アルガル(牛糞)の効力

科学
arvis@montsame.mn
2017-01-02 17:18:47

「アルガルの煙のたちのぼる

 牧人の家に生まれし我

 人を知らぬこの広野を

 これぞ我がゆりかごと思う」

と、我々が子供の頃、この詩をよく口ずさんだものだ。今でもこの詩を聞くと、アルガル(牛糞を乾燥させたもの)の煙の香ばしい臭いがする。ウランバートル住民の我々は近頃、石炭の有害な煙を吸い、アルガルの臭いを忘れかけている。アルガルには多くの浄化成分が含まれているという。このことを知らずに牛糞を嫌って、そぉーと避けてどうするの?誰でも分かってるのに。

 

 アルガルにどんな神通力がありますか、と聞いても、知っている学者は少ないでしょう。誰かに会って、アルガルについて訊いてみると、ある知人は、アルガルを研究する時が来てるよ。我々より先に日本人が研究して、その神通力を知ったんだ。相撲取りになろうと、稽古する前にアルガルを燃やして、15分間香をたいてる」と言ってたよ。7年前に日本の研究者がモンゴルを訪ねて来て、アルガルを持ち帰った。その研究者は、4年後に、またモンゴルにやって来て、知人の研究者に、モンゴル人は3年間乾燥させた牛糞を青アルガルと名づけてるそうだね。その3年物のアルガルを探し出してくれませんかねと頼んだ。そのモンゴル人の知人は、その頼みを実直に実行した。そして、日本の研究者は、この青アルガルを研究して、青アルガルが、大気中の300以上の微生物や細菌を消毒している事実を発見した。

 しかし、異国の研究者より我々の祖先のほうが先に、アルガルの煙が微生物や細菌を消毒することを知っていた。それで、彼らは肉をアルガルの煙で燻していた。 この伝統は現在でも生きている。また、疲れきった人や家畜にアルガルをたいてやった。そうすると、体の内外のエネルギーが回復して、気持ちが落ち着くと言います。さらに、競馬の日の朝にアルガルの煙で馬を燻してやる伝統があった。こういうことを知る人がほとんどいなくなったのは、残念です。近頃、人々は幽霊やお化けの話をするようになった。幽霊やお化けは、いないとは言えません。夜に幽霊は同じ所を3度通るそうです。古くからこのことをご存知のお爺さんたちは、朝に一度アルガルの煙で家の中を燻していました。

モンゴル人の我々は祖先から受け継いだアルガルの煙を嗅いで、伝統的な習慣を回復させようという気持ちでいるのに、気が滅入るような話を耳にした。モンゴルの人たちが良く知ってる、上人チン・ハイ師が「モンゴルの家畜の糞から排出される温室効果ガスがオゾン層を破壊し、地球温暖化の原因の一つになっている」と世界中に宣伝したんです。自分が提示した結論を認めさせるために、国際会議まで開催したそうですよ。 

13世紀のモンゴル帝国は、現在の6倍、つまり2億5000万頭の家畜を飼っていた。当時、モンゴルの家畜の糞から排出された温室効果ガスはオゾン層を破壊していない。モンゴルの家畜は1500種類以上の植物を食べていたが、現在は砂漠化のために500から600種類の植物しか食べないようになった。その70%~80%は薬草です。

一方、デンマーク、アメリカ、フランスの研究者は、温室効果ガスはオゾン層を破壊しないという科学的根拠のある結論を提示しました。これらの研究者は始め、温室効果ガスがオゾン層を破壊しているという結論を出したが、後に、温室効果ガス、その中でも家畜の糞から排出される温室効果ガスはオゾン層を破壊しないという結論を出した。さらに、この研究者たちは、その研究の記録映画を製作しているといいます。読者の皆さんがモンゴルの田舎を訪ねた時、青アルガルを見つけたら、自分をアルガルの煙で燻してください。あなたにもアルガルの神通力は効きますよ。

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