臨時国会、税制の抜本的改定
政治臨時国会は18日、召集された。政府・ 与党は、税制抜本的な改革として打ち出した「租税法の改正法案」の会期中での成立に力を注ぐ。税制抜本改革とは、租税法の改正とその関連法律となる「法人 税」や「個人所得課税法」の改正法案である。 政府は昨年5月、税務係争の解決や各国で実践済みの新たな手法の導入、投資奨励、課税ベースの範囲拡大を図るために租税法の改正法案を上程。国会は当該案件の審議妥当性を認めた。一方、原案作成作業部会は2月18日、租税法改正の是非を議題にヒアリング実施など準備を着々と進めた。臨時国会で同法案は優先的に審議される。
チメド・フレルバータル財務相 は18日、国会で 審議入りの租税 法改正について 「租税法の改正法案では、国内 外投資家にとって税制 面から活動をしやすい 環境づくりと税率引き下げに結びつける 調整も盛り込まれた」と発表した。
改正は以下である。
(1)
法人税では、税率25%適用要件 を事業年度売上30億トゥグルグから60億
トゥグルグ以上に引き上げる。
(2)
法人が資本増資及び外資に係る経費負担軽減のため、国内外証券市場で
社債発行や株式公開を行うと、配当金及び利子収益への課税税率を5%とする。
(3)
中小企業法人の活動奨励及び課
税負担の軽減、税務申告の簡素化。事業
年度売上が5000万トゥグルグ未満で、法 人が同意すれば売上額の1%を納税し、課 税申告を年1回とする。課税対象収入が15 億トゥグルグ未満なら、還付法人税額の9 割を控除措置。
(4)
海外の事業に帰属する所得に対して課された外国法人税の控除及び重複課税回避措置。
(5)
固定資産の耐久年数を40年から25年に引き下げる。
(6)
申告修正を認めるほか、納付期間を2年間とする。
(7)
税務調査は、すべての納税者を対象とせず、あくまで事業リスク評価に基づき、リスクがあるとみなされた納税者に限る。
上述以外は、税に関する国際取極めや新たな原理などを取り入れることで、海外企業や国内企業が公正な競争をできる環境を整えた。
税に関して各国間の情報共有
欧州連合委員会は2017年、租税につい て非協力的な税務管轄地リストにモンゴ ルを指定したことが投資の呼び込みへ影 響を及ぼしかねなかった。そのため、モ ンゴルは2017年12月26日、経済協力開発機構の「税の透明性と情報交換に関する グローバル・フォーラム」に参加。これ は、税の情報交換に関する法制及び執行に当たっての大きな機会。新たな法律に は、同フォーラムから定めた共通報告基準などが導入された。
タックスヘイブン対策税制の確立
国際慣例上からすると、多国籍企業は 租税回避を狙っての税務対応を企図し ている。世界各国も課税ベースを保護す るため、租税回避対策の法制を図ってい る。モンゴルも同様な意図から、タッ クスヘイブン対策税制を図った。フレ ルバータル財務相は、各取組導入は国 内での公正かつ平等な税制確立、租税 回避対策の機能向上、モンゴルが加入 した国際条約の実行などへ重要な意義 があると述べ、「長期的にみると、投 資の呼び込み、商業活動の奨励、課税 ベース範囲拡大に結び付ける」、「税 制の合理化は、透明性確立と簡潔化を 招くとともに税務係争の解決につなが る」と期待を語った。
ゴムボジャブ・ ザンダンシャタル国会議長は臨時 国会の開会演説 で「租税法成立 は、納税者と役 人の間における 責務関係が明らか になるとともに、法 人・個人が抱く課税負担の軽減、課税ベ ースの範囲拡大、所得アップの機会とな る」と述べた。