高齢者権利に関する条約採択を求める「ウランバートル・アピール」
特集
(ウランバートル市、2025年9月13日、国営モンツァメ通信社)2025年6月19日~20日に、モンゴル人権委員会の提唱により「アクティブ・エイジング:高齢者に優しい社会の構築」をテーマとしたアジア太平洋地域フォーラムが開催された。
フォーラムの参加者らは、高齢者の権利保護、法的環境の整備を目的として「ウランバートル・アピール」を発表した。同アピールを通じて高齢者の権利に関する独立した条約を採択する国際取り組みを支持するよう世界に呼びかけた。
「ウランバートル・アピール」は以下の通りである。
1.全国連加盟国が高齢者の権利を完全に享受させ、保護し、支援するための国際条約を起草・採択することに対して強い意思を持ち、条約の草案を作成する公開作業部会の活動に積極的かつ実質的に参加すること。
2.全国家人権機関(NHRI)、特に「Aステータス」を有する機関が同問題を優先課題と位置づけ、以下の権限を強調すること。
а.人権理事会、普遍的定期審査(UPR)、政府間の公開作業部会などの国際的・地域的プロセスに直接関与すること。
b.人権に関する国際基準を国内の法律や政策に反映させるため政府を支持すること。
c.高齢者に対する差別、無視、虐待、暴力、特に高齢者介護施設や緊急事態時に発生する人権侵害について監視・調査・報告すること。
d.全年齢の人々に優しい社会を構築するため、市民社会のネットワークや連合、高齢者、研究機関と連携して取り組むこと。
e.全ての基本的な職務および組織の権限に高齢化の課題を組み込むことによって、高齢者の権利を最優先とすること。
f.高齢者の権利のために働きかけ、積極的な参加を通じて前述の権限を実行に移すことができるよう、「Bステータス」の国家人権機関がパリ原則を完全に遵守することを支持すること。
3.高齢者に関わるあらゆる意思決定において、彼らの完全かつ実質的で継続的な参加を保障する仕組みを構築すること。この際、特に女性、高齢の農村住民、障害者、差別を受けている他の人々の声に特別な注意を払うこと。
4.高齢者の権利を保護するために新たに生じている緊急課題を解消することについて、長年にわたり提起されてきた呼びかけや要求を改めて強調する。策定予定の国際条約に高齢者の法的能力、意思決定能力、自立、介護サービス、デジタル・アクセス、公正な司法享受、暴力・虐待からの保護、平等の確保などを盛り込むこと。
5.女性高齢者が自らの権利を享受する上で生涯にわたるジェンダー不平等がどのように影響しているかに特別な注意を払うこと。
6.各国および開発パートナーが以下の措置を講じる。
а.開発計画、支援プログラム、災害対応措置、予算編成において、高齢者の権利保護を明確に位置づけること。国家および地方レベルの計画実施に関する報告に多様な関係者の参加を確保すること。その際、高齢者と女性の特有のニーズと貢献に、人道支援活動や復興努力の中で十分に配慮すること。
b.高齢者の権利と尊厳を守り、商業的手段として利用されることを防ぐとともに、経済的に自立し、社会の積極的な担い手として関わることを保障すること。
c.高齢化に関するエビデンスに基づく政策立案に情報を提供し、保健、社会保障、基本的なサービスへのアクセスにおける不平等を特定・解決するために、年齢、性別、障害の有無、地理的な所在(都市/農村)、その他の関連要因に分類されたデータを定期的に収集・分析・報告すること。
7.高齢者が権利の主体であり、社会の積極的な参加者であることを認める制度改革を行うこと。行政機関、民間企業、マスメディア、教育制度は年齢による差別に対処し、世代間の相互理解を促進すること。
8.世界各地で続く武力紛争は、一般市民や高齢者に深刻な苦しみと重傷をもたらし、命の危険にさらし続けている。私たちは、全ての当事者に対し平和的な解決策を模索し、国際人権法および人道法を完全に遵守するよう強く呼びかける。
9.私たちは、国連システム、特に人権高等弁務官事務所、アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)、世界保健機関(WHO)、国連人口基金(UNFPA)およびその他の関連機関に対し、人権に基づいた高齢化政策への技術的、方法論的、財政的な支援を求める。また、私たちは、国家人権機関(NHRI)世界連盟、アジア太平洋地域NHRI会議および他の地域ネットワークに対し、高齢者の権利に関するNHRIの取り組みを調整・統合し、能力強化と支援を進めるよう呼びかける。
10.国連人権理事会および国連総会の公開作業部会の活動が透明性があり、関係者の参加を確保し、十分な財政的資源を持ち、明確な期限を設けた上で、世界高齢者の現実の生活状況を反映した国際条約を早急に採択することを求める。