アルナウド・スガラト代表取締役: 地下鉱山をチャンスにモンゴルは世界市場の主人公になれる

特集
naranchimeg199@gmail.com
2018-06-06 09:15:24
 5月21~22日にかけて開催されたモンゴル経済フォーラムで、「成功のための協力」をテーマにスピーチしたリオティント・グループ銅・宝石部門のアルナウド・スガラト代表取締役から話を聞いた。
 
――モンゴルが投資家らに安定した状況をアピールするためには、何に注意すべきか意見を聞かせてください。
 モンゴルに信用強化が必要だということが、今回のフォーラムの根本的なテーマだった。重要なのは、大規模投資を促す法的環境が安定していないといけない。信用創造のためには政府と民間団体の協力が重要だ。安定した環境を形成することで、投資環境と将来を見据えることができる。オユトルゴイ計画の地下鉱山の資金建てをした企業は投資と株主契約、地下鉱山開発計画に基づいて融資しているので、こういった契約の安定を保ち、遵守することが大事だ。どんな国であっても契約を守ってこそ、投資家は長期的な期待を寄せることができる。その結果として経済成長する。だからモンゴルは先の見込める安定した投資環境をつくる必要がある。先の見込める法的環境を整えてこそ投資家たちの信用が生まれる。
 
――世界市場での銅の価格はしばらく安定が見込めるとのことでしたが、オユトルゴイ計画やモンゴル全体に具体的な影響はありますか?
 2020年までに世界市場では銅の供給が需要に追い付かなくなると見込まれている。工業化、都市化、新しいエネルギー源の誕生により銅の需要は増加の一途をたどっている。供給についてはここ数年は新たに出資した企業はない。今やリオティントが唯一の出資者だ。ほとんどの銅採掘場は採掘終了期限が近付いて、金属含有量も減少しているため、供給量の低下も無理はない。
 
――モンゴル鉱物製品に付加価値をつけるために設立決定に至った銅の溶接加工場は、オユトルゴイから銅製品を購入する計画になっていますが、この可能性については?
 物事にはタイミングがある。2020年までにオユトルゴイ地下鉱山から最初の鉱石を採掘する。地下鉱山は年間最高56万㌧の銅加工物を生産できる計算だ。これによりモンゴルはオユトルゴイを通じて世界銅市場における主人公の一人になるだろう。そうしてモンゴルの収入が増す。このタイミングを利用して経済成長を促すのは、とても大きなチャンスだと見ている。投資契約で銅溶接加工場を調査をオユトルゴイ社が担当し、期間内に終えて政府に提出済みだ。調査結果では銅溶接加工場で利益を生み出すのは困難だということだが、政府が設立は必ず必要だと見て投資を誘致するなら、私たちは契約に従って国際的な条件で銅鉱石を販売するつもりだ。
 
――モンゴル鉱業においては運搬の問題が重くのしかかっていますが、これについてオユトルゴイとリオティントはどのように関わっていますか?
 中国はモンゴル鉱業分野の最大の顧客だ。銅鉱石を消費者に届けるために中国国境を通過することは不可欠だ。問題解決のために地方自治体や内モンゴル自治区と協力する必要がある。
 
――モンゴル政府は開発計画の3つの柱にしたがって経済開発を進めていますが、オユトルゴイはどのように貢献していますか?
 オユトルゴイ計画はすでにモンゴル経済に大きく貢献している。地下鉱山計画には約1万人が関わっているが、これまでにここまでの規模の開発や鉱山の経営はモンゴルにとって未経験だと言える。今、同計画によって世界レベルの鉱山のプロが誕生し、今後多大な貢献を成すことだろう。さらに大規模ネットワークの構築によって今後の発展も見込める。また、モンゴルは国際的な経済機関と協力して、そのアドバイスを受けることが重要だと思う。製品やサービスはどこでも受け入れられるものでなければならない。だから経済界を明るくするためにはよく計算して製品やサービスを市場に進出させることが大切だ。
 
――国内でのエネルギー供給についてオユトルゴイはどう対処していますか?
 電力は鉱業最大の問題だ。私たちは国内で電力受給することになっている。これについてはあらゆる面から調査を中で、今後4年間で調査を行う計画だ。
 
――オユトルゴイ鉱山の金属含有量はエルデネト工場の7倍と言われます。オユトルゴイはエルデネトのような鉱業都市化計画はありますか?そのメリットとデメリットを教えてください。
 都市化計画については政策的に対処する。ハンボグドに従業員たちの居住地を設立できるように動いている。現状では計画に従って従事している従業員約2000名はウムヌゴビ県民だ。ハンボグドに道路、学校、病院、動物病院、浄水場などの機関やインフラを敷いている。昨年までにインフラに570万米㌦の投資をした。ゴビのオヨ基金から毎年5 0 0万米㌦を投資した例もある。都市化に向けて政府と民間企業、建設会社などの全面的参加を政策的に促せば、市場原理に沿った都市建設は可能だ。わが社は従業員の生活環境向上のために投資し、ハンボグドの開発にも貢献している。ご存知の通り、国際機関などと協力して地方都市開発に向けたいくつかの計画を実施した。政府からは医師や教員の労働環境向上、建設会社の建築物をわが社の従業員が購入することも可能だ。こうした全面的な参加のうえで都市はつくられる。
 
――経済フォーラムでモンゴルの加工業に投資するときが来たと、バトトルガ大統領が発言していました。海外投資家は実際どのように見ているでしょうか?
 オユトルゴイ地下鉱山計画は現時点での最大の投資だ。海外投資家や経済関係者はオユトルゴイ地下鉱山計画がどれほど展開されるかに注目している。言い換えれば、同計画は海外投資家らにとってモンゴルについての信号となる。モンゴル政府とリオティント、民間企業がタッグを組んでオユトルゴイ計画を成功させるところを見せれば、良い信号となる。これが成功すれば、投資誘致の大きなきっかけとなるだろう。
 
――税関からはオユトルゴイ社に1億5500万米㌦の税額を提示し、そのうち110億トゥグルグを納税したとのことでした。リオティントが残額の納税に協力することはありますか?
 リオティントにとっては何より契約を履行することが大切だ。鉱業に従事する企業の中でもわが社は詳細な情報公開をしていると、高い評価を受けている。今後もこの方針は変わらない。国には毎年2~3億米㌦納税している。税関が2014~15年に行った監査では1億5500万米㌦の不足が出た以外、オユトルゴイが納税した。契約に記された以外の税金をリオティントが負担すれば、契約を無視したことになる。モンゴル政府とわが社は互いの立場をよく理解しあっていると認識している。


本社記者:B.アルオンザヤ