ダワーダライ氏:自然保護とグリーン開発に国民合意が最重要
政治
(ウランバートル市、2025年、2月11日、国営モンツァメ通信社)モンゴル国大統領の後援の下で第3回「モンゴルの持続可能な金融フォーラム2024」が開催された。今回、B.ダワーダライ・モンゴル国大統領経済政策顧問に話を伺った。
ーー今回のフォーラムで討論された課題は何ですか。フォーラムの特徴は何でしたか。
11月27~29日にかけてモンゴル国大統領の後援の下で「モンゴルの持続可能な金融フォーラム2024」が「モンゴル国 ―グリーン開発の金融調達」をテーマに開催された。フォーラムは3年目を迎え、大統領府、モンゴル持続可能な金融協会、ハーン銀行、国連モンゴル事務所が共催した。今回のフォーラムに規制機関、民間企業、市民社会の代表など各分野のグリーン開発リーダーたちが参加し、今後の協力と活動について話し合った。モンゴルにとって最優先的な課題は気候変動、土壌劣化、砂漠化である。また、モンゴルは持続可能な開発目標(SDGs)およびパリ協定の下で、2030年までに国際的な義務を果たさなければならない。従って、今回はグリーン開発、グリーン転換、その資金調達について明細に議論した。
ーー新政府は、グリーン開発、グリーン転換などに取り組んでいるのは、時宜を得たと思います。フォーラムでどのような成果が得られましたか。
一番大事であると思うのは、政府が市民や企業に対して、グリーン開発に関する具体的なプロジェクトやプログラムを詳細に説明したことである。今回のフォラームで、政府は市民と企業に対して3つの主要な情報を提供した。
1. 政府はエネルギー分野の改革と再生可能エネルギー・プロジェクトを実施する。
2. 農業分野では「食糧革命」、「ホワイト・ゴールド」、「新協同組合」の3つの国民運動が実施され、現在実施中の農業プロジェクトとプログラムの融資と資金調達において、グリーン開発基準を設定する。
3. 環境に優しく、省エネの住宅を建設した場合、住宅ローンに適用する。
ーーエネルギー、農業、建設分野を重視したのはなぜですか。
モンゴルが排出する温室効果ガスの約90%がこの3分野に関係している。そのため、これらの分野に注力することで、成果を出すことができる。具体的に、現在は家畜100頭のうち6頭だけが集約的に飼育されている。もちろん農業を100%集約的に開発することはできない。私たちモンゴル人は伝統と文化を守るべきである。しかし、特定の割合を環境に優しいものにし、グリーン発展を支援・発展させるのが適切である。つまり、100頭の20頭が農場方式で飼育されれば、環境を保護し、グリーン転換を一段と進めることができる。
ーーモンゴルに適した解決策は何ですか。国際専門家とモンゴル人専門家の提案は何ですか。
モンゴルは2030年までに温室効果ガスの排出量を22.7%に引き下げる目標を設定しており、そのため、二つの政策を実施しなければならない。まず、エネルギー分野の改革と農業分野の強化であり、家畜の頭数を環境に優しく適切なレベルに維持することである。さらに最重要な解決策は、二酸化炭素排出量の多い産業に税金を課すことであり、ビジネスが環境に悪影響を及ぼす場合、高額な税金を支払う原則である。環境への影響が少ない場合は、低額な税金を支払う。他の国々では、同制度を基本政策として採用している。モンゴルにはその規制がまだ導入されてない。モンゴル銀行は課税に関する調査を行っている。これは非常に公平なシステムである。一方、グリーン・ローンを利用した市民や実業家は低金利で長期ローンやインセンティブを受けることができる。
ーー全ての事業の推進力は資金調達である。モンゴルは資金がいくら必要ですか。
2030年までに温室効果ガス排出量を22.7%削減する目標を達成するには、110億米㌦が必要である。この一環、2021年にフレススフ大統領は毎年、環境分野に国内経済の1%に相当する資金を徴収する計画を立てた。つまり、モンゴルの経済が70兆トゥグルグとすれば、7000億トゥグルグがグリーン開発に費やされる。ただし、国家予算だけでなく、民間企業や国際機関など全ての財源を活用する。
ーーモンゴルはグリーン・ファイナンスの調達にどのような方法を利用していますか。
モンゴルに環境分野資金調達の世界ベストプラクティスが導入されている。この一環、世界自然保護基金と共同で「環境永続的な資金調達プログラム」を確立した。現在、国際投資家の助成金により7000万米㌦が投資されている。2030年までに政府と民間企業の協力により、さらに1億米㌦を調達する可能性がある。同基金の目標は、2030年までに特別保護地域の面積を30%に到達させることであり、モンゴルは同目標を法的に保障した。現在、特別保護区の面積は20%である。
ーーリーダーシップにおいて銀行と金融機関がより積極的であるようです。2030年までにグリーン・ローンを10%に到達させるという銀行の目標はどの程度現実的ですか。
銀行と金融機関はそのように取り組まなければいけない。近年、投資家が環境やグリーン開発に投資している。世界がグリーン・ファイナンス基準を採用している。モンゴルも世界的な基準に採用しなければ、国際市場から投資や資金を調達する可能性が低下する。
ーー新政府が自然環境・気候変動省を設立したことは、モンゴルがグリーン・ファイナンスに注力していることの表れですか。
フレススフ大統領は、国連気候変動会議に出席し、環境と気候変動問題に大きな注意を払っている。 オユンエルデネ首相もサウジアラビア王国のリヤド市で開催された国連砂漠化防止条約第16回締約国会議(COP-16)に出席した。さらに、連立内閣は環境観光省を自然環境気候変動省に再編した。近年、自然環境・気候変動に関する法律と法的環境を検討するよう国際機関に言われている。一部の国は「気候変動法」という独立した法律がある。その法律に気候変動に関する全ての内容が含まれており、政府の統治、各省庁の責任、資金調達方法などが盛り込まれている。
ーーお忙しい中、お時間を割いていただき、ありがとうございました。