大気汚染削減向けの政府対策

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gombosuren0625@gmail.com
2019-11-14 09:57:48

 10月28日付の大気質測定情報によると、ウランバートル市のアムガラン(東部)、100アイル、第1地区(西部)周辺で大気質指数は57~99、つまり平常値、他の所では106~168で敏感な人には良くない状態だった。前年同期この指数は200で、非常に健康に悪い状態だった。 首都大気汚染削減5割を目的にした内閣決定によって、2019年5月15日から、市内への生石炭運搬入を一切禁止した。ウランバートル市のゲル地区に22万世帯が暮ら し、石炭の年間平均使用量は22万トンで、大気汚染物質発生源の8割を占めているので、この決定は大気汚染低減への重要な一歩となった。 以前、2008年~2018年間、 大気汚染削減のため国家予算の170億トゥグルグ、海外と国際援助資金1億470万㌦の投資でゲル地区世帯を対象に改良ストーブ配布、深夜料金の 無料化をはじめ数多くの対策を取ったにも関わらず、著しい結果は出なかった。 2018年に、国連児童基金 (ユネスコ)が作成した「 モンゴル大気汚染危機:児童保健保護行動を求める」報告書によると、ウランバートル市大気の浮遊粒子状物質は 3320μg/m3に達し、国際保健基金(WHO)が定めた微子粒子状物質(PM2.5)の国際的な安全基準値(24時間中:25μg/m3 )の133倍を超えた。微小粒子状物質(PM2.5)を吸い込むことで子どもの間で呼吸器感染症、 肺炎等の疾患が急増し、医療費に48億トゥグルグ費やされてい るという。今年1月に開催された大気汚染公聴会の際、2024年までに大気汚染による死亡者数は5200~1万4000人に達する見込みという調査結果が発表された。

生石炭の代わりに改良固形燃料利用

 2017年に、大気・環境汚染削減国家計画が採択され、2025までに大気汚染を8割削減すると計画。これに99億トゥグルグ を出費し、都市計画改善、インフラ整備能力・アクセシビリティ向上、生石炭使用制限、 地方開発、一極集中の是正などの60件の事業計画だ。この一件は改良固形燃料の豆炭を導入し始めた。2018年に、改良固形燃料生産のタワントルゴイ・トゥルシ社が新設され、ゲル地区需要を供給する年間70万トンの改良固形燃料豆炭製造工場も建設された。ゲル地区世帯の5%は9月に、32%は10月に、29%は11月に石炭備蓄という調査結果がある。タワントルゴイ・トゥル シ社が消費者の利用調査に基づき、契約販売店に6万6327トンの豆炭を搬送したうち、2万5000トンは販売済み。極寒時期の豆炭供給のため、46万100トンを豆炭備蓄倉庫と小売販売店に搬送している。  生石炭搬入禁止に関連し、 行政監察庁、警察庁、ウラン バートル市内の検問所は生石炭搬入、生石炭燃焼を監視し防止に努めている。生石炭密搬入、 燃焼しようとした場合に30万~100万トゥグルグの罰金が科される。 改良燃料生産の課題は2008年に始まり、2014年に科学アカデミー・鉱物化学研究所において加工石炭の豆炭製造実験では、豆炭が生石炭より2倍の燃焼時間、1.7倍の高発熱量を維持できることが明らかにな り、110万㌧の生石炭を60万㌧ の改良燃料が代替できると認定された。また、国家大気汚染削 減委員会の作業部会はモンゴルにおける8つの石炭鉱産大工場を視察したところ、エナジー・ リソース社の選炭工場のエネルギー用石炭は揮発性物質が少なく、高発熱量だったため、豆炭生産に利用することになった。

大気汚染は減少した?

 改良固形燃料の導入以降、一 酸化炭素中毒問題が相次ぎ、市民から激しい批判の声があった。10月22日時点で、6区の701 人が一酸化炭素中毒になり、44 人が治療を受け、8人が死亡したため、中国、ロシア、韓国の 研究所において豆炭検体を分析したところ、この豆炭 から健康に悪影響を及ぼす有害物質が検出されなかったとい う。一酸化炭素中毒事故発生の理由は不完全燃焼で、その後は市民に豆炭の着火方法のパンフレット配布のほか、関係者自身がゲル集落世帯に行ってアドバイスを行なっている。それとともに、モンゴル国政府は国民の健康保護のため、国家大気汚染削減委員会の60億トゥグルグの投資で、ゲル地区22万世帯に一 酸化炭素探知機、総合病院には一酸化炭素測定器、探知機をそれぞれ配布することになった。 大気汚染削減の他の対策につ いては21学校、幼稚園の低圧ボイラーを電気ストーブとガスヒーターに変更、住宅建設促進、 圧縮天然ガスバスの導入、公共 バスに黒煙除去装置設置、深夜料金割引、賃貸住宅建設プロジ ェクトなど多面的な措置を取っている。 前時代の政府は大気汚染削減に取り組んできたが、大気汚染問題は解決されなかった。現在の政府は市民抵抗ににもかかわらず、好結果に結びつくまで対策を実施し続けると、発表している。