奥村大海さん(33歳): 厳寒のゴビ砂漠をテント泊、自転車で横断1110キロ、自分の限界に挑戦、励ましてくれた遊牧民の優しさに感動

カルチャー
dashtseren@montsame.gov.mn
2019-04-18 09:59:47

ある食堂で相席になった青年と話したら、昨春と今年2月、厳寒のゴビ砂漠を単独自転車横断したという面白い話の展開になった。数日後、インタビューが実現した。


――自転車に乗って単独、厳しい冒険旅行をするきっかけは?

中学生の頃、オーストラリアに短期留学し、海外に興味をもった。21歳の頃、オーストラリアを自転車で縦断した人の話をウェブで見て、「よし、自分もやってみよう」と、丸々ぜ~んぶ真似して3600キロを2カ月で旅した。次第にアフリカへの思いが昂じ、25歳でママチャリに乗り、半年かけてケープタウンからナイロビ8000キロを走破した。さらに南米チリへ。GPSを持って緯度と経度を計り、道を使わない旅をした。昨年4月、初めてモンゴルの砂漠1110㌔にトライし、今年は敢えて厳寒のゴビ砂漠に挑んだ。


――いつも一人旅ですか。どんな自転車ですか
いつも単独です。危ない旅に人は誘えない。ファトバイクというタイヤ幅が13cmある自転車をひたすら両手で押して歩く。荷物込みで100キロ。何度、重い自転車を捨てたいと思ったことか。それでも前に進むしかない。壊れたら自分で修理します。旅は日本で綿密に計画し、自分で地図を作る。携帯食は160個くらい持参、それだけで20キロはある。さらに水は30ℓは必要。春だと1日に5ℓは使うのです。 

――自転車の砂漠横断では、いろんなエピソードがあったでしょう? 
怖かったのは砂嵐。ものすごい迫力で砂の壁が迫ってくる。短くて4時間、長いと12時間も続く。「頼むからテントを破らないで!」、必死に祈るしかない。体力消耗しないよう、じっと動かないでやり過ごす。毎日、その日が終わったら心身ともにぐったり。1回の旅で6キロは痩せる。遊牧民たちは「死ぬからやめろ」と誰もが止める。それでも彼らは心から親切で優しい。水をわけてもらってお金を出すと、毅然として受け取らない。逆に励ましてくれました。胸がジーンと来ますね。ゲルはどこでも歓待してくれる。そんな人たちの魅力に惹かれ、この冬、雪の降る12月にもう一度来て1000キロの旅を計画するつもり。矛盾するようだけど、今度は遊牧民もいない、文明と隔絶した状態に自分を置き、誰もがやったことのない、雪プラス砂漠と言う困難な旅に挑みたい。 


――道中で出遭う危険なことと言えば?
アフリカではライオン出没区間の70キロを泣きながら必死で自転車を押し、4時間で逃げ切った。怖いですよ。モンゴルの砂漠ではオオカミ地帯。前方でオオカミを目撃しました。

――テント生活で困ったことや、食料事情などは
テントの中でもマイナス22度。「寒い!」、置いた水も凍ってしまう。水は溶かして、雪は浄水器を通して使う。最近の用具はいいものがあって、頑丈なテント、しっかりした防寒服、乾燥食糧などに助けられています。死なないために絶対要るのはGPSとコンパスです。いつか昔の人が使った六分儀だけで旅してみたい。

――ご家族の理解はある のですか? 
登山をしていた父は応援してくれますが、母は心配を通り越して諦めています( 笑)僕の名前は大海(ひろみ)なので、旅はやっていく運命かも。 

――旅の資金はどうしていますか?
今は、特別養護施設で介護の仕事をしています。1年に7ヶ月働き、3カ月旅に出る。そんな具合ですが、職場の理解と応援があって続けられています。 

――将来の展望は? 
40歳までは今のままを続けるつもり。でも、2年後くらいには結婚もしたい。相手がいるので、子どもも欲しい。問題は収入。家族をもったら、いまのままでは無理。難しいですね。 

――旅の記録はどうしていますか? 
現地では毎日、日記をつけ、日本に戻ったらブログに書き込みます。いろんな意見や励ましをもらいます。自分の体験を小学校などを回って話していきたいです。夢を持ち、忍耐して頑張れば何でもやれることを伝えたい。

――ありがとうございました。まだまだ冒険は続くと思いますが、頑張ってください










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