2023年、国内大10のニュ-ス

社会
l.naranzul@montsame.gov.mn
2023-12-31 13:49:27

1. 770年にわたる歴的関係は大統領訪問により 更に強化

770年前の1253年、ギョーム・ ド・ルブリュック・フランス王ル イ9世の特使は大モンゴルの首都カ ラコルムに到着し、チンギス・ハ ーンの孫のムンフ・ハーンに面会 した。2023年は、モンゴルとフラ ンスの歴史的な関係が新たな内容 で充実した年となった。具体的には、2023年5月のエメニュエル・マ クロン・フランス大統領のモンゴル 訪問、2023年10月のオフナー・フレ ルスフ大統領のフランス訪問が2023 年のハイライトとみなされている。 両国間の外交関係樹立以来58年 間、欧州連合においてモンゴルの緊 密なパートナー国、第3隣国である フランスは、モンゴルへの国家元首 レベルでの訪問がなかったため、研 究者らはマクロン大統領の同訪問を 「歴史的訪問」だと定義した。フレ ルスフ大統領のフランス訪問は、モ ンゴル国家元首による初の国賓訪問 としても特徴的である。同訪問中、 フランスの豊富な歴史の発祥地であ るベルサイユ宮殿の王室オペラ・劇 場でモンゴル国立馬頭琴交響楽団が 初めて演奏し、ナント国立歴史博物 館に「チンギス・ハーン:モンゴル が世界を変えた」歴史的展覧会が開 幕した。 ナント国立歴史博物館は両国の文 化的、歴史的関係を深め、新たなペ ージを開き、フランスだけでなくヨ ーロッパでモンゴルを宣伝する上で 重大な出来事となった。2023年、両 国首脳は僅か1年で相互訪問を行っ たことは、欧州連合の政策決定に影 響力を持つ、ヨーロッパ大陸での フランスがモンゴルにとって緊密か つ重要なパートナー国となったこと を示した。




2. 教皇フランシスコ、モンゴル草原から世界中 に平和を呼びかけた!

2023年8月31日から9月4日、第266 代ローマ法王の教皇フランシスコ がモンゴルを訪問し、大草原の国か ら世界中に平和を呼びかけたこと が2023年度ハイライトの一つとなっ た。バチカンの国家元首である教皇 フランシスコは、モンゴルが人権尊 重と平和構築への取り組みにおいて、 アジアだけでなく国際舞台で重要な 役割を果たしていると強調し、紛争に 脅かされるこの世界が神に祝福され、 「モンゴルの大平和」が実り、あらゆ る紛争が解消された当時のごとく、 国際法と規範が尊重されるよう祈っ た。このように、世界約14億人のカ トリック教徒の精神的指導者である 教皇フランシスコはモンゴルを訪問 し、13世紀にモンゴル帝国が世界中 に平和をもたらした「モンゴルの大 平和(パクス・モンゴリカ)」宣言 し、戦争と紛争の終結を呼びかけ、 平和的共存を呼びかけた。同訪問に より、モンゴルは世界のメディアに 注目され、世界諸国に「教皇フラン シスコがモンゴル大平和を世界に呼び かけた」と報道された。 777年前の1246年8月末から9月初め にかけて、プラノ・カルピニ教皇の 特使がカラコルム市近く、大モンゴ ルの第3代王グユグ・ハーンを訪問 し、教皇インノケンティウス4世の公式書簡を手渡し、大ハーンの返事 を持ち帰ったという歴史がある。現 在バチカン図書館に保管されている 同公式書簡が先進技術で複写され、 モンゴル訪問中に教皇フランシスコ が贈った。同贈り物は両国間に拡大 しつつある伝統的友好関係の象徴と なるよう確認した。



3. COP28 とモンゴルの参加

2023年12月1~2日、オフナー・フ レルスフ大統領がアラブ・ドバイ市 で開催された国連気候変動枠組条約 第28回締約国会議(COP28)の世界 首脳会議に参加し、気候変動、砂漠 化、地球温暖化対策に関するモンゴ ルの立場を表明し、全国的に実施中 の活動を紹介した。 モンゴルは地理的位置及び大陸の 極端な気候により、気候変動の影響 を最も受けている10ヶ国の一つとな った。従い、モンゴル国家元首は気 候変動に関する国連会議の重要性を 高く評価し、3年連続で参加した。 フレルスフ大統領は、現代のテク ノロジーが人間の生活に深く浸透す ると共に、子どもたちや若者は自然 から遠ざかりつつあり、母なる自然 を愛し守る世界市民として育つこと に特別な注意を払うことが重要であ ると述べた。また、内陸途上国は、 国際市場から遠いため、貿易コスト が高く、中継国への依存度が高いこ と等、多数の課題に直面している と同時に、気候変動の影響を最も受 けるため、脆弱な国への支援を目 的とした「損失と損害」基金の運用 開始が必要だと強調した。さらに、 モンゴルは2024年に気候変動との戦 いにおける女性の参加とリーダーシ ップについて議論する「世界女性 会議」と2026年に、砂漠化対策に 関する「国連気候変動枠組条約17 回締約国会議(COP17)」という2 つの主要イベントを開催予定であ り、準備を進め、諸国の積極的な 参加を呼びかけた。 モンゴルは気候変動との闘いの一 環、2026年を「放牧と遊牧民の国際 年」と宣言し、国連総会に承認され ると共に、内陸途上国国際研究セン ターを設立し、各国の開発政策の査 定に貢献している。



4. 日本との「人間中心」協力関係の発展 モンゴルとロシアの包括的・戦略的パートナ ーシップを更に強化

2023年3月1~5日、ゴンボジャブ・ ザンダンシャタル国会議長が尾辻秀 久日本参議院議長の招請により、日 本を訪問した。同訪問はモンゴル国 会議長レベルにおいて6年ぶりに実 施され、両国間の協力関係を更に深 化させる歴史的な訪問となった。 モンゴルは第三隣国政策の枠で、 両国関係を「平和と繁栄のための特 別な戦略的パートナーシップ」に格 上げ、ザンダンシャタル国会議長 は、第三隣国の日本と「人間中心」 の協力関係をあらゆる分野におい て強化したい意向を表明した。ま た、2023年9月23~25日、ザンダンシ ャタル国会議長に招請により、ヴャ チェスラフ・ヴィクトロヴィッチ・ ヴォロディン・ロシア連邦議会議長 がモンゴルを訪問し、永遠の隣国と の協力関係における将来のロードマ ップをより浮き彫りした出来事とな った。 会談の際、双方は、モンゴルとロ シアの包括的・戦略的パートナーシ ップの強化、貿易、経済、投資、エ ネルギー、道路交通、観光分野にお ける協力拡大の枠で、議会間協力の 活性化について詳細に協議し、両国 議会間の協力共同委員会の初会合が 開催された。新設された議会間協力 共同委員会は、更なる協力関係と方 向性を決定し、新たな手段とメカニ ズムを構築すると共に、議会間協力 を新段階に引き上げ、伝統的な友好 関係の更なる発展に重要であること を確認した。



5. 中国と国境検問所間の鉄道、水力発電所のプロジェク ト実施に合意、米国との戦略的ロードマップを更新

2023年、ロブサンナムスライ・オユ ンエルデネ首相は中国と第三隣国の 米国を公式訪問し、将来の協力関係 の原則について話し合ったことが2023 年度の特徴的な出来事となった。  首相は、国境検問所間の鉄道接 続や水力発電所プロジェクト等、中 国と長年協議してきた未解決の課題 が年内の解決に辿り着き、工事が開 始され、2024年には両国協力関係において新たなページを切り開く年と することで合意した。訪問の際、両 国関係省庁の協力により鉄道接続が 続き、エルデネブレン水力発電所の 建設が2024年に開始するよう準備を 進めている。 首相の米国訪問の一環、モンゴル と米国は戦略的第三隣国の経済ロー ドマップを更新した。これはモンゴ ルの第三隣国政策を明確にし、経済 の多様化、両国間の貿易・経済協力 の拡大、米国からの投資増加に多様 な役割を果たすと研究者らは評価す る。また、両国は航空輸送に関する 協定を締結し、2024年第2四半期か ら直行便の運行開始で合意した。 「モンゴルと米国間の戦略的第三 隣国パートナーシップ」に関する共 同声明では、両国関係は共通原則、 善政の尊重、主権、法の支配、人権 の尊重、モンゴルの第三隣国の政策 に基づき最高レベルに発展しつつあ ると結論づけた。



6. モンゴルは国連全加盟国と外交関係を樹立

2023年12月6日、ゴムボスレン・ア マルトゥブシン外務副大臣がニュー ヨーク市でレモハン・クワペ・ボツ ワナ外務大臣と外交関係樹立に関す る公式文書に署名したことにより、 モンゴルは192ヶの国連全加盟国と外 交関係を樹立した。 国連全加盟国と外交関係を樹立する ことで、発展途上国が直面する困難 を共に克服し、地域及び国際的な課 題の提案、努力の集結、経験交換、 発展途上国の共通利益の保護に重要 であるとモンゴル外務省が強調する。



7. オユトルゴイ坑内掘りが開始し モンゴル経済が復帰

2023年3月、モンゴルは世界第4位 の埋蔵量と生産能力を持つオユト ルゴイ鉱山の坑内掘りを開始し、銅 の採掘をスタートした。結果、地下 1.3㌔から採掘された鉱石の利用が 可能となる。同地下鉱山では、今 後5年間に平均35万㌧の銅が採掘さ れ、2028~36年には生産量を50万㌧ に増やす見通しを立てている。 オユトルゴイ地下鉱山は70億米㌦ の投資による開発であり、今年第3 四半期の銅採掘量は前四半期比16% 増加した。  2023年は世界的なパンデミック 後、モンゴル経済の急速な回復が始 まった年であった。同年は、モンゴ ルの財政赤字は60%減少し、投資家 の信頼は高まり、輸出と対外貿易収 支はプラスである。2022年には約4% であった経済成長率は2023年には7% にまで成長した。その結果、モンゴ ル経済は2024年に7.5%成長すると予 想される。また、モンゴルの公式外 貨準備高は2023年に43億米㌦に達す る予定であり、トゥグルグの為替レ ートは安定している。 景気回復に、銅、金、石炭の輸出 と観光部門の回復が多いに影響を与 えた。例えば、モンゴルは2023年予 算では、5000万㌧の石炭輸出を予想 していたが、年初11ヶ月の時点で石 炭輸出量は6000万㌧に達し、計画量 より1000万㌧上回り、歴史的な記録 を樹立した。



8. 国立馬頭琴交響楽団に 「チンギス・ハーン」勲章を授賞

2023年のハイライトの一つは、国 立馬頭琴交響楽団が国家最高賞であ る「チンギス・ハーン」勲章を受賞 した。 2003年、ユネスコは馬頭琴を「人 類の無形文化遺産」として宣言し た。モンゴル人の誇り、民族音楽の 最高象徴である馬頭琴の素晴らしい 演奏を世界に普及させ、宣伝する国 立馬頭琴交響楽団を、国家元首が「 国家や社会に対し偉大な功績を上げ た」と評価し、「チンギス・ハー ン」勲章を授賞した。 1992年、閣議決定により設立されて以来、31年間に国内では5000回以 上、海外の約30ヶ国の600以上の舞 台でコンサートを開いた。例えば、 米国ニューヨーク市の「カーネギ ー・ホール」、国連総会ホール、ユ ネスコ本部メイン・ホール、パリの ヴェルサイユ宮殿オペラ劇場、オー ストリアのウィーン・フィルハーモ ニー管弦楽団、ロシアのボリショイ 劇場、マリインスキー劇場、中国の 国立大劇場、パール劇場、日本の皇 居、東京のNHKホール、オーストラ リアのシドニー・オペラハウス等に コンサートを開催し、文化遺産を宣 伝した。



9. 「モンゴルの平和と歴史的体験」 モンゴル研究者国際会議

1959年に初めてウランバートル市 で行われた「モンゴル語研究者の第 1回国際会議」を起源とする第12回 モンゴル研究者国際会議が2023年8 月9~14日にウランバートル市で開 催され、世界27ヶ国の500人以上の 研究者が参加した。 「モンゴルの平和と歴史的体験」 をテーマにした同会議が

1.先史時代と歴史上のモンゴル人

2.モンゴル語とモンゴル文学の歴 史的発展と現代

3.モンゴルの社会、経済、政治、 法律

4.モンゴルの対外関係及び交流

5.モンゴル人の文化:伝統と改革

6.若手モンゴル研究者などの支部 会議が行われ、米国、韓国、英国、 カザフスタン、カナダ、ポーラン ド、トルコ、ハンガリー、ドイツ、 中国、日本、キルギス、チェコ、オ ーストリア、スイス、タイ、ノルウ ェー、イタリア、デンマーク等20ヶ 国の307人の研究者が発表した。ま た、若手モンゴル研究者支援の一環 で開催された支部会に59人の若い研 究者が発表を行った。 学術会議の際、優れた学術的著作 を生み出した、モンゴルの文学的及 び文化的記念碑や写本を世界に公開 することに特別な貢献をしたモンゴ ル人研究者に、学者賞が授与され、 「モンゴル学者」の切手と封筒の開 封式が行われた。  現在、国際レベルでのモンゴル 研究分野の研究、分析を行っている 23のセンターと、中央アジア、ユー ラシア、内陸アジアの分野で補足研 究を行っている20のセンター、合計 43のセンターがある。



10. 「ウランバートル2023」 東アジア・ユース競技大会

2023年8月16~23日、ウランバ ートル市で「ウランバートル2023 」東アジア・ユース競技大会が主 催された。 モンゴルで初めて、柔道、フリ ースタイル・レスリング、3x3バ スケットボール、サッカー、バス ケットボール、テコンドー、ボク シング、陸上競技、eスポーツ等 11スポーツの12種類の競技が行わ れた「ウランバートル2023」東ア ジア・ユース競技大会に7ヶ国の オリンピック委員会の800人以上 の選手が競い合った。 同大会に、e スポーツ、フリース タイル ・レスリング、ボクシング の競技を追加するモンゴルの提案 を東アジアオリンピック委員会評議 会が支持し、大会は11スポーツの12 種類の競技で開催された。中国代表 の選手が38個の金、32個の銀、19個 の銅メダルを獲得し、チーム成績で 優勝した。また、日本、韓国、タイ 代表のチームが2位となったことに 対し、モンゴル代表チームは3個の 金、13個の銀、28個の銅、合計44個 のメダルを獲得し、チーム成績で5 位となった。 「ウランバートル2023」東アジ ア・ユース競技大会に1200人以上の ボランティア、約130人の国際審査 員及び技術スタッフが務めた。 モンゴルは同大会の主催国となっ たことで、大陸及び世界クラスの大 会開催の経験を積み、スポーツ業界 において次の大会を主催する機会を 広げた。