モンゴルとオーストリアの大統領は記者会見を開催
政治
(ウランバートル市、2025年5月26日、国営モンツァメ通信社)オフナー・フレルスフ大統領とアレクサンダー・ファン・デア・ベレン・オーストリア大統領は、公式会談の成果について記者会見を行った。
オフナー・フレルスフ大統領:
アレクサンダー・ファン・デア・ベレン大統領閣下!
何十年にもわたる伝統的な友好関係を構築してきたオーストリア共和国のアレクサンダー・ファン・デア・ベレン大統領が、モンゴル大統領の招請により、「青空の国」であるモンゴルを国賓訪問されていることに、心より感謝を申し上げる。
今回の国賓訪問を通じて、私たちはモンゴルとオーストリアの過去60年間以上の協力関係の成果を確認・強化し、今後の更なる発展や投資拡大についても話し合った。
モンゴル側は、「カラコルム市」および「フンヌ市」の建設、水道、浄水施設、エネルギー、インフラなどのプロジェクトへの投資と協力に関する提案を行った。会談の成果として、「モンゴル・オーストリア共同声明」が発表された。
また、両国の関係と協力を更に発展させるための法的文書に署名が行われた。例えば、「社会保障協定」の締結により、両国民への社会保障の提供や滞在するための良好な環境整備が可能となり、モンゴルとオーストリアで社会保険料を納付した期間に応じた年金を受領する法的環境が確立された。更に、イノベーション、技術、エネルギー、鉱物資源、経済協力、科学、音楽分野での協力、外交旅券所持者に対するビザ要件の免除に関する政府間協定など、複数の文書に署名した。加えて、近い将来、「国際道路輸送に関する政府間協定」を締結することに合意した。同協定は、両国の貿易および経済関係の強化、輸送を円滑にする上で重要な役割を果たす。
気候変動、砂漠化、土壌の劣化、食糧安全保障など、世界が直面している課題を乗り越え、解決することが私たち共通の目標であることを強調し、「10億本の植林」全国運動および欧州の「森林パートナーシップ」の枠で協力することとなった。
「食糧供給と安全保障」、「ホワイト・ゴールド」全国運動の枠で、モンゴルの国内生産の活性化、集約型畜産業の促進、先端技術の導入に向けた共同プロジェクトやプログラムの実施について意見交換を行った。
両国の保健・医療分野における協力関係は、効果的に発展してきた。オーストリア政府は、母子保健センター、がん治療センター、中央軍病院、モンゴル国立医科大学附属病院など、モンゴルの医療機関の医療機器を段階的に改善し、医療サービスの向上に貴重な貢献をしてきた。
私たちモンゴル人は、オーストリアをクラシック音楽の発祥地として、モーツァルト、シューベルト、ヨハン・シュトラウス父子など歴史に名を刻んだ偉大な作曲家によって知っている。今回の国賓訪問を通じて、文化、芸術、音楽の分野における協力関係が更に深化し、教員、学生、研究者の交流が進展することを大変嬉しく思う。
観光、教育、科学、マスメディアの分野における協力関係を一層深め、幅広い連携を進めることに合意した。また、大学間の協力を活性化させ、オーストリアに留学するモンゴル人の人数を増加させ、「大統領メッセージ2100」奨学金プログラムの枠で協力することとなった。
両国は自然保護や持続可能な開発の推進、自然環境に優しいライフスタイルの尊重、内陸国の開発問題など、地域および国際関係における重要課題について共通の立場におり、国連やその他の国際機関の枠で協力関係を一層強化することを確認した。
両国は、2026年に迎える「国際放牧地・遊牧民の国際年」およびウランバートル市で開催される国連砂漠化対処条約第17回締約国会議(COP17)の開催に向けて、協力することとなった。
アレクサンダー・ファン・デア・ベレン大統領:
尊敬するオフナー・フレルスフ大統領閣下!
まず、モンゴルへご招請したオフナー・フレルスフ大統領閣下に心より感謝を申し上げる。
今回の訪問は、オーストリア大統領としてモンゴルを訪れる初の国賓訪問であり、オーストリアがモンゴルとの関係を非常に重視していることの表れである。
また、30年間以上前に民主主義と法の支配を尊重する道を選んだモンゴルの歩みを、我が国が高く評価し称賛していることの証でもある。
美しいモンゴルは、オーストリアから地理的に遠く離れ、地政学的にも大きく異なり、決して容易ではない環境にあるが、それにもかかわらず、オーストリアとモンゴルは、政治、社会、国際社会の枠組みにおいて共通の価値観と理念を共有している。
現在、国際社会は大きな試練に直面している。世界各地で情勢が悪化し、多くの武力衝突や紛争が発生し、一般市民に甚大な被害と苦難をもたらしている。欧州に位置するオーストリアにとって、ロシアのウクライナに対する侵略戦争は最も深刻な懸念事項である。同戦争は、一方で安全保障を脅かし、他方で自由、民主主義、人権といった私たちの大切な価値観の根幹を揺るがすものである。
価値を尊重し、民主主義の基本原則に基づく体制が確実に維持される保証はなく、私たちは自国の歴史からもよく理解している。従って、現在の状況において、一国だけで対応するのではなく、同盟国や理念を共有するパートナーと努力を結集し、協力を強化することが非常に重要である。なぜなら、貿易における緊密なパートナーシップ、外交関係の強化、そして確固たる基本的価値観の共有などを通じて力を合わせることで、私たちはより強固な存在になれるからである。
これに、共通の価値観を守り、安全保障を強化し、国際貿易の安定を図ることや、気候変動への対策といった広範な分野が含まれている。こうした観点から、モンゴルが国連やウィーンに本部を置く欧州安全保障協力機構(OSCE)において展開している政策と活動を特筆すべきものとして挙げたい。
特に、モンゴルの国連平和維持活動への積極的な参加は、国際社会において模範となる貢献として高く評価されている。
過去両国は、多角的枠組みにおいて緊密に協力してきており、二国間関係も急速に拡大している。今回の公式訪問で、数多くの重要な合意文書や共同声明に署名が行われ、そうした関係深化の象徴的な成果となった。この署名に立ち会えたことを非常に喜ばしく思う。
科学と文化の分野での関係についても触れておきたいと思う。今回の訪問により、これらの分野における活発かつ豊かな関係がさらに強化されるものと確信している。この目標達成のため、これら分野のハイレベルな代表者らが私と共にモンゴルを訪問したことは、今後の協力関係を更に拡大する上で、重要な機会をもたらしている。
急速に進展している現在、直接面会することの大切さを軽んじてはいけないと思う。文化や科学は国同士を近づける力があり、私たちはその恩恵を受けている。従って、この分野において効果的な提案や発案を打ち出し、対話を進めるよう、皆さんに呼びかけたい。
モンゴルは過去30年間で多くのことを成し遂げ、成果をあげてきた。モンゴルは、更なる成功を収めるための豊富な資源と大きな可能性がある。
オーストリアは、この発展の道のりで、モンゴルのパートナーとして一緒に歩み、貿易や国際関係、研究、科学の分野でも協力する意向がある。
今後、両国の協力関係が一層拡大し、強化すると確信している。今回のモンゴル訪問が、その実現に貢献することを願っている。このたび私たちを温かく歓迎し、ご敬意を賜ったことに、心より感謝を申し上げる。