「アジアの未来」国際会議、モンゴルの可能性に注目 経済多角化に向けた取り組みを

政治
naranchimeg199@gmail.com
2018-06-19 09:33:00
 今月11日~12日にかけて、第24回国際交流会議「アジアの未来」が東京帝国ホテルにて行われ、モンゴルからも現職閣僚や元首相など代表者数名が参加した。会議の主催は日本経済新聞社。
 会議では主にアジア各国の閣僚や代表者が集い、「開かれたアジア繁栄と安定への課題」をテーマに自由貿易や北朝鮮問題をはじめとする各種課題に関する基調講演やパネル討論の場が設けられた。その中で初日、モンゴル元外務相・元首相のS.バトボルド議員が講演した。講演でバトボルド元首相は「自由貿易においては大国よりも小国に大きなチャンスがある。
 モンゴルにとってはこれまでにEPA(自由貿易協定)を締結した唯一の国は日本だが、このおかげで自由貿易における大きな可能性を開いてくれた」と述べた。対北朝鮮問題についても「モンゴルは社会主義から民主化し、のちに非核宣言を」した数少ない国の一つだ。また、韓国には何万人ものモンゴル国民が住んでいるし北朝鮮との関係も長年にわたる。朝鮮半島の非核化に貢献できると思っている」とした。
 この日、今年世界最高齢の92歳で首相に就任したマレーシアのマハティール・ビン・モハマド首相は基調講演で「小国同士が力を合わせれば自由貿易の障壁を超えて大国と対等に立ち会えるはずだ」と語り、日本が主導した11カ国のTPPについて「否定はしないが再交渉が必要だと思う」とした。一方、韓国の金東兗経済副首相は歴史上の強国とされるローマ帝国やモンゴル帝国の社会システムを例に、強国となるための条件は多様性を受け入れる包容力と前例にとらわれない革新であるとし、さらに韓国経済は二極化を脱して圧縮的成長から持続可能な成長へと舵を切ることで、先進国と途上国の架け橋となることが使命だと語った。また、対北問題については「つばめが一羽飛んできたからといって春が来たわけではない」と述べ、今後も冷静に状況を見極めるべきだと明言した。
 2日目に行われたパネル討論では「モンゴル経済の可能性と未来」と題し、S.バトボルド元首相、Kh.ボルガントヤ副財務相O.エルデムビレグモンゴル銀行副総裁、D.ゾリグト外相顧問らがパネリストとして意見を述べた。モデレーターを日本経済新聞社の小柳健彦編集委員が務めた。このようなアジア地域レベルの国際会議でモンゴルを取り上げて討論会が開かれたことは、今回の大きな特徴だ。モンゴルはGDPの2割が鉱業であり、金属価格によって国の経済が左右されるという悩みを長年抱えているが、冒頭でバトボルド元首相は「現在、モンゴル経済は安定している」と好景気をアピール。さらにボルガントヤ副大臣も「景気は回復傾向にある」と強調した。続けて「モンゴルの資源は全体の6%しか開発されていない。さらなる資源を温存しているということだ」と語った。
 経済の多角化について質問を受けたエルデムビレグ副総裁は「まずは資本流入がカギだ」としながらインフレに関して「為替レートのプレッシャーなど対外的要素が大きいが、是正に向けてここ一年半は政策金利緩和など対策を執ってきた。これは中央銀行と政府が協力して解決するほかない」と述べた。また、D.ゾリグト外相顧問は日モンゴルの経済交流について語り、「対日貿易を今後均衡化していきたい。つまり、日本の皆さんにもモンゴルの資源を活用してほしいということだ。鉱業は実は雇用創出においてはあまり魅力がない。今後はかえって農業や観光、風力エネルギーに可能性がある」として、昨年モンゴルがカシミヤの世界最大生産国となったことを強調した。さらに「モンゴルは投資地図に戻ってきた。モンゴルは投資環境が不安定だと言われているが、実際はさまざまな協定で海外投資家を保護していることを理解してほしい」と投資家の優遇をアピール。「モンゴル政府は今後約束を守る。過去には17%の経済成長の経験もあるのだから、今後2ケタ成長も十分に見込める」と呼びかけた。