2018年国内10大ニュース

特集
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2018-12-27 11:33:44

1.大統領「北東アジア・スーパー・グリッド」イニシアティブを発表



 ハルトマー・バトトルガ大統領は、69日、10日に開催された第18回上海協力機構首脳会議、スイス・ジュネーヴ開催の世界投資フォーラムなど、4つの重要な首脳会議へ参加し、モンゴルが提唱する「イニシアティブ」を発表した。その一つは、911日~13日の間でロシア開催の第4回東方経済フォーラム、101819日の両日にベルギーで開催された第12回アジア欧州会合(ASEM)首脳会議中で打ち出された「北東アジア・スーパー・グリッド」構築に向けた各国合同作業ユニットの発足に関する提案でだった。


2.首相、主要関係国を外遊


 オフナー・フレルスフ首相は、米国、日本、中国をはじめ4カ国を公式訪問し、社会・経済を発展させるうえで、それぞれの国との重要案件に署名した。首相は、韓国訪問で国際通貨基金(IMF)支援枠の韓国政府による5億米㌦の緩やかな条件付き借款に署名、中国訪問で中央下水処理所改築に向けた3億米㌦の緩やかな条件付き借款に合意、米国訪問で35000万米㌦規模の無償資金協力に署名した。日本訪問では、IMF支援枠の、「財政・社会・経済構造改革」に向けた第2弾借款に合意した。


3.製油所建設へ着手


 国家発展において有意義な開発事業が本年スタート。一つはウランバートル市ハン・オール区における高架橋建設事業。もう一つは製油所建設事業の着手だ。後者については、622日に鍬入れ式が行われてから、インフラ整備が急ピッチで進んでいる。製油所は、ドルノゴビ県アルタンシレー郡で建設。インド政府は、緩やかな条件付き借款で10億米㌦を拠出した。タムサグ油田からの原油150万㌧を製油し、国内需要の3割ほどを供給する。製油所の本格的稼働は2022年からである。ウランバートル市の都市機能改善の一環として、中国政府による緩やかな条件付き借款3000万米㌦を財源とした、「ヤールマグ旧橋改築及び新橋建設」事業が112日に完工した。また、中国からの4230万米㌦資金協力で高架橋建設が6月から始まった。上述事業で内需に対する安定的な供給確保と、生活用品の価格減、市内渋滞緩和という効果が見込める。


4.ガンガーマさん、エベレストに次ぐ世界第2位のK2を制覇


 登山家のバダムガラブ・ガンガーマさんは621日、エベレストに次ぐ世界第2位のK28611m)を制覇した。登頂の難しさでは世界最高峰のエベレスト(標高8848m)よりも上で、世界一登ることが難しい山(別名:死の山)とも言われる。これまで登山アプローチは2度あった。成功を収めたのは、ガンガーマさんだけだ。イタリアのアルデント・デジオ隊の2人が、1954年に初登頂を果たしてから337人が登頂に成功した。一方、84人が遭難・転落等の事故で死亡している。 


5.アジア防災閣僚級会合50カ国が集結


 73日から6日にかけて、モンゴル政府及び国連国際防災戦略事務局(UNISDR)の主催による「第2回アジア防災閣僚級会合」がウランバートル市で開催され、約50カ国の閣僚、国際機関など、あわせておよそ3000名が集結した。会合では、参加者が各国の防災取り組み推進とその成果、課題等について議論を行い、「ウランバートル宣言」、「地域防災計画2018年~20年」等が採択された。参加各国が2020年までにそれぞれの防災戦略及び計画を方策し、防災リスク削減に向けて財源確保、地域及び越境的な災害に対する管理体制づくり等の義務を負う。


6.世界が認めたモンゴル人たち


 世界に名だたるモンゴル芸能界代表と言えば、バリトン歌手のG.アリオンバートル氏、E.アマルトゥブシン氏であろう。これに加え、今年は新たなスターが誕生。バリトン歌手のCh.バドラル氏とE.アンフバヤル氏だ。バドラル氏は、イタリア・シエナにある名門キジアーナー音楽院主催「プレミア・キジアーナー2018」での最高賞「ゴールデン・スター」に輝いた。参加者はおよそ1870人だった。一方、同氏は、マチェラータ・オペラ・ハウスで公演されたジュゼッペ・ヴェルディ作「椿姫(ラ・トラヴィアータ)」のジョルジョ・ジェルモン役を演じた。エンフバヤル氏は、1213日~19日の間、ロシア開催の「ニコライ・リムスキー=コルサコフ国際オペラ・コンクール」で優勝を果たした。


7.関係国、要人らの訪モ


 今年は、ビナリ・ユルドゥルム・トルコ首相、ウルズラ・フォン・デア・ライエン独国防大臣らの各国要人による訪モが相次いだ。その中で、セルゲイ・ショイグ露国防大臣、王毅中国外務大臣、リ・ヨンホ北朝鮮外務大臣による訪問は、最も意義がある。王毅中国外務大臣は、823日~25日にかけて、モンゴルを訪問した。この訪問で、王外務大臣は、中国の無償資金協力による、建設費がおよそ3000万米㌦の障がい児育成センター建設工事、約3億米㌦のウランバートル新下水処理所建設を視察した。セルゲイ・ショイグ国防大臣による訪モは1018日にあった。同訪問で軍事・国防分野での長期協力に関する計画が署名され、装備などの提供が行われた。リ・ヨンホ北朝鮮外務大臣は128日~9日、モンゴル訪問を行った。


8.かつてのウイグル国都城で新たな発見


 科学アカデミー歴史・考古学研究所、モンゴル国立大学考古・人類学部、ドイツ考古学研究所の考古学チームは、2007年以降行っている「オルホン・プロジェクト」の一環で、8世紀~9世紀の間にモンゴルで栄えたウイグル国の都城「カラ・バルガスン遺跡」から都城の井戸を発見した。考古学上の大発見である。この発見は、城内での水供給に係るものとして初めてで、これまでに確認されていないものである。深さはおよそ12㍍。井戸底に今でも水がある。そのほか、この井戸から保存状態の良い、古い文字が刻まれた銅製の「鐘」、鉄製の「錠前」など貴重なものが発見された。


9.信用格上げ、銀行総資本は30兆トゥグルグ


 S&Pグローバル・レーティングは119日、モンゴルに対して長期発行体格付けを「B-」から「B」へ格上げした。また、流動性に対して「B」から「B+」に上げた。短期発行体格付けを「B」で維持した。格上げは、金融セクター振興をもたらした。銀行総資本は30兆トゥグルグを超え、国内大手商業銀行「ハーン」の総資本が8兆トゥグルグに達した。また、当期、国内商業銀行5社はその自己資産を1400億トゥグルグ増やした。一方、証券市場は時価総額が2015年に12000億であったが、本年はレンド・エム・エヌ社、モンゴル・バザルト社、アルド保険、マンダル保険の新規株式公開により、時価総額がおよそ23980億トゥグルグとなった。なお、政府は、エルデネス・タワントルゴイ社の株式30%を海外市場で公開する方針である。IPOで、海外市場からおよそ15億~60億米㌦を調達する見込みである。


10.世界に認められた外科医


 国立がん研究所のJ.チンブレン所長は、フランス外科アカデミーにより名誉会員が授与され、偉大な医者としてその名を医学界に刻んだ。1731年に創設されたフランス外科アカデミーの名誉会員は、アジア地域から3人目である。チンブレン氏は、2004年からフランス手術療法をモンゴルで広めた、国内がん手術の権威である。