ツァガーン・サル商戦、驚く経済効果とは

経済
41@montsame.mn
2018-02-19 15:00:11
 卸売業や小売業の売り上げが冷え込む中で、消費の勢いを試す「ツァガーン・サル(旧正月)商戦が2月に入ってからヒートアップ。全国各地の商業施設などで安売り合戦が繰り広げられ、景気低迷の面影が引き好況感が漂う。先進各国では年々ネット販売 が主戦場と化しているのに対して、モンゴルでは百貨店などの売上高は依然として大きい。年寄りを囲んで家族や親せきで新年を祝福するかつての行事は、今となるとな んと最低約7660億トゥグル グ(国家統計委員会の2016年度発表)の経済規模の商戦と化した、と指摘されるほど。その規模としては、国家ナーダム祭や年末商戦と肩を並べられるほどだ。実際、この期間中にどれほどの消費の勢いがあるか探ってみた。
 ツァガーン・サル中は、年寄りへの挨拶が通常行事であるが、訪れる客人に対する「もてなし」は大事にされる。 特に、豪華な食卓の用意を欠かさない。各家庭が必ずする用意は、オーツ(羊の胴体部分の丸茹したもの)、へヴィン・ボーブ(揚げ物・堅パン)、ボーズ(モンゴル風小籠包)である。 
 ただ、実際にちゃんとした食卓の用意をするのは、約86万世帯のうち57万世帯(67% )ぐらい、と統計当局は2017年度の報告で指摘する。まず、オーツから始める。相場は、20万~30万トゥグル グ。産地などの諸条件で最高値が30万トゥグルグを超えるものもあるという。こうなると、オーツの値段が平均約22万5000トゥグルグと見積もると、大体約1282億トゥグルグ がオーツ購入で流通されている。一方、ヘヴィン・ボーブ の場合は、用意するのは最低15個である。というのは、モンゴル人は縁起の良い奇数で3~9段の丸い形で積み上げる。一段に3個を並べる。モンゴルでもっとも一般的であるのは、5段積みであるために15個が必要だ。ヘヴィン・ ボーブの平均価格で計算すると、約180億トゥグルグが購入金額となる。ツァガーン・サルの定番といえば、ボーズだ。一般家庭は、最低180個 のボーズを用意。実際に手作りにせよ、購入にせよ、1個当たりの平均価格が500トゥグルグで計算すると、5130億トゥグルグがボーズ購入にかかる。そのほか、牛乳や乳製品、キャンディ、酒類などの用意がある。数量などが家庭それぞれによって違いがある。牛乳購入量が5㍑だ考えると、約1万トゥグルグになる。アーロール(乾燥ヨーグ ルト)も2㌔とすると、約2万 4000トゥグルグ。キャンディは5㌔で計算すると3万2500トゥグルグ。酒類は平均3本で考えると、3万6000トゥグルグだ。合計10万2500トゥグル グだ。総金額は584億トゥグルグになるわけだ。こうして考えると、主な食事だけで約 44万9000トゥグルグを使っている。そのほか、副菜などに食べるサラダ類やフルーツなどを合わせると約18万トゥグルグになる。 
 上述した食卓以外の用意もある。それは、客人へのお土産だ。一般家庭にとって来賓数もバラバラであるが、平均数は約60名と想定する。お土産代も8000~1万5000トゥグルグと計算すると、1世帯は 48万~90万トゥグルグを使っていることになる。ただ、お土産の8割近くを輸入品が占めており、その金額は3079億トゥグルグに上るという。ツァガーン・サル・フィーバーは、 消費による最低約7660億トゥグルグに及ぶ経済的な効果をもたらす。ネット販売の可能性が指摘される中でスーパー などの店舗への客足が一段と衰えつつある中で経済効果が大いに期待できる。