。しかし、1924~1960年の憲法に記載された選挙権と被選挙権は、一党制の下での普遍的な選挙性質をもっており、国民は自分自身の政治的指針に基づく真の選択をすることが不可能であった。また、上記の3憲法には現代的に見える多数の権利が盛り込まれていた。例えば、言論、出版、集会、デモの自由、男女平等の権利、労働と休暇の時間を8時間に制限するなど、ポジティブな法的規範が規定されていた。しかし、これらの権利はその目的に応じて制限されていたのである。一方、1992年に制定された民主主義憲法により、モンゴルは過去30年間以上にわたり、政治的な民主主義体制を基盤とした新指導体制の確立を目指してきたと概説できる。




V.オドワル氏:モンゴルは1924年に制定した憲法を1940年と1960年に改正した。社会の変革や改革の理念を反映させた改正が1990年に追加され、これにより以前の憲法の価値観、理念、原則などが変更され始めた。例えば、1990年3月23日に、モンゴル人民共和国の憲法改正案が承認され、1960年の憲法の約10条項に改正が加えられた。前文から「モンゴル人民共和国の政府と社会の指導的な勢力はマルクス・レーニン主義理論である」という表現が削除され、第82条が改訂された。この条文には「モンゴル人民共和国の国民は、人道的かつ民主的で社会主義的な社会を構築する目的、国民の根本的な利益と団結に沿った計画や規則を有する政党や他の公共団体に参加する権利がある」という表現が盛り込まれ、また、様々な思想をもつ政党や市民社会団体が国家を平和的に発展させる基盤が構築された。上記の理念は、1992年の憲法から明確に読み取れる。これは、1911~1924年にかけて、モンゴルが世界の憲法的原則の動向を模索していたことと同様なものである。