2018年度のモンゴル貿易

経済
naranchimeg199@gmail.com
2019-01-04 10:24:25

 モンゴルは201811月時点で、70カ国以上へ物を売り、150カ国以上から物を買っている。その中で、ロシアと中国との貿易が最大の割合を占める。過去12年間の統計によると、貿易収支は2007年から2013年までに赤字(輸入が輸出よりも多い)、2014年から2018年間は、貿易黒字(輸出が輸入を上回る)であった。単純に貿易黒字は外貨獲得を意味し、その幅が大きければ大きいほど、経済・社会発展のためになることは言うまでもない。

 モンゴル銀行と関税庁が定期的に公表している統計を基に、貿易における国別収支状況を見てみよう。

 

中国

  中国との貿易出来は、輸入は年間輸入高の3割以上、一方の輸出は9割近くとなる。中国はモンゴルにとって最大取引国となる。

 2018年度11月まで、中国に対する貿易黒字額は約42億米㌦だ。前年同期の約39億米㌦に対して大幅増加。石炭輸出が堅調だったからだ。中国向けの主要な輸出品は、銅精鉱や鉄精鉱、石炭、原油等の鉱産物である。

 

ロシア

 今期、ロシアとの貿易は約15 億米㌦の赤字。モンゴルは、平均10億米㌦以上の石油関連製品をロシアから輸入しているが、その反面、ロシアへ平均5000万~8000万米㌦分しか輸出していない。対ロシア貿易は慢性的な赤字だが、2015年~16年にかけて対ロシア貿易赤字額は縮小に転じ、その翌年からまた増えた。モンゴルは、ロシアの鉄鋼業や他の産業向けに蛍石、リチウム、霞石を輸出しているのみである。

 

日本

 モンゴルと日本は20166月、経済連携協定(EPA)の発効を迎えた。EPA枠で、モンゴルの5700品目、日本の9300品目は、即時関税撤廃及び段階的関税撤廃の対象となった。しかし、発効から2年間を過ぎているが、モンゴル側が望むような結果が出ていない。2017年度は、対日貿易は前年比10%増えたが、貿易赤字も増えた。

 今期は、貿易高が前年比43%増のおよそ54230万米㌦に達した。だが、貿易赤字も前年の約34830万米㌦に対して約49200万に膨らんだ。日本からの輸入で中古車は大きな割合を占めており、全貿易高の60%~70%が自動車輸入となる。一方、日本向け輸出は今期、2500万米㌦となり、この12年間の最高額を更新した。

 

韓国

  対韓貿易は、慢性的な赤字に あるが、赤字幅は年々縮小傾向である。今期は、前年同期の18610万米㌦に対して若干赤字額が増え、およそ21900万米㌦となった。

  韓国からは、主にトラックやブルドーザーなどの重機を輸入。一方、モンゴルは700万~800万米㌦分の銅鉱石やモリブデンなど鉱産物に加え、同額のニット製品(オーバーコート、スーツ、シャツ、セーターなど)を輸出している。

 

英国

 英国との貿易は、過去6年で連続的な貿易黒字。11月時点で、貿易黒字は1億4180万米㌦だった。貿易黒字をもたらす要因は、金の輸出である。

 今期は、黒字幅が前年同期(およそ63130万米㌦)に比べ、およそ48950万米㌦縮小された。原因は、金の輸出が大幅に減ったからである。前年は14.6㌧であった金輸出量が、今期は3.4㌧のみとなった。

 一方、英国から主に、ランドローバーやジャガーなどの高級車を輸入している。今期の自動車輸入高は590万米㌦に達した。

 

米国

 対アメリカ貿易は慢性的赤字である。今期は赤字額が18590万米㌦である。アメリカからの輸入は主にトラックやダンプ、フォークリフトなど重機である。一方、モンゴルはタングステン精鉱約100 万~300万米㌦相当を輸出している。

 

ドイツ

 対ドイツ貿易は連続赤字。今期はおよそ14580万米㌦の赤字だ。ドイツから、年間約1000 万米㌦相当の自動車と同額の医薬品を主に買っている。その反面、ドイツへ年間400万~600万米㌦相当の畜産副産物を売っている。

 

オーストラリア

 オーストラリアとの貿易も赤字。今期は4050 万米㌦。同国から、主に鉱業用の特殊機械や重機を輸入。一方、モンゴルはブルドーザー、オートスペード、プレーナーなどの再輸出を行う。

 

ポーランド

 今期において対ポーランド貿易はおよそ5430万米㌦の赤字である。ポーランドからは、年間およそ1000万~2000万米㌦分のリンゴ、果物、野菜、豚肉、脂肪、チョコレートなど食品を中心に買っているが、ポーランドには医薬品、ニット製品(シャツ、スーツ、上着など)、畜産副産物を輸出している。

 

カザフスタン

 対カザフスタン貿易は慢性的赤字収支である。今期はおよそ2570万米㌦である。モンゴルは年間約2000 万~3000万米㌦相当のタバコ類を輸入。一方、カザフスタンへ、およそ100万米㌦相当の馬肉、同額のカーペットなどを輸出している。

 

マレーシア

 対マレーシアも赤字である。今期はその額が約4510万米㌦だ。同国からは、年間約1000万~2000万米㌦分のコンピューター、テレビ、ディスプレイなどの家電を輸入。また、菓子作りの原料となるココナッツオイル、コーヒー豆、紅茶、香辛料などの食品約500万~1000万米㌦分を買っている。モンゴルからは、およそ100万米㌦分のスズ鉱石を売っている。

 

スイス

 スイスとの貿易も今期、前年に続き赤字である。その額は約1470万米㌦。スイスからは、約200万~500万米㌦分の医薬品、約100万米㌦相当の高級腕時計などを買う。一方、2015年と16年のみ、同国との貿易が黒字に転じたのは、モンゴルが売却金の3割を同国へ輸出していたからである。スイスとの貿易黒字に影響を与えている主な要因は、当時の総金の約30%を売ったことだ。