第二次世界大戦で果たしたモンゴルの貢献

特集
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2020-11-02 16:10:10

 今年は第二次世界大戦の終結75周年にあたる。旧ソ連は1945年5月、第二次大戦末期のヤルタ会議合意に基づいて対日参戦を決定した。当時、モンゴル人民共和国は同盟国を支持。モンゴルの国家小会議と政府は1945年8月10日、「日本宣戦布告」を決定し、対日参戦に踏み切った。この旧満州作戦はおよそ150万㎢という広範囲に及び、広さで言うと、フランスやイタリア、日本の国土を合わせた相当になる。

 モンゴル・ソ連の対関東軍・軍事共同作戦には、モンゴル人民革命軍の第5,6,7,8騎兵師団、第7自動車化狙撃旅団、野戦重砲兵第3連隊、第3戦車連隊、通信連隊、特殊任務連隊、予備隊第9騎兵連隊、航空師団、国境警備隊、人民義勇軍などの総勢2万4000人が動員された。ロシア科学・文化センターで勝利75周年を記念した国際学会で、G.ミャグマルサンボー博士は、対日参戦はおよそ3カ月だったとし、「タムサグボラグやバヤントゥメンの駐留部隊は7月初旬から進行を始め、集合場所に向かった。各部隊は10月15日、駐留地に帰還した」と語った。モンゴル人民共和国の参戦意図は、ソ連指導部が北東アジアで力をふるまう関東軍を打撃するために戦略上の3つの作戦行動を採用しており、一つはタムサグボラグ方面から大攻撃することで、戦略的条件を利用することが参戦要件の一つとなった。もう一つは、モンゴル人民共和国が1936年の相互援助議定書上の義務を果たすことであった。


 解放戦争とモンゴルの独立

 モンゴルが1921年の人民革命の末、モンゴル人民共和国を設立したと、一般的に思われがちだが、実際には国家独立がソ連を除く諸外国の承認を受けられなかった。T.スフバータル歴史博士は「国際承認を得られなかった困難な時、対日参戦(注1)が行われた」と参戦状況について言及した。ソ連は1945年2月のヤルタ会議で対日参戦を約束しており、外モンゴルの現状維持を条件に参戦要請を受け入れたとスフバータル博士は語り、「対日参戦はモンゴル独立の国際承認へ大きく寄与した」とした。1945年7月、ホルロー・チョイバルサン元帥はソ連を訪れた際に大歓迎されたという。

 チョイバルサン元帥はモスクワでの首脳会談で、対日軍事作戦へのモンゴルの参戦について合意を取り付けた。これ

は独立主権、自ら軍事力を保持する主体であることを誇示するチャンスと捉え、まして国際承認へ結びつける狙いもあった。また、モンゴルにとって対日参戦を通じて戦勝国側に立つという大きな政治的な意義もあった。

注1:対日参戦という名称は日本側で定着しており、モンゴル側では「解放戦争」が一般的な名称となっている。

 モンゴル人民共和国の解放戦争参戦、その政治的意義

 スフバータル博士は「モンゴル人民共和国の参戦は軍事的というより政治的な意義が大きかった」と解放戦争の勝利意義について次のように語った。

 第二次世界大戦末期、モンゴル人民共和国は、国際的な知名度と存在感をアピールし、国家承認への第一歩を踏み出したこと。

 モンゴルは1936年の相互援助議定書を遵守し、世界平和維持へ貢献できたこと。

大戦後の1945年10月、モンゴルにおいて国民投票が行われ、投票者がほぼ100%の賛成率で独立を支持したこと。

モンゴルの現状維持は米国や英国などの同盟国によって承認されたこと。

 同盟国を重んじるモンゴル人

 解放戦争勝利はモンゴルのみならず、地域にとって大きな出来事だった。その結果、北東アジア諸国が解放され、独立国家へ導かれた。モンゴル・ソ連連合軍は旧満州や中国北東部、内モンゴルを解放し、中国の独立へ大きく関わった。後に、中華人民共和国は1949年、独立を宣言した。また、連合軍が対日軍事作戦で、中国人民解放軍と共闘していたことも、両国の軍事協力におけるはじめての一歩であった。

 モンゴルは戦時中、ソ連へ相互援助協定に基づく支援物資を送った。支援物資はソ連へ6回も移送されたという。モンゴル人は「モンゴルの革命家」と称される戦車旅団、「モンゴル人民」と称される戦闘機中隊、馬50万頭を前線に送った。結論を言うと、第二次世界大戦の勝利国となった結果、モンゴルが独立主権を勝ち取ったことはまぎれもなく真実であろう。モンゴル人は人類史上に最も悲惨だった戦争中に、共通の敵へ立ち向かった。モンゴル人歴史研究者も「第2次世界大戦の始まりが1939年のハルハ河戦争(㊟2)で、その終止符が解放戦争で打たれた」と結論する。「モンゴルは対日参戦で勝利した。これは国際関係において変化をもたらした。アジアの戦争を収束させ、平和をもたらし、東洋世界の諸国が自由への戦いを後押ししたことになる。


本社、社会評論家:B.アディヤフー