TDB Leasing 社長、藤本和久さん:リースは重機からジェット飛行機まで 社員と共に、風通しの良い明るく元気な社風を!

経済
naranchimeg@montsame.mn
2018-11-30 12:02:37

モンゴルのメーンストリートに、ひときわ高くそびえる14階建てのTDBのオフイスビル。その壁面に最先端の広告映像が夜目に美しい。このビルの7階に藤本和久さん(58)が代表取締役社長を務めるTDB Leasing LLCがある。総勢9人、「若い精鋭のスタッフと仕事していますよ」と藤本社長が言えば、社員は、「何でもよく知っていて、気さくだが親身に教えてくれる。尊敬しています」と返す。2013年に設立されたリース会社の草分けだ。まだ若い会社だが、勢いがある。「風通しの良い元気な会社にしていきたいですね」と藤本さん。今後、どのように成長していくのか、ビジネス界からは熱い視線が注がれている。さわやかな秋の昼下がり、藤本さんを訪ねて、インタビューした。

 

――藤本さんが初めてモンゴルに来られたのは、いつですか?

1996年の夏、丸紅のプラント本部にいたときのモンゴル案件で出張したのが最初です。2000年から頻繁に出張で往来したあと、2005年に丸紅の所長として赴任し、09年の月まで。それから日本に戻って2011年秋にエムジーリースに出向。準備期間を経て、TDB リースを作った。20138日、正式にモンゴルで設立、今年5周年を迎えた。当時は副社長で、昨年の4月、社長に就任しました。こうして約20年間モンゴルに関わって来ましたが、ここに住むようになって通算で9年が経ちました。

 

――商社マンから金融の世界へ転身。その心意気はいかがですか?

自分ではこの仕事に就くとは思ってもいませんでしたね。ビジネスの場はモンゴルに限定されるけど、長年、商社マンとして学んできた知恵や感覚を生かせる仕事だし、いまは平均年齢27歳くらいの社員と、日々新しい展開に向けて挑戦しています。




シェト飛行機(上)とセレモニーの日の風景(下)


 

――それでは、TDBリースの会社概要や事業内容についてお話し下さい。

株主構成はエムジーリース株(45%)とTDBグループ株(55 %)です。主な事業はファイナンスリースと割賦販売で、うちの特長としては、日本からの資金(米ドル、円)を基に、比較的金利の低いリースを提供し、法人向け取引に強いTDBの経験とノウハウによるリスク管理の徹底、リース物件のメンテナンスや管理まで行える信頼できるサプライヤーとの提携です。

 

――過去5年間の実績はどんなでしょうか?

リース契約件数は95件、顧客数は54社、提携先サプライヤーは29社。総リース金額は円換算で5年間に120億円というところでしょうか。リース資産も現在60億円ぐらい有り、モンゴルのリース業界ではNo.1の規模になったと思います。

 

――主なリースアイテムは? 一番、最初にリースしたのは何ですか?

リースの6割が鉱山用重機関係ですね。タワントルゴイで石炭採掘に使うコマツのダンプが最初の大きな契約でした。鉱山用のダンプや大型シャベルのほかに、農業機械や編み機など色々です。MCSのコカコーラの配送車やスー社の冷蔵トラックなど、街を走っているのをよく見かけるでしょう。あれもうちからのリースです。日本製の中古車も150 台ぐらいリースしてますし、そのほか、小さいものなら、本社TDBの社員が使うパソコンやATM、ビルの地下に入れたジェネレーターなどもあります。

 

――現物そのものの流れを説明してください。

うちはすべて現物を買って、それを2年か3年の分割払い契約にします。デッカイ重機だと、1台が1億円以上になります。大型シャベル1台に台のダンプをパッケージにして10億円くらいをリースすることもあります。日本製の機械だと、船で天津まで運び、あとは陸路でモンゴルに輸入され、組立て・引渡しまで、か月か3か月かかります。リース期間は普通は2年から3年、長くても5年の割賦契約です。


島精機の編み機

 

――そんな時間や輸送コストをかけてまで日本から運ぶなんて、安い中国製に負けないですか。

日本の品質と絶対の信用があるからです。うちは一流メーカーの品で、アフターサービスも出来る代理店としか取引していません。

 

――契約期間はどうして短いのですか?

モンゴル経済が変動しやすいので、長期のリスクを取りにくいためです。うちはリース物件の売買からの儲けはなく、リース・ファイナンスからの金利収益だけなので、リース料を全額回収できなければビジネスとして成り立ちません。

 

――よくある踏み倒しというのも、ありますか?

今のところはないですが、危ない目にはいっぱい遭ってますよ。所有権はうちにあるので、支払えなければ返してもらう。だが、大抵は返さず使い続けるので、系列のそれ専門の組織に依頼して回収しに行く。すると、バカでかい鉱山の陰にダンプなどを隠されたりして...(笑)。今の時代は機械にGPSが付けられて、逃げも隠れも出来ないようになっているのもあります。島精機の編み機なんか、払わないと自動で停止するような仕掛けになっている。すごい会社ですよ。うちは何回かそれで救われました。

 

――いろんなドラマがありますね。ほかにトラブルなどありますか。

一番迷惑なのは、リースした車両の駐車違反や交通規則違反などで、警察から罰金の通知がたくさんうちに届くこと。車の所有者はうちですからね。駐車場が少ない現状ではほんとに困ります。

 

――ところで、御社しか扱っていない、コレというと本命がありますか?

50人乗りブラジルの旅客機のリースを、この5月から始めました。中古ですが、モンゴル初の民間ジェット機です。飛行時間はプロペラ機の半分くらい、ムルンまでなら45分で行けます。



左端の人と比べて見て!デッカイ車両がズラリ

 

――どこの航空会社が使っていますか?

 アエロ・モンゴリアです。飛行機を購入して、初めてチンギスハーン空港に到着した時のセレモニーは、忘れられない。機体の両側に消防車をおいて放水し、その間をゆっくりと進んでくる。夕映えに照らされて、それは美しい光景で感動しました。

今では毎日、国内のあちこちを飛んでいますよ。プロベラ機とはスピードが全然違うのでお客さんにはすごく好評で、来年1月にもう1機追加される予定です。しかし、「飛行機は速かったのに、空港から街に入ってからが渋滞で、モニスタワーまで2時間もかかった」と笑えない話のようなことも聞きました(笑)。

 

――今後はどんなアイテムを扱いたいですか?

ぜひ不動産をやりたい。うちがビジネス用のスペースやフロアを買って、それを大々的に貸し出す。出来るだけ年間を通して安定した需要があるものがいいのです。鉱山関係は金や石炭の価格に左右され、意外と安定していない。農業機械も年に1回だけ、冬場は使わない。そこへ来ると、飛行機や配送車などの輸送機や不動産は安定しています。

 

――最後に、将来を見据えて、社長としての抱負、心構え(方針)などをお話し下さい。

モンゴルは、日本のように何でもあって便利な成熟した市場ではない。ここ23年でコーヒーショップがたくさん出来たけど、最近ではコンビニが急速に増えているように、モンゴルの市場はドンドン変化している。今は鉱山系企業が主なリース顧客だけど、市場が変化すれば顧客も代わるだろうし、顧客が代わればニーズも変わる。モンゴル経済の変化を先取りして、フレキシブルに対応し、顧客の成長と共に当社も成長したい。当面の目標は、リース資産を今の60億円規模から80億円―100億円規模に拡大することです。また、そのためには社員育成や組織作りなどの内部体制を更に充実させていく必要があると思ってます。

 

――ありがとうございました。

 

* * * 「取材を終えて」 * * *

 

 成長企業を牽引していく藤本さんの日々は、外から見ているほどラクではないだろう。政治や経済の動向から目を離せない。多様化する顧客のニーズに対応しながら新たなアイテムを考えていく。そんな藤本さんの休日の楽しみは、昔はサッカーに興じたが、「今はゴルフくらいかな」と言う。健康第一にがんばってもらいたい。