HISモンゴル支店長 原田 紀さん:旅行を通して日本・モンゴルの懸け橋に 仕事も趣味も充実、働き盛りの全力ダッシュ!

経済
naranchimeg199@gmail.com
2019-03-27 09:41:00

 旅行好きなら誰もが知っているHISのブルーのロゴマーク。そこからの連想は、「格安」、「お得」、「自由な旅」。日本の旅行業界ではJTBと並んでトップを走る。そのモンゴル支店長が原田紀さん(39)だ。ノミンデパート(元国営)から約1分、“ビートルズ公園”のそばに店舗があり、窓側にはカラフルな旅行案内が通行人の目を留める。スタッフは原田さんを入れて7人。日頃の活動についてインタビューした。

 

――原田さんとモンゴルとの出会いは? そのきっかけは何でしたか?

 そもそもは、滋賀県立大学の2年生の時、ラクそうかもと小貫教授(著名なモンゴル学者)のゼミをとった。ゼミ旅行で3週間モンゴルを訪問。3年生の時に、小貫教授から、「お前、ちょっとモンゴルへ行って来い」と留学を勧められ、興味はなかったのですが、2002年から3年にかけてモイス(モンゴル国立大学)で学んだ。といっても、ほとんどはサッカーに熱中して過ごし、あちこち旅行をしていました(笑)。当時、日本人としては最初のプロサッカー選手として迎えられてもいたのです。

 日本に戻り、卒業後はある会社に入りましたが、旅行が好きなので広島出身の私は、2006年にHIS広島支店に入社。その頃はモンゴルも気に入っていたので自ら希望して2009年にモンゴル支店へ。あれからもう10年になります。モンゴル? 今は大好きですよ!


――モンゴルが好きな理由は何ですか?

 答えようがないですね。今は日本の方が住みづらい。自然や大らかな人間関係など、モンゴルは私に合ってるのでしょう。


――こちらでの主な仕事は日本からのお客を誘致することですか?

 着任当時はそれしか基本的にやってなかった。しかし、それだけでは1年間の営業はムリ。冬の観光を開発していかなくては。そこで企画し、ヒットしたのが今では恒例になった「初日の出ツアー」です。130人もの日本人が専用列車に乗って、新年の日の出を見に行く56日の旅です。テレルジや市内観光、遊牧体験なども含まれている。なんといっても極寒体験が人気を呼んだ。バナナに釘を打ってみたり、シャボン玉を吹いてみたり...。お金を掛けない面白い企画で、価格を抑えて喜んでもらっています。一方、モンゴルの経済発展が背景にあって、モンゴル人の日本への関心が高まって来た。これからは、モンゴル人の日本旅行に力をいれていきたい。


――格安チケットはHISの売りモノですが、最近のお客さんの傾向は?

 航空券の「格安」概念を生み出したのが、弊社の澤田社長です。お客の要望に応じて航空券にホテルをつけたり、ツアーにしたり、添乗員同行とかも...。ツアーもオンラインが増えて便利になった。こうした旅行の多様化によって海外旅行する人が増える。モンゴルへの日本人観光客は横ばいですが、モンゴル人が日本へ行くのは年々増えています。初心者はもっぱら東京で、圧倒的にショッピングがメーンです。団体ツアーで45日から56日で価格帯は250MNTから300MNT。本格的な観光旅行にはまだほど遠いですが、キメ細かな観光をアピールし、地方の文化なども見て廻ってもらいたいです。

うちの日本人のお客さんは年配者より、20代から30代が圧倒的に多い。これは弊社の強みです。彼らには乗馬ツアーが人気。最近は一人でも参加できるツアーに若者が集まる。ゴールデンウイークや夏場には個々に30人くらいが集まりツアーをつくり、初めて同士でもすぐ親しくなっていく。価格帯は9万円から15万円くらい。一人での参加者は男女どちらが多いと思いますか? 7割が女性で3割が男性です。女性は積極的ですよ。


――日本人の旅行日程は、ヨーロッパ人などと比べて短いですね。何日滞在が主力ですか?

 34日と45日が主力です。1週間以上の日程はほとんどありません。日本人は仕事を休めないのがネックですね。


――集客は何によって宣伝するのですか?

 昔のように店舗に来て相談する時代から、今のモンゴルではfacebookが中心です。


――HISだけの特典がありますか?

 新幹線乗り放題パスがあります。これは成田エキスプレスや各種特急電車、山の手線などJRが使えて、1週間乗り放題で29110円。在モンゴル邦人も、10年以上の滞在者は日本大使館からその証明がもらえれば使えます。おトクですので、ぜひご利用ください。


――原田さんがお勧めのモンゴル旅行はどんな場所ですか?

 南ゴビがお勧めです。夏場は飛行機で1時間半。手軽に大自然や星空、広大な砂漠など日本にないスケールが楽しめる。恐竜の遺跡バヤンザグ、ヨリンアム渓谷など見どころはいっぱいです。ほかにハラホリンやフブスグル湖。まだあまり知られていないですが、オブス県の美しい湖も穴場です。近場ではテレルジ保養地、それにハーンリゾートは他にはない豪華なゲル・キャンプ場で、美しい草原が広がる景観は他では見られない。高級志向派にはお勧めです。


――ところで、モンゴルには専門のガイドがいますか?

 まだ専門のガイドがいるとは言えません。弊社では3月、4月、5月にガイド養成コースを設けて3週間で基本的な事を教えています。弊社のガイドはこのコースを履修した者を使っています。モンゴルの通訳・ガイドの強みはホスピタリティーが非常にいいこと。これには皆さん満足してくれる。しかし、ガイドとしての知識はまだまだ足りない。たとえば、乗馬などはホスピタリティーだけで満足してもらえる要素が強いが、年配者が多く訪れるハラホリンなどは、歴史的背景の説明が十分に出来ないと評価は低い。これからはガイド教育が大事です。


――モンゴル政府は観光立国を唱えていますが、いまひとつ成果が上がっていないのでは?

 そうですね。まず航空機がミァットしかないのが大問題です。独占だから料金が高く、それに座席のキャパが限られている。いくらお客が増えても、キャパを増やし、座席のコントロールをきちんとしないと限りがある。また、空港から街までの交通機関がない。タクシーも外国人とみると高額を要求する者もいて、団体ツアーではない単独の外国人旅行者にとっては、快適な観光地というのにはまだまだです。政府は地方観光地のインフラ整備が急務でしょう。


――最後に支店長としての、今後の夢や目標についてお話し下さい。

 モンゴルの受客数と海外の送客数で、それぞれモンゴルNO1になることです。

 

 ――原田さんは仕事以外では、モンゴル日本人会の会長を務められ、また趣味でも日本人会サッカー部でキャプテンを務めるなど活躍されていますね。

  日本人会の仕事は予想以上に大変で、正直、皆の協力がないとやっていけない。昨年は落語会を初めて行い好評でした。私が役員の間に日本人会がNGO法人化するのは、よかったかなと。これまで以上に多彩な活動をしていきたいですね。趣味ではサッカーは大好きで、毎週土曜日の午前に仲間と汗を流しています。その他、ゴルフやジムも続けています。


――色々なお話、どうもありがとうございました。

 


※取材を終えて


いつも満面の笑顔で人に好印象を与える原田さん。仕事や、趣味など公私ともに充実して、やることはハンパでない。サッカー部では技量、人柄ともに部を支えている。ある時、日本大使館で賀詞交換会があった際の挨拶の最後に、「私にも早く春がきますように」とジョークを口にし会場の笑いを誘ったが、働き盛りの39歳。40歳を前に、早く良きお相手が見つかりますように。

 

近 彩

S.ダシツェレン

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