「メイド・イン・モンゴリア」ブランド、シリーズI 「エクスクルーシブ」 モンゴルのアパレル会社、海外進出を目指す

特集
41@montsame.mn
2017-04-21 15:54:01
 

 益々厳しさが増す世界アパレル業界だが、その中で「メイド・イン・モンゴリア」のブランドを確立しようとしているのは、2009年に設立された「エクスクルーシブ」社である。そこで今回は、G.マイツェツェグ社長にインタビューをした。







――「モンゴル・ブランド」は世界市場で充分競争できると思いますが、一番の活道とは一体なんでしょうか?
 地理的な条件がモンゴル成長の潜在的な可能性として充分考えられます。というのは、ロシアと中国という世界最大規模の市場が至近距離にあるわけで、これらと経済連携を結んで国産品が進出できるよう環境整備を進めるべきだと思います。しかし、海外進出という正式な店舗を立ててそれを通しての販売経路を確保しようとするのは、モンゴル人にある共通認識です。これより、むしろ既に整備が備えている総合スーパーマーケットといった流通ネットワークを利用して製品の流通を図った方が手早く、合理的な販売方法です。私の望みの一つは、私たちが外国に出張してセールスを行うより、むしろモンゴルを訪れた外国人が買いたいと思うような製品を作ることです。そのため、私たちは製品の質と価格で勝負します。
 
――軽工業振興を総合的に考えると原材料の確保も必要になる思います。社会主義時代のモンゴルでは、年間約150万㍍の布製造を行っていましたが、現在、まったく製造しておりません。布の製造をすれば、その需要があると思いますか?
 
 もちろん、需要があります。ストレート生地の製造が至急必要です。この生地は、薄いものをTシャッツに、厚いものをジャージなどに利用できるのですよ。輸入服の大半をジャージーなどが占めていますから、生地さえ作れば国内のものづくりが充分輸入品と競争できます。道路整備などより先に織布工場を建てれば、繊維産業が継続的な運転をできて、大勢の人が仕事に就き、軽工業振興の土台となります。
 
――先ほどから軽工業振興という言葉を繰り返していますが、それは?
 確かに、その通りです。私は「エクスクルーシブ」というブランドより軽工業振興への貢献が非常に大事なことだと思っています。海外生活が長くなると、何となく母国への思いが強くなったことに気が付きますね。エクスクルーシブは、単にマイツェツェグという個人の所有物ではなく、むしろモンゴルのものとなっています。だから、一般人のニーズと購買力に合ったモノづくりを心がけています。ブランドという高級志向を考える人が少なくないが、私はその考えにとらわれたくなかったです。店では、ダウン・コートやキャメルのハイ
パイル肩当てベストなどが誰でも手が届けるリーズナブル値段設定しています。収益が少ないが、それでいいのですよ。少しでも一般家庭の家計に味方出来たら充分で心も満足感を得ていますから。今後、モンゴルのブランドが一気に増え、正々堂々と競争できて、さらに質を上げて経験を積まなければなりません。
 
――エクスクルーシブ・ブランドに関して、今後の企画を明かしますと?
もちろん、あります。私の一所懸命になって唯一考えることは、新しいアイデアです。ブランドとしては、いくつかの案件を企画中です。
 
――社長が着ているセーターは可愛いですね、自社商品ですか?
 これは先ほど話した企画の一つです。エクスクルーシブは、編み物の生産を試行しています。今年は、3つの県で新たな店舗の開業、全国各地に販売代理人がいるよう目標を立てています。これから中国とロシア、日本への本格的な輸出をします。
 
――社長室には、エクスクルーシブ・ブランドの看板ともなった「フンヌ・スタイル」のコートを見かけましたが、ロングセーラーとなりましたね。
 そうです。フンヌ・スタイルのコートは、同ブランドの看板を今も背負っていますよ。この間は、フンヌ・スタイルのコートが内モンゴルで大流行しました。しかし、うちの商品ではなく偽物です。本物より雑で質も悪かったようですが、内モンゴルで流行ったというのですよ。商品がパクられて残念ですが、味方を変えると同社の商品は、ファッション面でも充分通用できることが分かったのです。
 
――皮革ジャケットの生産があったと思いますが、生産中止したのですか?
 2011年にイタリア向けに中国で加工した皮革で生産していたが、ある日取引先の中国企業の販売員から「こちらは、モンゴル産ですが、モンゴルで購入できないのでしょう?」と聞かれまして、唖然となりました。本当に同社が購入していたものは、モンゴル産の皮革で加工を中国で施して輸出していたもので、高品質で肌触りもモンゴルで加工したものと比べ物にならないほどでした。モンゴルで一番欠けているのは、加工技術です。原料があるのに加工できないそのままでの輸出とは、本当に損です。軽工業の振興が本当に必要となるのです。



















――生産と販売の両立が非常に難しいと思いますが。
 ポーランドのある経済学者に「マヤさん、生産を続けるか、販売をするか
どちらの方向で行くかをはっきりと腹を決めた方がいい。両立は、非常に負担が大きい選択肢だ」と助言されたことがあります。生産者にとって商品を消費者の手まで届けることは非常に苦悩が付くものです。アパレル業界は、そんなにやさしい世界ではありません。この業界では、ブランドにとって一番合理的な選択は生産を他社、即ち請負者に依頼することです。
 
――社長はモンゴルで、ダウン製品の生産を請け負いできるとおっしゃっていましたが、本当に可能性がありますか?
 気候条件からすると、ダウン製品の生産は適しています。モンゴルには海外の有名なブランドのダウン製品の生産を請け負いできる潜在的な能力があるとみています。不可能なことなどはないと思いますよ。
 
――ありがとうございました。