2025年 国内10大ニュース

特集
b.dagiimaa@montsame.gov.mn
2025-12-24 10:38:01

(ウランバートル市、2025年12月24日、国営モンツァメ通信社)国営モンツァメ通信社は2025年にモンゴル国内で起きた10大ニュースを発表した。


1. チンギス・ハーンの金の像を設置



モンゴルの伝統的なお正月であるつまり巳年の元旦の3月1日、チンギス・ハーン国立博物館に大ハーンの宮殿を設置し、チンギス・ハーンの金の像、大白旗、ホスボー国家印章を設置する式典が行われた。

これまでモンゴル国の国家儀礼として、国の最高指導者らが政府庁舎でモンゴル民族の精神と威信を象徴する九本脚の白旗に敬意を表することから新年の公式行事が始まっていたが、2025年以降は、モンゴル国民の誇りである偉大なる始祖チンギス・ハーンの御殿でこれを行うという新たな伝統が確立された。

高さ7メートルの金箔を施したこの像は、大チンギス・ハーンが大モンゴル国を建国し、御殿の奥座に鎮座する若き日の姿を表現したものである。

モンゴルの学者たちの思想と学識に基づき、国内の芸術家らが新型コロナウイルス感染症の最も困難な時期に建設した「チンギス・ハーン」国立博物館は、過去30年間におけるモンゴルの文化的分野での最大の建設であり、モンゴル国家2000年の歴史と、現代世界における遊牧文明を包括的に紹介する最大規模の博物館となっている。

なお、モンゴル帝国を築いたチンギス・ハーンは、1996年に米紙ワシントン・ポストにより「ミレニアム・ヒューマン」に選出されている。


2.ハイレベル訪問過去最多



モンゴル国の外交関係は近年、急激に拡大し、要人往来の件数と頻度は着実に増加している。2025年に、国家元首レベルで16件の訪問および関連行事が実施され、これまでに築いてきた成果と実績を一層確固たるものとするとともに、国家間協力の範囲を拡大し、バランスの取れた外交政策を推進した歴史的な年となった。

モンゴル国は、オーストリア共和国のアレクサンダー・ファン・デア・ベレン大統領、トルクメニスタンのセルダル・ベルディムハメドフ大統領、ウズベキスタン共和国のシャフカト・ミルジヨエフ大統領、日本の徳仁天皇陛下および雅子皇后陛下、ならびにオーストラリア連邦のサマンサ・モスティン総督を国賓として迎え入れた。

また、オフナー・フレルスフ大統領は、トルコ共和国、チェコ共和国、ポーランド共和国、キルギス共和国、タジキスタン共和国、インド共和国、イタリア共和国およびバチカンを国賓訪問した。さらに、大統領は第80回国連総会、ロシア連邦のウラジーミル・プーチン大統領の招待によりモスクワで開催された大祖国戦争勝利80周年記念行事、ならびに中国・天津市で開催された上海協力機構(SCO)加盟国首脳会議拡大会合にオブザーバーとして出席した。

加えて、2025年7月4日、エスワティニ王国、バルバドス、トリニダード・トバゴ共和国、ボツワナ共和国との外交関係樹立に関する国会決議案が可決された。これにより、モンゴル国は国連加盟全ての国と外交関係を樹立するという目標を完全に達成した。

3.モンゴル国の独立が国際的に承認された歴史的記念の年

20世紀の歴史に鮮明に刻まれている1945年のヤルタ会談、解放戦争、独立に関する国民投票という一連の出来事は、現代モンゴル国の独立を国際社会に認めさせる決定的な根拠となった。これらの歴史的出来事の80周年が2025年に相次いで迎えられた。



1945年2月に開催されたヤルタ会談で、当時のソビエト連邦の提案により、モンゴル人民共和国の現状(ステータス・クオー)を現在の国境線で承認し、南の隣国である中華民国から国際法上独立した国家であることが確認された。



また、モンゴル国の独立を確固たるものとし、国際的承認に大きく寄与した1945年の解放戦争に、モンゴル人民革命軍の2万3000人以上の将兵がソ連軍と共に1000㌔を超える行程を踏破し、戦闘に参加した。



解放戦争直後の1945年10月20日に、当時のモンゴル人民共和国において全国民を対象とした国民投票が実施され、モンゴル国民は独立支持に100%の賛成票を投じた。この結果を受け、当時のソビエト連邦(ロシア連邦)および当時の中華民国が正式に承認した。

これら一連の出来事の成果として、モンゴル国は1961年に国際連合へ加盟し、国際社会の一員として正式に承認されるに至った。


4. モンゴル国国家大会議議長にオチラル氏が選出、ザンダンシャタル氏が第34代首相として新内閣を発足

2025年、与党モンゴル人民党の党首に選出されたニャムオソル・オチラル氏が、国家大会議(国会)議長に選出された。オチラル議長は、経済的独立と自由を確立するための包括的な法制度改革に向け、国会運営を主導していく考えを示した。



また、国会は、当時首相を務めていたロブサンナムスライ・オユンエルデネ氏に対する不信任決議を可決し、これを受けて2025年6月13日、ゴンボジャブ・ザンダンシャタル氏がモンゴル国第34代首相に任命され、新たな内閣を組閣した。



国会議員、外務大臣、国家大会議議長、大統領府長官などを歴任したザンダンシャタル首相は、国際社会において高まりつつあるモンゴル国の評価と存在感を一層強化する内閣の指導者となると表明した。新政権は「Digital first」をスローガンに掲げ、デジタル変革を重視し、ビッグデータに基づく政策決定を主要な目標として取り組む方針を示した。

5. オラノ・グループとウラン事業契約を締結、

ガショーンソハイト-ガンツモド国境越境鉄道の建設を決着

モンゴル政府とモンゴル・フランス共同出資の「バドラフ・エナジー」社の投資者である「オラノ・マイニングSAS」との間で、投資契約が2025年1月17日に締結された。

同プロジェクトは、ドルノゴビ県でウランバドラフ郡で実施されるもので、「オユ・トルゴイ」プロジェクトに続き、第三の隣国と共同で進める2件目の投資協定となる。建設工事は2026年に開始され、2028年10月には「Zuuvch Ovoo(ズーヴチ・オボー)」鉱床で本格的な採掘を開始し、初出荷が行われる予定である。施設がフル稼働した場合、年間2500㌧、総量6万8900㌧のウラン精鉱(イエローケーキ)を生産する見込みである。

また、モンゴルと中国は2025年2月14日ガショーンソハイト-ガンツモド国境鉄道を接続させるモンゴル・中国政府間協定に署名し、関連インフラの建設が開始された。

本協定の調印により、モンゴル中国間のシベーフレン~セヘー、ビチグト~ズーンハタブチ、ハンギ~マンダルの各国境税関を鉄道で接続するための条件が段階的に整う。

6. S&Pの評価でモンゴル国の信用格付けが過去13年で最高水準に到達

世界的信用格付け機関であるムーディーズは、モンゴル国の2025年の信用格付けを「B1・安定的」へと引き上げたと発表した。格付けは2024年からさらに1段階改善しており、債務の借り換えリスクの低下や、資源価格の下落にもかかわらず経済指標が改善したことなどが要因とされている。

また、S&Pグローバル・レーティングは、モンゴル国の信用格付けを従来の「B+(ポジティブ)」から1段階引き上げ、「BB-、安定的」とした。中期的に経済は安定した成長を維持し、今後1~2年間の財政赤字も比較的低水準に抑えられるとの見解を示している。S&Pの評価によれば、モンゴル国の信用格付けは過去13年で最高水準に達した。

一方、フィッチ・レーティングスは、2025年の信用格付けを「B+」、見通しを「安定的」とし、据え置いた。

さらに、2025年12月2日現在、モンゴル国の外貨準備高は60億米㌦に達し、過去最高水準を記録した。

7. スポーツの成果を通じてモンゴル国を世界に発信した一年

モンゴル国は2025年、過去最多となる82万人を超える観光客を迎えるとともに、国の魅力を国際社会に効果的に発信した一年を締めくくろうとしている。その中で、スポーツ分野が果たした役割は極めて大きかった。

モンゴルを新たな視点から紹介したNetflixの番組「Physical: Asia」は、世界46ヵ国で視聴ランキング首位を記録し、数百万人規模の視聴者を魅了している。モンゴル人の力強さ、忍耐力、才能、団結力、そして独自の国民性は多くの国の視聴者に強い印象を与え、モンゴル国を新たな角度から認知させる契機となった。これを受け、同番組の制作チームは、今後モンゴル代表選手らと連携し、観光振興分野で協力していく方針を示している。

同番組の出演者であるバータルフー・エンフオルギル選手は、モンゴル総合格闘技界において過去11年間で初めて、アジアの総合格闘技チャンピオンを決める大会である「ONE Championshipの王者に輝いた。

また、モンゴル国はバスケットボール3×3世界選手権を初めて開催し、女子代表チームがホームの観客の前で質の高い熱戦を繰り広げ、銀メダルを獲得した。さらに、eスポーツ分野では「The MongolZ」チームが世界ランキングで初めて首位に立っただけでなく、サウジアラビア・リヤドで開催されたワールドカップ大会で初優勝を果たした。

これら一連の成果により、2025年はスポーツを通じてモンゴル国の存在感と魅力を国際的に大きく高めた一年となった。

8.モンゴル国が提唱した「世界馬の日」を初めて祝賀

「世界馬の日」が2025年7月11日に初めて祝賀された。モンゴル国が提出した「世界馬の日に関する決議案」は、国連総会第79回会期における2025年6月3日の全体会議で採択された。

古くから馬と共生し、豊かな馬文化と伝統を受け継いできた騎馬民族・遊牧民の代表として、フレルスフ大統領は、馬の価値への国際的関心を喚起し、その重要性を伝えるとともに、市民の関与を促進するため、毎年7月11日を「世界馬の日」とする決議案を国連総会に提出した。

同決議には、世界56ヵ国が共同提案者として参加した。国連食糧農業機関(FAO)のデータによれば、世界には騎乗用および作業用を含め、5700万頭を超える馬が存在している。

9. 「フイス・トルゴイ碑文」と「人体全身登録文書」がユネスコに登録

2025年4月2日〜17日にかけてフランス・パリで開催されたユネスコ執行委員会第221回会合において、モンゴル国が推薦した古代モンゴル語文献である「フイス・トルゴイ碑文」および「人体全身登録文書(A Complete Record of the Body by Imperial Order)」が、ユネスコの「世界の記憶」国際登録に正式に登録された。

モンゴル国はこれまでに、「ロ・アルタン・トブチ(黄金史綱)」、守護女神ダーラ母経、医学書「メルゲド・ガラヒーン・オロン」の木版本、チンギス・ハーン家ハルハ・モンゴル世襲領主家家系図そしてモンゴル初の切手「エルデブ・オチル」の計5件の記録遺産を同リストに登録している。

「フイス・トルゴイ碑文」は、西暦601年頃にさかのぼるとされ、モンゴル・ブラーフミー文字215字で記された約100語から成る文献で、現在知られている中で最古のモンゴル語資料である。一方、「人体全身登録文書」は18世紀中頃に作成された、西洋および東洋の伝統医学に関する手写本であり、モンゴル人が古くから人体構造について広範な知識を有し、独自の専門用語体系を備えていたことを示す極めて貴重な文化遺産である。

なお、モンゴル国は2025年11月24日にパリで実施された選挙により、ユネスコ世界遺産委員会の委員国に初めて選出された。

10. 「頭突き恐竜」化石、世界の古生物学界の注目

モンゴル科学アカデミー古生物学研究所のほかアメリカおよび日本から成る国際研究チームの研究者らが共同で実施した野外調査により、極めて貴重な恐竜化石が発見された。調査は、約1億8百万~1億1500万年前白亜紀前期の地層が分布するモンゴル南部の「フレン・ドフ(Khuren Dukh)」化石産地で行われ、その研究成果は今日、世界の恐竜愛好家および古生物学者の大きな関心を集めている。

発見された化石は、全長約80㌢、体重約5.85㌔の草食性で、「頭突き恐竜」として知られる「パキケファロサウルス類」の新種の化石である。これまでに記録されている同系統の恐竜の中でも、最も保存状態が良好な標本の一つと評価されている。

研究チームは「ザヴァケファレ・リンポチェ」と命名した。この名称に、「ザヴァケファレ」は、チベット語で「根」「起源」を意味する「ザヴァ」と、ラテン語で「頭」を意味する「ケファレ」を組み合わせ、「リンポチェ」はチベット語で「尊きもの」で、「ドーム頭の恐竜の起源にして尊い宝」という意味「最初のドームヘッド」および「希少で尊い存在」といった意味が込められている。

本研究成果は、インパクト・ファクター約50を誇る世界最高峰の学術誌『ネイチャー』の2025年9月17日号に掲載された。