日本ーモンゴル笹川奨学金プログラムに関する覚書
政治
(ウランバートル市、2025年6月27日、国営モンツァメ通信社)6月26日、モンゴル国大統領府と日本財団は、「日本ーモンゴル笹川奨学金プログラム」を実施に向けた協力覚書を締結した。
同覚書には、A.ウイルストゥグルドゥル大統領府長官と有川 孝・日本財団常務理事が署名した。
この奨学金プログラムは、地方出身の1000人の学生に対し、モンゴルの名門大学において全額奨学金で学ぶ機会を提供するものである。同プログラムの実施に関しては、2022年に、ウフナー・フレルスフ大統領が日本を国賓として訪問した際に合意された。同奨学金プログラムは、モンゴルで持続可能な開発目標(SDGs)を実現することを目的としており、地元で安全かつ衛生的な環境の中で健康的な食生活を送り、健やかで幸福な暮らしを営めるような社会づくりに貢献する人材の育成を目指している。また、本プログラムでは、大統領が提唱する「10億本の植林」、「食糧供給と安全保障」、「健康なモンゴル人」などの全国運動を推進するために特に必要な専門人材を地方出身の学生の中から選抜する。
同奨学金プログラムの対象となる学生は、モンゴル国立大学で、環境学、森林科学、生態学、モンゴル国立医科大学で、臨床医学、公衆衛生、栄養学、モンゴル国立農業大学で、畜産学、農学、植物保護、モンゴル科学技術大学で、食品製造、食料供給と安全保障、栄養・バイオテクノロジー、微生物学、工学をそれぞれ専攻する。
奨学金プログラムには、上記の大学に入学し、指定された専攻分野で1年次を優秀な成績で修了し、将来的に出身地域へ戻って貢献する意欲を持つ学生に応募資格がある。
E.オドバヤル・大統領の外交政策顧問は、「モンゴルと日本は戦略的パートナーシップに関する合意を締結している。2022年11月、両国の国交関係樹立50周年を記念して、フレルスフ大統領が日本を国賓として訪問した際、両国関係を戦略的パートナーシップのレベルに引き上げる決定がなされた。この決定は、過去50年間の協力の成果を総括したうえで、今後の50年において、「人間中心」「平和と繁栄のための特別な戦略的パートナーシップ」という高い水準へと段階を進め、拡大強化されており、その内容を盛り込んだ文書に署名が行われた。同文書には、多くの分野にわたる協力事項が盛り込まれており、なかでも特に重要な分野の一つが教育である。教育分野では、日本政府と連携し、多くのモンゴル人学生を日本で留学させる取り組みを積極的に進めていくことで一致した。この一環として、フレルスフ大統領の訪日時に、日本財団の会長が表敬し、協力についての意向を伝えた。そして2023年には、日本財団の名誉会長がモンゴルを訪問し、具体的な取り組みについて協議が行われた。その後2年にわたり、日本財団、モンゴル外務省、大統領府が協力して準備を進め、本日の協定締結に至った。同プロジェクトの実現によって、モンゴルと日本の関係をつなぐ架け橋として重要な役割を果たすと確信している」と述べた。
林廣志・日本財団監事は、「日本財団は、1990年にモンゴルとの協力を開始した。1992年にはモンゴル国家行政管理アカデミーで、有能な人材を育成する修士課程プログラムを成功させたのが、協力の始まりとなった。2022年に日本とモンゴルは国交樹立50周年を迎え、その節目にモンゴルの大統領が日本を国賓として訪問し、た「平和と繁栄のための特別な戦略的パートナーシップ」が設立された。モンゴル国大統領からの敬意を込めた要請と提案を受け、今後12年間で1000人の学生を奨学金で支援する覚書に、本日署名した。この素晴らしい国との協力が今後さらに発展していくことを心より願っている」と述べた。
Ch.ロドイラフサル大統領教育・科学技術政策顧問は、「モンゴル・日本の『笹川奨学金』は本日より正式に開始される。この奨学金はモンゴル国大統領の提案によって実施されている。特に、大統領が提唱する「10億本の植林」「食糧供給と安全保障」「健康なモンゴル人」などの全国運動を今後も積極的に推進し、地方において実践・展開するリーダーとなる専門人材の育成を目的としている。そのため、これらの分野の人材を育てる4つの大学と協力している。専攻を決め、将来その分野で働く意欲と熱意を持ち、1年次を修了した学生が選抜対象となる。選抜された学生には、3年間の奨学金を支給する」と述べた。
有川孝・日本財団常務理事は、「奨学金は、まず大学2年生の100人を対象に提供される。4年間で360人、12年間で合計1000人に奨学金を提供する。学生たちは選んだ専攻分野をしっかり学び、卒業後は地元に戻って働き、モンゴルの発展に貢献すると確信している。我々は、モンゴルの4つの大学と定期的に連携し、協力していく」と述べた。
同プログラムは、毎年約100人の学生を成績に基づいて選抜し、奨学金を支給する。学生は卒業後、地元に戻り、専門分野で3年間従事することが条件となっている。「日本ーモンゴル笹川奨学金プログラム」は12年間にわたり、総額500万ドルを超える返済不要の資金援助をおこなう。