証券市場の活発化 経済的な存在感を大きく

経済
tserenlkham@montsame.gov.mn
2023-01-02 17:44:01

 昨年は、証券市場が前例のない活発な年であった。一方、今年に関しては、前年程の勢いがないものの、一部の指標が強化されている。 22年の証券市場を動かした主な動力とは、間違いなく高インフレと言えよう。コロナ禍に伴った世界的なロックダウンが解除されると、インフレ急上昇が襲った。世界各国の中央銀行はインフレ上昇に対して政策金利の引き上げで対抗策を講じ た。証券市場も波乱。投資家は変動リスクを回避するため、ドルコスト平均法で財務状況に見合った優良企業の株式購入を通して将来的な利益を担保している。かつて青色とピンク色の有価証券が主に取引された30年前と違って、証券市場は今、さまざま な進歩を遂げた。パンデミック中、ネット証券はかつてないほど進歩した。一般人は携帯専用アプリで取引口座を簡単に開設したり、実際の取引に参加したりするなど、さまざまなことができるようになった。これは証券市場の規模拡大をけん引した。 また、証券市場は長年にわたり、取引所取引という1本の柱で支えられていた。店頭取引の導入は、市場規模をさらに大きくさせたと言える。これまで67社は、店頭市場を通じて54の債券を発行し、調達金6817億トゥグルグに成功した。 店頭取引はプロが参加す るため、投資商品の登録等が短時間で完結するという特徴がある。 金融関係者の話によると、共通上場は証券市場をさらに発展させる要因となる。外国の企業が「 第1上場」をすでに他の国の証券取引所で果たしており、「副次上場」をモンゴル証券取引所で実証券市場の活発化経済的な存在感を大きく施することを言う。モンゴル証券取引所(MSE)とトロント証券取引所 (TSX)が共通上場に関する取り決めを採択して以降、エルデネ・リソー ス・デヴェロップメン ト・コーポレーションは初の共通上場企業となった。 MSE「トップ20」指数は、昨年末の取引高が4 万4000ポイント強で、前年比133%増。 

 世界の主要指数に比べると、5倍も高くなった。トップ20指数は過去30年において最高値に達し、市場取引も活発的になっ た。だが、今は3万4322ポイントに留まり、前年比5056ポイントも下落。モンゴル証券市場の絶 好調は2011年、対モンゴル投資の影響であったが、その10年後に再到来した。例えば、証券市場規模と国内総生産の割合は16.7%であった。今年 は、銀行システム上の有力銀行が上場する予定。 銀行上場は証券市場をもっと活性化させると期待がかかる。すでにステー ト銀行とゴロムト銀行が上場した。 証券市場の時価総額は4兆7883億トゥグルグ。 市場の流動性は2.7%。 現在の取引高は3284億トゥグルグ。その内訳は社債は32%、資産担保証券21.2%、株式45.8%、投資信託1%となる。トップ20社の内訳は工業が56.3%、鉱業19.7%、金融17.4%、貿易・サービス業4.4%、通信2.2%。金融専門家は、証券市場の急拡大を政策支援と結び付けて説明する。特に昨年、モンゴル銀行が講じた政策金利引き下げ措置。これは史上最低限まで引き下げられた。この措置は、証券市場への資金流動を誘発した。

 つまり、一般人は預金金利が下がると、具体的な投資先を探った。コロナで制限された環境において、一般人の関心は預金より投資へ転換したわけだ。一方、証券市場が拡大した背景には、税制優遇もあったとの見解もある。21年に施行された租税法では、証券市場を後押しするいくつかの改正が盛り込まれた。株式配当金に対する所得税率を 10%から5%に引き下げた。社債を含む他の有価証券の場合も10%から5 %に引き下げられた。モンゴル証券取引所は 21年、売上高が55億トゥグルグ。一方、MSE主要銘柄の時価総額は5兆5000億トゥグルグ超えで、前年同期比4.5%増の2337億トゥグルグ増えた。 金融関係者は今後の動向について、積極的に投 資ファンドの設立・運用を図るべきとの見解である。つまり、投資ファ ンド設立及び運営の安定化は証券市場の発展、公平な所得分配を実現させる。年金基金もその一例であろう。年金制度の改革とその資産運用も可能となる。先進国では、大手企業は証券市場における機関投資家であり、主要プレーヤーとなる。市場におけるその存在感も大きい。関係者らは、長期的投資を重視しつつ、証券市場における個人投資家の利益を守るための断固した行政施策を講じるべきとの見方である。


 社会経済評論家:ビャ ムバー・アリオンザヤ