オンラインランニング世界選手権の銅メダリスト・ガンゾリグ氏:将来的にランニングを支援する国際機関と協力し、オンラインマラソンを広めることを目指しています
カルチャー
コロナ禍におけるテレワーク やステイホームは、新しい働 き方を実現させるとともに、ストレスや運動不足を挙げる人も少なくありません。イギリス在住のモンゴル人、ウラーンフー・ガンゾリグ氏はア マチュアランナーとして世界 中のマラソン大会に参加し、モンゴル代表チームを率いてオンラインランニング世界選手権で3位になり、銅メダルを獲得しました。オンラインランナーを支援する「MGLランニングチャンネルNPO法人の設立者でもあるガンゾリグ氏にオンラインマ ラソン大会などについて聞きました。
――まず、数日前の「東京マラソン-2021」に参加し、完走メダルを獲得しました。おめでとうございます。このスポーツを始めた理由から話しを始めたいと思います。
私は走り始めて4年近くなります。プロ以外のランナーは健康ランナーと言われていますが、私はそういうランナーです。時間がある時に、健康に気を配り、ストレス解消のため趣味半分で、現在住んでいるイギリスでいくつかのマラソン大会に参加しました。海外では、人々は日常的にランニングやウォーキングしますが、環境の影響も受けたと思います。また、イギリス在住モンゴル人のランニングクラブもあります。彼らに誘導され、ランニングに興味を持つようになりました。ランニングは、時間に捕らわれない、ジムなどの特別な機器を使用せずに運動できるという利点があります。生産性の向上や心の健康などの多くのメリットもあるので、ランニングをし始めました。
――イギリス在住ということですが、差し支えなければ現在のお仕事について教えていただけませんか。
私は、モンゴル国立大学政治学部を卒業しました。そしてチェコのトーマス・バタ大学に留学し、その後、イギリスのウエスト・ロンドン・ビジネス・カレッジを卒業しました。また、イギリスのウェストミンスター大学大学院で奨学金を受け取り、国際関係・政治学の修士号を取りました。現在は、ロンドンの大手映画制作会社に勤めているが、趣味でフォトスタジオも運営しています。
昨年、モンゴルで「MGLランニングチャンネル」NPO法人を設立し、ランニングする世界中のモンゴル人とランニングに関わる情報や経験を共有しています。
――これまで参加したマラソンについて詳しくお聞かせください。
COVID-19パンデミックのため、最近のマラソン大会はオンラインと対面の2つの選択肢が設けられています。昨年は、ロンドンマラソンに実際に走りました。ベルリンマラソンに直接参加する予定でしたが、パンデミックにより国境を越えることが困難で、来年は走りに行きます。
世界のトップ6・マラソン大会には、ベルリン、ロンドン、シカゴ、東京、ニューヨーク、ボストンマラソンが入るが、今年はシカゴとベルリンを除いて、他の大会はオンラインで開催されました。私は東京、ボストン、ニューヨークのマラソンにはオンラインで参加しました。つい数日前、東京マラソンの完走メダルを郵送で受け取りました。非常に印象的なメダルが他の記念品と一緒でした。
東京マラソンは、世界で最も有名な大会の1つですが、いつか直接行って、走り、楽しい時間を過ごしたいと思っています。もちろん、世界のトップ6大会にも直接参加する予定です。
そして、2020年、昨年(2021)年のロンドン大会ですが、私もギネスブックに3回も登録されました。
――ギネスブックに3回も登録されましたとは、詳しく教えて下さい。
2020年には、史上初にロンドンマラソンがオンラインで開催されました。開催された24時間で、世界中から3万7966人のランナーがオンラインで走り、ギネス世界記録として正式に登録されました。昨年は、9月19日にギネス世界記録10㌔レース、9月25日に5㌔レースに参加し、ギネス世界記録に貢献しました。そして、公式ギネス世界記録を3回も獲得したことを大変うれしく思っています。
――ガンゾリグさんは、モンゴルチームを率いてオンラインランニング世界選手権「Vitality Running World Cup」に参加し、3位になりました。これについても詳しくお聞かせください。
オンラインで参加できるランニング大会はCOVID-19パンデミック以来、かなりの程度発展しています。オンラインランニング世界選手権は2018年から始まりました。私たちモンゴル代表チームは2020年に初めて参加しました。残念ながら、パンデミックのため、最終ラウンドはキャンセルされましたが、当時、237カ国が参加し、我がチームは18位にランクインされました。2021年には、9月21日から10月10日までの3ラウンドで開催され、230か国以上のチームが参加しました。私たちのチームは3位になり、銅メダルを獲得しました。
各参加国にはチームキャプテンがいます。例えば、ジャマイカのキャプテンはウサイン・ボルト五輪金メダリスト、イギリスのキャプテンはジェシカ・エニス=ヒル五輪金メダリスト、南アフリカのキャプテンも五輪金メダリストのウェイド・バンニーキルク選手でした。私は、プロ選手ではないがモンゴルチームのキャプテンとしての任務を果たしました。
オンラインランニング世界選手権は必ずしもプロのアスリートではなく、ランニングに興味のある人なら、世界中どこに居ても、自国の代表としてワールドカップに参加する機会を提供しています。同大会は走るだけでなく、走行距離3㌔ごとに1個のワクチンを寄付する仕組みとなっており、合計18万9403個のワクチンを国連児童基金(UNICEF)に寄付しました。
また、同大会に参加するモンゴルチームを「MGLランニングチャンネル」が全面的に支援しました。
――モンゴルで設立された「MGLランニングチャンネル」NPO法人の今後の目的はなんですか。
「MGLランニングチャンネル」NPOを2年前に設立しました。世界中にいるランニング好きなモンゴル人と情報を共有し、マラソン大会への参加を支援することを目的としています。現在、世界各国に在住する15人の理事と3人の名誉会員がいます。日本には2人の理事がいます。将来的にランニングを支援する国際機関と協力し、オンラインマラソンを広めることを目指しています。
――将来ランニングしたい、またはオンライン大会に参加したいと思う読者にアドバイスを頂けませんか。
オンラインランニング大会の最も重要な意味は誰でもどこからでも参加できるということです。スマホにアプリをダウンロードし、可動し、そして走るのみです。たとえば、Strava、Runkeeper、Adidas running、Healthなどのアプリがお勧めです。世界最大のマラソン大会(ロンドン、ボストン、ニューヨーク)には、独自のアプリがあります。アプリには、誰が、いつ、どこで、どの速度で、何㌔、どのルートで走っているのかを確認できるという利点があります。
そして、ランニングを始めたいと思う初心者の場合は、最初に数回の早歩きをすることをお勧めします。その後、ゆっくりと走り始めるのがベストです。また走る前にウォームアップし、走った後にエクササイズをすることが重要です。そうすることで、膝などの重傷または軽傷を防ぐことができます。そして、一人でずっと走っていると飽きてしまう場合があります。ランニンググループやクラブに参加することで、継続性を保つことが出来ると思います。