WWFモンゴルのガントルガ生物学博士: モンゴルサイガの7割が双子出産

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2020-05-27 13:27:19

  最新統計によると、モンゴルでは5070頭のモンゴル・サイガが生息している。世界自然保護基金(WWF)がサイガ保護して以降、2014年には1万5000頭にも達した経緯がある。しかし、小反芻獣疫(PPR)や、干ばつとゾド(雪害)のため、その頭数は2018年には3000頭にも減少した。WWFモンゴル事務所の生物学専門家B.ガントルガ博士にサイガの保全と研究についてインタビューした。

 モンゴル・サイガの起源は200万年前に

 ――最新統計では何頭のサイガが生息していますか? 絶滅危惧をどう定義していますか?

 今年1月に実施された調査によると、モンゴル・サイガは5000頭を超えています。モンゴルだけでは、特にゴビアルタイ県とホブド県に生息しています。世界にはサイガの亜種が2つあります。1つは「サイガ・タタリカ」またはサイガ、もう1つは「サイガ・タタリカ・モンゴリカ」またはモンゴル・サイガです。カザフスタンとロシアにはサイガ・タタリカがいます。これらの亜種は、生息地分断化、密猟、家畜の放牧地及び重複領域のため、1980年~2000年には世界中で100万頭から9万頭に減少しました。モンゴルサイガは、2002年に国際自然保護連合によってレッドリストに危急種として記載されました。モンゴルでは、1930年代から狩猟禁止となり、法律で保護されています。

 ――2010~2012年に行われたWWFモンゴル事務所の調査によると、モンゴルサイガの頭数は約8000頭。現在、5000頭ぐらいとすると、ますます減っていますね? 

 わが機関は、過去20年間サイガの頭数を監視し、研究しています。モンゴル・サイガの頭数は、2001~2002年のゾドで約750頭にも減りました。その後、保護活動の強化した結果、2014年までにその数は1万5000頭になったのです。少しずつ減りながら2016年に1万1000頭になりました。残念ながら、小反芻獣疫のため2016~2017年に55%減り、5000頭になりました。2018年明けごろ、4日間続く吹雪によりサイガの40%ほどが死亡し、3000頭に足らない状況に陥った。夏営と冬営が良いため、昨年

5070頭に増えたという朗報が届いたのです。

 ――モンゴル・サイガの起源はいつですか? どんなものを食べますか?

 サイガの多くの亜種が存在していたことが研究者らにより判明されました。1760~1953年の間に、10種のサイガが確認されました。考古学的研究によると、サイガは約200万から70万年前に起源したと一部の研究者がみなしています。モンゴル・サイガはゴビに適応した砂漠の動物です。ということから主にゴビ砂漠のバガロール(rheum nanum)やボダルガナ( Salsola tragus)などの植物を食べます。

 ――どの動物も地球と調和しながら生態的均衡を維持しています。モンゴル・サイガにとってゴビ砂漠の生態的均衡を保つ役割は何ですか?

 もちろん、モンゴル・サイガはゴビ砂漠の捕食者の食物連鎖の一部です。一方、群れになって生息するので、ゴビ砂漠地帯の牧草を輪作し、サイガ糞は土壌の肥沃にするには良い影響を与えます。またはゴビの種をまいたり、土をほぐすのに重要な役割を果たしていいます。モンゴル・サイガは時速90キロまで疾走。

 ――サイガには2種類があると言いましたね。モンゴル・サイガの違いは何ですか?

 モンゴル・サイガは障害物がほとんどないゴビ砂漠に順応しています。これは、捕食者から身を守るために非常に速く走るからです。最高時速90キロで5~10分間も疾走することができます。これと関連しサイガの鼻腔が大きくなっているのです。そのため、冬の寒さの中でも、長い時間かけて疾走できます。

 ――北極熊やパンダなどが絶滅危惧種になっていることは世界的に課題になっています。同様に、WWFモンゴル事務所がモンゴルの絶滅の危機に瀕しているマザーライ(ゴビ熊)、モンゴル・サイガなどの動物を世界の注目を集めるためにどんな活動をしていますか。

 2016年、WWFモンゴル事務所は、絶滅の危機に瀕しているゴビ砂漠の5種の動物の保護を目的に「5つのゴビ素晴らさ」イニシアチブを設けました。その一環で地元の自然保護団体と協力し、資金調達や他の情報提供などで連携を深めています。

 ――ソーシャルメディアではサイガのマスクを被った人が通りを歩き、各業界の名人と写真を撮ったり、情報提供したりしている活動が話題になっていますが、これについては?

 WWFも「サイガ」キャンペーンを企画しています。モンゴル・サイガっていったいどんな動物であるか、なぜ絶滅危惧種になっているかなどを国民に知らせることが主な目的です。PPRが再発すると、モンゴル・サイガ頭数がさらに減少するリスクが高いです。

 ――この動物が減少する危険要素は何ですか。

 PPRは2006年にモンゴルで初めて発生しました。特に野生生物に感染したのが初めてのケースでした。感染症対策の経験もありません。だが、2006年には世界自然保護基金の主導で、環境省や他の地方自治体の迅速対応作業部会が動物の死骸の処分や、消毒を迅速に組織しました。気象状況や病気がいつ変化するかは予測不可能です。専門家によると、PPRは2~3年後に再発する可能性が高いとか。再発するとサイガ数がさらに減少するリスクが高いです。

 ――モンゴル・サイガは家畜から感染したと理解してもいいでしょうか?

 家畜からの感染とは確認されていないが、ちょうど2016年8月にモンゴル・サイガが生息する山脈付近で家畜がPPRに感染しました。そこでサイガは同年の12月にこの感染症で死亡し始めたという事実は、この可能性を高めています。

 ――サイガの主な敵はイヌワシだそうです。これはなぜですか?

 繁殖季節には、イヌワシ、オオカミ及びキツネとコサックギツネが子サイガを捕獲するからです。

 ――サイガはいつ出産しますか?

 サイガ分娩は12月中旬に始まり、6月中旬に出産します。つまり、妊娠期間は約5~6か月です。B.ブーベイバートル研究者によれば、良い牧草地と冬営が良ければ、サイガの約70%が双子を出産するというのです。

 ――サイガの寿命は?

 年齢の調査はありませんが、平均寿命は約5年であるという調査があります。