信用格付け「B」ステータス「安定的」に維持

経済
l.naranzul@montsame.gov.mn
2024-02-16 10:58:02

(ウランバートル市、2024年2月16日、国営モンツァメ通信社)28日、フィッチ・レーティングス信用格付機関は、モンゴルの信用格付けを「B」、ステータスを「安定的」に維持と発表した。同機関は下記の要因を元にモンゴルの格付けを維持したと報じた。

景気回復と外部セクターのリスク:モンゴルの中期経済成長見通しと、一人当たり所得は、「B」格付けを持つ他の国より高い。しかし、高水準の対外債務、不十分な外貨準備高、循環的な財政政策、海外からの資金調達や中国への原材料輸出への依存度の高さ等が、格付け引き上げの限界となっている。


前向きな変化、短期間のリスク:過去10年間にわたり、鉱業部門の発展はモンゴル経済の拡大、一人当たり国内総生産(GDP)の増加、対外と国内債務圧力の軽減にプラスの影響をもたらした。鉱業の輸出が歴史的高水準に達している現在、2024年の選挙に関連した予算の集中的な拡大と鉱業活動により、信用サイクルの収縮が増大するリスクがあるため、前向きな傾向が維持されるかは疑問である。


鉱業分野中心とした経済成長:中国国境検問所の運営が正常化されたことで、石炭輸出は劇的に増加した。2022年に5%であった国内総生産成長率は、鉱業部門の影響により2023年には7%に達すると暫定推計もある。しかし、2024年に内需の増加が予想される場合、輸出が低迷すれば経済成長率は4%に減速する。オユトルゴイの地下採掘作業は20233月に開始されたが、生産量は2025年まで増加しないと予想されている。従い、中期的には、鉱業やその他のインフラ・プロジェクトが経済成長を支えることになる。


当座預金の一時的な収益性:国内の経常赤字は2022年に国内総生産の13%に相当したが、鉱業輸出の増加により2023年に2億米㌦(GDP1%に相当)の利益をもたらした。202425年に輸出が弱まり、内需回復が期待され、経常赤字は国内総生産6%に相当する。海外直接投資は、同赤字の一部を相殺すると予想される。良好な対外収支により、2023年末に外貨準備高が約50億米㌦に達した。


外部資金調達のリスクは依然として高い:2023年末時点、対外債務は国内総生産の150%に相当し、他の「B」格付け国の平均の7倍となっている。海外直接投資は対外債務総額の30%、二国間及び多国間補助金付き融資は20%占める。外貨残高は増加したが、経済の多角化が不十分であり、外部資金調達への依存を考慮すると、外貨残高が不足していることを意味する。中国人民銀行との15億米㌦のスワップ債務、中央銀行(BoM)における商業銀行の預金を除くと、外貨準備高は大幅に減少する。


対外債務返済スケジュール:202311月に35000万米㌦の調達により、ホラルダイ債残高は17000万米㌦まで減少した。開発銀行は202310月と12月の返済を、政府の介入なしに返済した。政府は2024年に5億米㌦、2025年に4億米㌦の対外債務を返済予定である。


原材料の依存性と脆弱性:モンゴルの外貨と予算収入は鉱業原料の輸出に大きく依存している。 2024年に石炭輸出量がフィッチ局の基本予測より10%減少した場合、経常収支は国内総生産の4%、予算は1%圧迫されるリスクがある。


政府債務と偶発債務が大きい:政府債務と債務保証は2022年に国内総生産の58%に相当したが、経済が急速に成長し、予算が黒字化したため、2023年には国内総生産の49%に低下した。しかし、2024年には経済成長がある程度鈍化し、負債額は53%に増加見込みである。


インフレ目標と金融政策の見通し:インフレ率は2024年に平均8%2025年には7%となり、モンゴル銀行の目標水準に達すると予想される。ただし、拡張的な財政政策の影響により、リスクが生じる可能性がある。モンゴル銀行は202212月以降、政策金利を13%に据え置いている。


安定的な銀行制度:中銀によると、融資額の大幅な増加により、融資総額に占める不良債権の割合は8%まで低下した。