T.ガントルガ政治学博士:新型コロナウイルスCOVID-19の君臨ルール
社会
(何が価値あり、何が無価値であるか、何を変えられ、何を変えられないかを熟考する)
新型コロナウイルス(COVID-19)という“君主”は自分の権力を握り、新ルールを制定してから数カ月経過しました。君主は予測不可能で弾力性があるため(潜伏期間が長く、あらゆる面で何日も生き残れる)、一般の市民は言うまでもなく科学者でさえ、彼のルールがどのくらい続くかを推測できない状況にいます。
新型コロナウイルスの発生前と発生後という新しい暦に人々が慣れ始めました。人類と地球全体を屈服させたこの君主は、一種のウイルスにすぎません。しかし、それにも関わらず、核兵器をはじめとする大量破壊兵器など前世紀の工業化時代の発明と新世紀の人工知能を含むデジタル発明もウイルスに頭を下げています。もし、チンギスハーンをはじめとする世界のトップ10人の征服者により制服した領土と比べれば、コロナウイルスの制服領土が上回り、地球全体の陸地、海、大気の全部を征服しました。君主は全世界を、世界の経済を彼自身のルールを決め、支配しています。世界の政治、国連、NATO、平和維持の特殊部隊、国際条約、国際法の全てが無力化し、世界各国がソフト・パワーに移行し始めました。社会生活は完全に止まり、外出自粛の検疫体制に移行しました。自由に移動し、ボーダーレスのグローバルコミュニティで楽しく暮らしていた人々は家に留まり、他人との接触を避けるという今のルールに従い、移動権利をはじめ全ての自由を規制されました。
私たちが学んだ教訓
裕福な国は莫大な資金を投資したにも関わらず、大切な人命を奪われ続けている君主からは反対のようでも、人類には肯定といえる変化も見られています。これら変化を利点というか、苦難を乗り切った後のチャンスだと考えるかどうかは読者次第です。
世界各国はそれぞれ国境を閉鎖し、人の移動を規制し、在宅の間に自然が回復し始めました。また、オゾン層も急速に改善され、人間から逃げ出した野生動物も帰ってきました。つまり、自然法則は国家法律より強力であり、地球は人間だけのものではなく「全ての生き物のもの、人間と動物の共存の家」だということを理解させてくれました。君主は、力学の時代から調和の時代に移行する時が来たことを思い出させてくれました。機械時代には、人類は道徳的かつ倫理的な衰退を経験し、誤解の道を歩んでいた過ちを正し、高い倫理観と分かち合う調和の時代に入る必要があると、私たちを目覚めさせてくれました。コロナウイルスは、人類に新しい概念、新しい秩序、新しいイニシアチブを創案するよう呼びかけました。希少動物を含む野生生物のウェットマーケットを閉鎖する必要があると教えてくれました。人間へのコロナウイルス感染疑惑のあるコウモリは、これらのマーケットでまだ販売されています。130~1400種類のウイルスを抱え、摂氏+40度で保温する危険哺乳類(平均体温)というより、まるで大量破壊兵器のようです。科学に基づく教育を脇に置き、単純な技術的ソリューションで全てを解決しようとする世界の新しい教育システムが、“突然の試験”で不合格となりました。機械的思考(技術)、情報技術(IT)、広範な事実に基づく包括的なデータシステム(ビッグデータ)、人工知能(AI)と科学を組み合わせ、人間の能力(限られた人間の能力)に基づいた人間の成長を確実化し、ものごとの本質を研究し、新しい時代と新しい社会の要求に応える基礎教育の代わりに、応用教育の包括政策の必要性を強調してくれました。グローバル化から孤立へ移り変わり、国際機関への信頼度が低下し、世界の自由主義秩序を管理しようとする主要国の正当性が矮小化されました。政治、経済、社会関係を調整する国際協定や法律が違反されている現在、各国は国内の余裕に基き危機克服の優先順位を定義する必要になっています。
社会関係と経済のグローバル化にもかかわらず、ロックダウンによりコロナウイルスに耐えられているようだが、実際はそうではありません。正しい結束の秩序を持つ「統一のピラミッド」の建設は、それを止めて禁止しただけです。一般的に権益を正しく優先し、「連帯のあるピラミッド」を組み立てられた国こそがコロナウイルスを封じ込められています。だが、封じ込められているという判断はまだ早すぎます。しかし、“耐えている”とは人類、各国および全ての社会的単位が一般の利益を優先し、団結すべきであることを君主は警告しています。
権益の3順位
コロナ暦の終了後、人々の従 来の生活様式は大きく変わりま す。あなたの人生の重要な価値 観の順序も変わります。 古くからのモンゴルの生活哲 学は、国内外の学者の興味を惹 き、モンゴル人に対する対応に も変化が起きるでしょう。モンゴルの気候、自然環境、健康的 な食肉、野生果物などの天然 産物はオーガニックになり、 世界の注目を集めるかもしれま せん。それはまともなことで、 単なる一つのものでしょう。一方、コロナウイルスは、生きることの大切さを人々にしみじみと気づかせました。それは、特 に伝統的なアイデンティティーを失いつつある私たちにとっ て、さらなる価値があります。
価値観の第一は、生きる権利があります。しかし、君主は質の良い生き方をするための心身の健康の大切さ思い出させてくれました。 お互い愛し合い、心を養い、安らぎ、苦しみから完全に解放され、喜びと悲しみの限界を乗り越え、運動し、健康な食生活、睡眠など健康で正しい生活様式を変えることの考えはコロナウイルスとの良い機会でもあったでしょう。人々の消費は可能な限りシンプルで、よりマインドフルになります。この新しい方針は、生き続けるための解決策だけでなく、私たちの今後の保護としても役立つかもしれません。 人間は心身的な相互作用の限りのない空間で、空気・熱・冷気が融合し存在するユニークな 地球だと言えます。朝起きてすぐに「…今日は死ぬかもしれな い…」という単なる思いから人 間は、悪い習慣を捨て、健康的なライフスタイルに導く精神力に誘導され、心を平穏にし、貪欲と欲望を抑え、愛と優しさで溢れることができます。全ての人間は、自分自身を再発見し、 更新できるこの能力を持っています。
価値観の第二は、自由と他の人権に対する権利です。外出自 粛の短期間の中で、私たちは自由がいかに価値の高いものだということを十分に体験しました。特に、実家から遠く外国に閉じ込められた人や愛する人から離れ離れになった人こそが、 自由の価値観を実感したに違いません。この観点からコロナウイルスは人類に大きな代価と苦難な方法で、私たちに人生の重要な教訓を短い間に教えてくれ た。その結果、私たちは生きていること、自由を持っていることの大切さ、そして幸せとは人生の小さな出来事にも隠されているという価値を理解させてくれました。
価値観の第三は、幸福になることです。コロナウイルスは、 権力に対する無心の闘い、所有物とお金に対する欲望、贅沢に 対するコントロールしがたい誘 惑(薬物、アルコール、パーテ ィー、ブランド製品への依存) に終止符を打つことによって、 幸福についての新たな理解に出 向くでしょう。最も重要なことは、人々がお金の価値、愛する家族、故郷、国境のなく「歩き 回る」ことの自由さを十分に理解したでしょう。 絆の強い家族、仕事と同僚、 健全な健康、優れた教育、快適な住居、ある程度の経済的独立性(中国の起業家ジャッ ク・マーによれば、100万ドルを持っていれば、あなたは幸せだが、1000万ドルを持っていれば心配事が多くなる)、長い人 生を送り、ポジティブな友人を 持ち(人間性のある人と友にな り、そうでない人から離れること)、時間管理を持つなどの価値観が幸福のコツになり、私たちが良い方向に変わっていくでしょう。 「…人間は永遠のものではない…」と、時々自分にメッセー ジを送れば、物質的なものに対する興味や欲望が一瞬で消え、 魂が働き始め、心が落ち着き、 自分の安定さを実感できます。 これは、人間であることの奇跡と贈り物であり、有意義で質の高い生活に導いてくれます。
コロナ禍が治まったら・・・
今後、モンゴルを含む世界各国が、外出自粛した人々のメンタルヘルスに特別な注意を払い、人口学及びリプロダクティブ・ヘルスを慎重に研究し、“ コロナ世代”の受け入れに備えるでしょう。国連人口基金の調 査によると、妊娠率が前年比3倍増え、低中所得者の5億人の 女性が妊娠の可能性が高いと推定されています。 もちろん、人類は今回コロナ禍に打ち勝つことができますが、次のショックに備え、予防、検査、予防ワクチン接種、 専門医療従事者の養成など、現在の知識と経験から学ぶ必要があります。この目的達成のために何をすべきですか?
1.自然環境と調和しながら共存し、自然の恵みを保護し、 環境の修復、生態系に悪影響を与える可能性のある採掘活動を直ちに停止すること。
2.私たちは人道的で思いやりがあり、誠実さを保ち、愛情深く真の友情のルールに従い、妥協し、合意により全ての対立と誤解を解決することを学ぶこと。
3.環境に優しく、生産性が高く、節約的な消費経済を向上し、国内需要を完全に満たし、独自(unique)の輸出政策を取り、調達、計画、支出および管理の全ての段階で透明性のあるデジタル経済を実現すること。
4.強化農牧業に基づく健康的でアクセス可能な食品システムを確立し、国内需要の完全な供給、限られた量の高級食 材の輸出、革新的な家畜の保健システム構築、科学汚染のない健康で安全な食品を生産し、国民に提供すること。
5.根拠なく効率の低い社会福祉政策から質の高い生活を支援したインセンティブシステムを整えた社会保護政策に移行しなければならないこと。
6.包括的な相互信頼の永遠の両隣国の政策のほか、第三隣 国の外交政策を追求し、同国の地政学的及び経済的利益を引き寄せた国家及び国益を優先するソフト・パワー外交政策を取ること。
7.道徳、習慣、国の文化、伝統を尊重する人道の原則に基づき、政治的干渉を受けず、 人権を尊重した体制に移行すること。
8.デジタル貿易と情報技術の競争に備えるために、サイバーと情報の安全を確保し、 ビッグデータに基づいて完全に保護された国家情報システムを確立し、オンライン商業サービスのハッキングを防止し、人口知能の定着を目的とする行政機関を迅速に設立す ること。
9.国の優秀な科学者と研究者により、モンゴルの水資源、 食料供給、独立したエネルギ ー源に対する評価を行ない、 再計画と再設計のマスタープランを作成し実施すること。
10.最新情報技術と理論、方法論、研究を組み合わせた応用 科学を開発し、国家予算の一定 分を法制化し、科学者と研究者 の研究を評価し、インセンティ ブメカニズムを備えた科学的システムを確立すること。
11.将来のすべての知的、 社会的、政治的、法的、文化的関係のニーズを満たす応用教育システムを開発します。 将来の科学者、政策研究者、 システムアナリスト、経済アナリスト、獣医、ビッグデータ、人工知能、情報技術で世界的教育機関でトレーニング、再トレーニング、研究させ、一流の熟練した人材を養成すること。
12.学術研究、調査、実験、 実習、診断医療を組み合わせ、民間セクターに基づく医療サービスを提供し、最先端の機器と高質の医薬品を使用し、熟練した医療従事者から構成される医療システムを促進し、適正な健康保険制度を確立すること。 もちろん、人類と現代科学は間違いなくCOVID-19に打ち勝ちます。だが、G20サンミッ トのように「スーパーコロナ20」という新な組織が設立され、私たちの持久力を試めすかどうかを誰も知りません。 したがって、私たちは地球を愛し、団結し、既に陥り始め た経済危機に事前に備え、個人、家族、組織、政府は経費削減対策を講じ、貯蓄を目的 とする政策を取り、予想され るプロセスと反プロセスの両方を分析し、予測、先制、忍 耐という“モンゴル的な知 性”を発揮せよと言いたい。
エネルギー副大臣のベスド・トゥデブフー・ガントルガ政治学博士(Ph.D)教授T.ガントルガ政治学博士