ゴビヒグマに衛星首輪を装着

自然環境
b.enkhtuya@montsame.gov.mn
2025-09-15 15:32:40

(ウランバートル市、2025年9月15日、国営モンツァメ通信社)モンゴル国大統領の提唱に基づき、絶滅危惧種マザーライ(ゴビヒグマ)の保護活動が進められている。9月12日、ゴビ砂漠の大保護区「A区」にあるスージ泉で、体重70㌔の雌グマと25㌔の子グマが捕獲され、衛星発信機付き首輪が装着された。

この首輪は位置情報を送信するだけでなく、映像記録機能も備えており、個体の移動状況や食性、生息環境の選好など、生態解明に重要な役割を果たすと期待されている。

今回の取り組みは、自然環境・気候変動省の支援を受け、モンゴルの「マザーライ保護協会」、オーストラリア拠点の「MongoliaAid International Inc.」NGO、そしてゴビ大保護区「A区」管理局が共同で実施している。

ゴビヒグマは世界で唯一、砂漠に生息するクマであり、モンゴル・ゴビ地方にのみ分布する。1920年代初頭、西部アルタイ山脈のアジ・ボグド山でその存在が確認され、ロシアの学者らによって独立したクマの亜種「Ursus arctos gobiensis」として記録された。1953年には国家大会議幹部会の決定により狩猟が禁止され、レッドブックに登録された。

個体数は1960年代に15〜20頭と報告され、その後一時は50〜60頭にまで増加したものの、1990年代には再び30頭余りに減少した。昨年の調査で、およそ50頭前後と推定されている。


近年は毛髪サンプルのDNA分析など最新技術を用いた調査も進められており、米国アイダホ大学の研究チームが個体識別に取り組んでいる。これまでに26頭に衛星発信機付き首輪が装着され、アタス山、シャルホルス山脈、ツァガーンボグド山脈一帯での行動範囲が確認されている。

外見はヒグマに似るが、体格は小型である。例えばツァガーンボグド山で確認された雄グマは体長168、肩高が92㌢、体重が90㌔である。夏は茶褐色、冬から春には濃い茶色の毛に淡い黄褐色の綿毛が混じるなど、季節や年齢、性別によって毛色が変化するという。