世界的人形作家、蒼成院母祥さんがモンゴルの子どもに伝える “こころ”

カルチャー
naranchimeg199@gmail.com
2018-04-04 12:38:14
 今から5年前、日本・モンゴル外交関係樹立40周年記念行事の一環で、国内外に著名な人形作家・蒼成院母祥さんの人形展「美しい日本の芸術」がザナバザル美術館で開催された。その技巧の精緻さと独特の美意識で観客を圧倒させたことは記憶に新しい。その母祥さんが再びモンゴルに戻って来た。同行は日本親善協会会長の柳沢徳治さんと、実娘で人形作家のレイさんの二人。


 3月19日、バガトイーロード通りにあるモンゴル子ども芸術センターにおいて、母祥さんは、ここで芸術を学ぶ子ども達50人を前に、人形に衣装を着付けする実演を見せながら、やさしく子ども達に語りかけた。人と人形が通わす“こころ”の大切さ。そして、人形を通して日本伝統文化の奥深さと技術の粋の一端を披露した。自作の日本人形“やまとちゃん”をモデルに、着物の生地がカイコから生まれた絹であること、着物は母から子へ、子から孫へと何代にも伝えられ、作り直しが出来ること、帯が長いのは古くなれば切って使える便利さ、長い紐は着付けの道具として使うだけでなく、いざという時にはきれいな着物を守るたすきにして使えるなど、「分かりますか」と子ども達に寄り添いながら解説を続けた。「今回はプレゼントとして“さくらちゃん”という人形を置いていきます。寂しくないように可愛がってあげてね」と、子ども達と約束するなど、今後、長く続く日・モの文化交流に期待を寄せた。前回、出会ったモンゴルの人形作家チンバット・エンクーシーさんの才能を見出し、日本へ招いて次々と展覧会を開く道をサポートした。「私の人形は“静”、彼のは勤労する姿を作品化した“動”。二人の対比が面白い」と言う。技術向上の指南役も果たしている。人形の文化親善大使“さくらちゃん”を抱えて、次はドバイに行く。さらに世界各国巡り、特に子ども達に人形作りを手ほどきしたいという。まだまだ元気な83歳。