モンゴル・日本の宇宙の架け橋 今後50年、両国のパートナーシップに期待

政治
manduhai@montsame.gov.mn
2021-08-06 12:28:17

 古代モンゴルの遊牧民は何千年もの間、自然、気象、地理的特徴と条件に適応させながら、太陽、月、星の位置で宇宙を研究し、日常生活で採用してきた豊かな伝統を持っている。

 遊牧国家は国政、征服事業、大事業を始める時に占星術を用い、太陽、月、星の動きを観察しながら計画していたのが、匈奴時代から大モンゴル帝国、さらに後のボグドハン政権時代にも受け継がれてきた。チンギスハーンの孫フラグ・ハーンが1260年代に中近東を征服し、ペルシャとアラブの天文学の伝統を引き立てて支援し、フビライハーンに送ることで、世界の天文学と宇宙論の発展へのモンゴルの実質的な貢献が始まった。古代のハーンたちによりスタートした惑星の研究は、現代の宇宙科学に拡大し、1981年にモンゴル人民共和国と旧ソ連邦のインテルコスモス共同事業になり、モンゴル人が宇宙飛行を体現して40年が経った。

 遊牧民の宇宙論を引き続きモンゴルの若手エンジニアらが2017年に人工衛星「マザーライ(ゴビ熊の名)」を日本の科学インフラに基づき製作に成功し、歴史の新たなページを開いたのである。現在、人工衛星二号機「テムーレル」をモンゴルで製作し、2022年に打ち上げるよう努めている。

 現代の宇宙科学の発展はモンゴルの社会経済発展に反映し、直接及び間接的に使用されている。宇宙研究は科学のみならず、社会発展にも不可欠で経済の強力な機動力だと考えられる時代になっている。

 モンゴルでの宇宙技術の開発を目指す若手エンジニア、学者、研究者らが合併し、2017年にモンゴル宇宙技術協会(MOSTA)を設立し、現在会員数が200人に増え、活動が拡大している。MOSTAはモンゴルの宇宙技術開発を次の5つの方針で促進するよう目指している。

1. 宇宙政策、宇宙法

2. 宇宙分野における対外関係

3. 宇宙科学の基本調査

4. 宇宙科学の人材、ステム教育

(STEM)

5. 宇宙ビジネス、宇宙経済

 モンゴル政府、国会が採択した国家長期開発計画「ビジョン2050」に宇宙分野の具体的な開発を取り入れている。この一環で、宇宙政策、法律を作成、人工衛星プログラムの実施、宇宙工学のインフラ整備、人材育成等が総合的に盛り込まれている。

2021年3月22日はモンゴル人の宇宙飛行40周年に当たり、モンゴル国首相管轄下に「国家宇宙技術開発会議」を設置すると決定された。 若い宇宙技術エンジニアと起業家によって設立されたモンゴル・ナショナル・スペース・システムズ・コルポレーション(MNSS)はモンゴルで宇宙技術に基づき付加価値のある宇宙産業とビジネスを発展させることを目指している。

 モンゴル経済の主要分野に宇宙技術を導入し、衛生画像を採用したスマート農業、技術をベースにした牧草管理のある酪農経営、鉱業、採掘、探査調査、及び鉱山閉鎖における衛生画像の使用、他の活動を宇宙から監査するなど、先端技術の分野で宇宙技術のアプリを使用すれば、多くの雇用創出と付加価値のある生産、競争力を高めることができる。

1.自然災害、洪水、干ばつ、冷害、砂漠化、水不足、森林火災対策など、非常時の全てのニーズに対応する

2.グリーン及び自己回復力のある経済を構築

3.自然環境の保護、地球温暖化防止対策計画をモンゴルで実施することを目指すなど、モンゴルの宇宙分野の若者らが努めている。

 MNSSのもう一つのビジネス目標は国内に人工衛星試験開発センターを設立し、人工衛生を製造することである。計画によればMNSSは2024~2025年にリモートセンシング衛生を軌道に投入し、2030年に24台の小型衛星の観測網「衛星コンステレーション」の構築を目指している。地球の低軌道に入ることで、宇宙産業がバリューチェーンに位置し、今後、地球・月の経済の世界におけるプレーヤーになる機会が開かれる。

 MNSSの短期・中期・長期目標は

1.2024年に初の商業用低軌道衛星を打ち上げる

2.2030年の宇宙製品の国内需要を完全に満たす

3.2040年に地域の宇宙プレーヤーになる

4.2050年の地球・月経済の世界における位置付け

 モンゴルの宇宙分野の若手エンジニアらが月の研究と発見に積極的に関わっており、2021年7月20日に国際月研究MVA(Moon Village Association)のモンゴルコーディネーターに任命された。今後短期および中期的に、モンゴルのゴビ砂漠に月面基地、月面探査機、3Dプリンター施設、宇宙服、宇宙生物学、宇宙食品、再生可能エネルギーなど、多くのサブセクターを研究開発する予定である。

 日本はモンゴルの新世紀の宇宙分野の発展に重要な役割を果たしている。過去10年間で、モンゴルから1000人余りのエンジニアが日本で教育され、そのなかで衛星および宇宙システムを専門とする高レベルのエンジニアも誕生している。

 日本の多くの教授が、これらモンゴル人のエンジニアを宇宙科学での育成に心から努めてきた。この場を借りて北海道大学の高橋幸弘教授、九州工業大学の趙孟佑教授 、山口大学大学院の市川ドルジュ教授らに心より感謝したい。

 2022年はモンゴル・日本外交関係樹立50周年を迎え、次の50年の両国のパートナーシップ関係、協力を定義する時期に至っている。モンゴル・日本の友好関係は今後50年、宇宙パートナーシップ関係を築き、それに日本の宇宙企業の実際の参加と投資をモンゴルの新た開かれている宇宙ビジネスに結びつける十分な機会がある。

 今後50年間のモンゴル・日本の友好関係発展が宇宙の架け橋で結ばれるよう祈願する。



モンゴル宇宙技術協会(MOSTA)会員

モンゴル・ナショナル・スペース・システムズ(MNSS)最高経営責任者

Moon Village Associationモンゴルコーディネーター

Ts.ムンフバヤル