世界トップ10考古学的発見の一つとして 「ゴル・モド2」墓地の発見選考
特集
米国考古学研究所が発行する「Archeology」誌は、2019年に「世界トップ10考古学的発見」を発表した。その一つとしてモンゴルのアルハンガイ県のウンドゥル・ウラーン郡にある「ゴル・モド2」という匈奴(フンヌ)の貴族の考古学研究が選ばれた。研究チームを率いたウランバートル大学教員、考古学者D.エルデネバータル氏にインタビューした。
――最初に研究チームについて紹介していただけますか。
これはウランバートル大学の考古学部の20年間の努力の成果です。わが大学と中国の河南省の考古学研究所の5人の考古学者からなる共同研究チームが5カ月にわたって、発掘調査を行いました。共同研究チームが出土した189号墓地と10号墓地の発見は世界トップ10の発見の1つとして選ばれたことを大変嬉しく思います。もちろん今もこの研究は進んでいる。
――世界トップ考古学の発見の一つとなった銀製龍ついては?
銀製ペア龍を純銀で鋳造し、たてがみ、ヒレ、翼の部分を金メッキした芸術性の高いものです。なんのために造られたのかまだ不明ですが、匈奴の国力の象徴であるかもしれないという推測を立てている。発掘調査が修了してから、これに関する詳細情報を発表すると思います。
――ほかにはどんな発見が見られたのですか?
我々がゴル・モド2遺跡の189号の墓地で3年間、発掘を行った結果、この銀製の龍が出土した。これはモンゴルだけではなく、アジア初の発見と言える。龍は神話・伝説の生き物ですが我々の祖先が龍をどのように想像し、作ったのかを実際に見ることが出来るようになった。一方、荒らされた様子がない10号の墓地から、銀飾りの箱馬車を一緒に入れた70年代男性のお墓が発見された。これは匈奴貴族の葬儀風習、文化遺産、考古学研究に役に立つ貴重な発見です。我々の研究は始まったばかりです。
――「Archeology」誌はどんな基準でトップ発見を選考するのでしょうか。
この雑誌は世界中で行われている考古学研究の結果を雑誌編集スタッフと世界的に有名な考古学者の提案に基づいてトップ発見を決める。我々が2011年の発掘調査の結果をノミネートした経緯がある。また、2008年モンゴル・ロシア共同考古学研究チームによるノヨン・オール墓発掘調査
の結果をノミネートしたが、ロシアのベスト考古学研究として選ばれた。
――The HUバンドのロゴはこの研究から発想を得、ロゴを作成したと言われるが、本当ですか。
私はこのバンドのロゴを見ました。バンドのプロデューサーB.ダシドンドグ氏からは最初のレコードを贈られた。だれかの工夫とは言いにくいです。我々が出土した発見と似ているところもあった。とにかく、匈奴の文化が世界中を驚かせている。
――ありがとうございました。今後の活躍を期待ております。