モンゴル国と日本国との間の 平和と繁栄のための特別な戦略的パートナーシップ設立に関する 共同声明

政治
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2022-11-30 11:24:57

 会談終了後、モンゴルのオフナー・フレルスフ大統領と日本の岸田文雄首相らが「モンゴル国と日本国との間の平和と繁栄のための特別な戦略的パートナーシップ設立に関する共同声明」に署名した。



モンゴル国と日本国との間の

平和と繁栄のための特別な戦略的パートナーシップ設立に関する

共同声明

20221129日、東京


モンゴルと日本の外交関係樹立50周年に当たる2022年、フレルスフ・モンゴル大統領は、日本国政府の招待により訪日した。

1129日、首脳会談において、フレルスフ大統領と岸田文雄内閣総理大臣は、モンゴルと日本の二国間関係を今後更に強化するとともに、今後の協力の形として、地域・国際場裡において、両国それぞれが、「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンの下、グローバルな課題解決に向けた協力・協働を強化していくことを目的とした「平和と繁栄のための特別な戦略的パートナーシップ」を設立することで一致した。


Ø  これまでの両国関係の歩みと蓄積

 両首脳は、外交関係樹立以降50年間の両国の歩みを振り返り、特に、モンゴルが1990年に、民主化、市場経済化に舵を切り、日本が、これを世界に先駆けて支援したこと、それ以来、両国の関係が飛躍的に発展し、今や、両国は自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有していることを改めて確認し、これを高く評価する。 

 両首脳は、両国が、これまで、特に1996年に「総合的パートナー」、2010年に「戦略的パートナー」となって以降、以下に示す多くの協力の実績を蓄積してきたこと、また、これらが良好な両国国民感情の醸成につながっていることを確認し、歓迎する。

 ―政治・安全保障分野では、要人往来、政府間の緊密な意思疎通に加え、防衛交流も活発に行われている。

 ―経済・投資分野では、日本はモンゴルの民主化、市場経済移行後、一貫してモンゴルの取組を支援するトップドナーとなっている。また、モンゴルにとって初の経済連携協定である日・モンゴル経済連携協定が締結されたほか、日本からモンゴルへの通信や運輸分野への大型投資も行われるなど、両国の経済協力は一層緊密になっている。

―教育・文化・人的・草の根分野では、親善交流・相互理解が促進され、あらゆる分野で人材育成協力も継続的に実施されている。

―地域・国際場裡における協力も、国連安保理改革に関連する緊密な連携に象徴されるように、二国間協力が進展している。

―その他、日本が2011年の東日本大震災といった災害に見舞われた際に、モンゴルの政府及び国民が即座に力強い支援の手を差し伸べるなど、相互支援が行われてきている。


Ø  これからのモンゴルと日本

 フレルスフ大統領は、モンゴルの最も重要な「第三の隣国」である日本がモンゴルの発展に果たしてきた貢献に謝意を表明し、国際社会の平和と安定における過去70年以上にわたる「平和国家」としての日本の貢献を高く評価する。

 岸田総理は、海への出口を持たない内陸国という、特殊な地政学的条件の中、モンゴルが、変動する地域や国際情勢の中で、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を守り抜き、国際社会に貢献し、栄誉ある地位を占めてきたことを高く評価する。

両首脳は、今後の50年、これまでの二国間協力の蓄積を継承し、「自由と民主の精神」を共に持ち、普遍的価値を共有するパートナーとして、より一層の互恵的な関係を築き、これからも共に発展する意思を共有していることを確認する。

同時に、両首脳は、日本とモンゴルを取り巻く地域・国際環境が大きく変化する中、法の支配に基づく自由で開かれた強化、経済的繁栄の追求、平和と安定の確保国際秩序の維持が、かつてないほど重要であることを改めて確認した。また、この観点から、いかなる地域においても、力による一方的な現状変更を許してはならないこと、国際法に基づき、紛争の平和的解決を求める必要して、こうした状況の中で、性を改めて確認した。そ地域・国際社会の平和と繁栄を実現するために、今後、両国が共に手を携えて協力・貢献していくことを目的   として両国関係を新たな次元に高めるべく、「平和と繁栄のための特別な戦略的パートナーシップ」を設立することで一致した。



 両首脳は、そのために、以下の方針で協力していくことを確認する。 

  •   政治・安全保障

 政治・安全保障分野における二国間協力を高いレベルで維持していく。また、両国の政治・安全保障分野での協力を新たな次元に高めるべく、防衛装備・技術協力を推進する。 

  •   経済・経済協力

日本政府は、モンゴルの社会・経済の発展に必要な協力を今後も継続する。また、両国政府は、両国経済の一層の発展、より円滑かつ互恵的な経済関係の強化を引き続き追求する。このため、日・モンゴル経済連携協定や、日本モンゴル官民合同協議会等を活用し、両国の貿易・経済関係の一層の強化に向けた取組を推進する。 

モンゴルと日本の協力の新たな象徴となったチンギスハーン国際空港が、日本を始めとする諸外国からの今後の投融資誘致にも役立つことを踏まえ、引き続き、同空港の円滑な運営や航空路線の増便も含めた往来の活性化を側面支援する。 

モンゴル経済の発展に向け、国内産業の多角化、国内産業、特に、農牧業の振興、食料安全保障、日本からの投資を呼び込むための法整備を含むビジネス環境の整備、モンゴル国の鉱物資源、中でもレアアースの探査、採掘分野での協力可能性の模索、エネルギー事情の課題解決、都市及び地方のバランスの取れた開発に取り組む。 

  •   「人」への投資

 あらゆる分野における関係・協力強化を目指す中で、全ての基盤となるのは「人」であることを改めて確認し、人材育成協力を継続し、両国国民の交流や相互理解の深化を引き続き促進していく。特に次世代を担う両国の若者の交流の深化を図っていく。

  •   グローバルな課題における協力

国連憲章及び法の支配に基づく多国間主義を擁護することにコミットする。また、国際の平和及び安全のための協力強化を継続し、安保理改革を始めとする国連の機能強化に向け、共に取り組む。この関連で、PKO分野において日本が実施しているモンゴル軍への能力構築支援の重要性を強調し、地域及び国際社会の平和と安定の確保と強化に貢献するため、同事業を継続強化していく。また、国際社会が直面する経済の新たな挑戦を乗り越えるため、経済安全保障分野における協力を強化する。

多国間人権システム及び世界的な人権の推進にコミットする。

核戦争が人類、文明及び環境にもたらす壊滅的な結末についての懸念を共有し、国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石としての核兵器不拡散条約(NPT)を維持・強化するため、引き続き緊密に取り組む。日本は、「モンゴル一国非核の地位」を支持し、モンゴルは、「ヒロシマ・アクション・プラン」に沿った核軍縮に関する岸田総理の取組を支持し、「核兵器のない世界」のための国際賢人会議の立ち上げを歓迎する。また、双方は、核兵器使用の危険性が更に増しており、国際的な安全保障環境が急激に悪化していることを深く懸念し、核戦争には勝者はいないことから、核戦争は行わないことを確認するよう、全ての国々に求める。

北朝鮮に対し、朝鮮半島の非核化並びに北東アジアの平和及び安定の確保のために、関連する国連安保理決議の下での義務に従うことを求める。また、拉致問題を即時に解決するよう求める。

双方は、主権平等の原則、独立及び領土保全の尊重及び武力による威嚇又は武力の行使の禁止を含む国連憲章及び国際法の重要性を改めて強調する。この観点から、ウクライナ国民の困難な状況に懸念を表明する。

国連海洋法条約(UNCLOS)に整合的に航行及び上空飛行の自由を含む権利及び自由を行使することの重要性を強調する。

地球規模の課題である気候変動・環境問題に関しても、両国で一層 の協力を進めていく。その一つとして、モンゴル国大統領が提唱して いる「10億本の植樹」国民運動に関連し、日本政府として、モンゴ ルにおける植林事業やモンゴルの青少年約2万人に対する植樹活動 を含む環境・防災に係る啓発活動の実施を通じて力強く支援してい く。また、モンゴル政府はこうしたプロジェクトが円滑かつ効果的に 実施されるよう、最大限の協力をする。

 両首脳は、上記方針に基づき、今後10年間で両国が取り組む行動 計画を別添のとおり発表する。また、両首脳は、次の50年及び更に その先を見据え、日本とモンゴルの人々が互いを一層理解し、信頼し 合い、両国が力を合わせ、自国、両国、そして地域や世界の平和と安 定のためにできることを模索し、両国の新しい歴史を築いていくた めに取り組む意思を表明し、以下に署名した。