B.メンドサイハン氏: 既存のインフラを有効に活用することで、経済的利益を増やすことが最も重要

特集
bolormaa@montsame.gov.mn
2022-08-15 08:57:55


経済発展を目的に、特定地域に税制面や規制面の優遇措置を与える経済特区。中国の深センを筆頭に、東アジアや東南アジアには様々な経済特区がある。昨年の121日の内閣の決議第360号により、衛星都市・経済特区開発局を設立した。バヤルサイハン・メンドサイハン局長に、同局の今後の方針と実施策について聞いた。

――経済特区開発局は首都ウランバートル近郊の衛星都市と経済特区の設立において重要な役割を果たすと期待を集めていますが…

首都ウランバートルでは、社会的及び経済的に自立して発展するインセンティブは実際に不足しています。経済の多様化と地方分権化の枠組みの中で、単一中心都市から現代の多中心型の都市を目指し、首都近郊に衛星都市と経済特区を開発する必要があります。私たちの目標は、これらを実現することです。202178日の国会本会議で首都ウランバートルの法的地位に関する法律改正が採択された。この法改正により、首都の機能も変わっています。同局は衛星都市及び経済特区の税制上の優遇措置や規制緩和といった特別措置を含むその機能と役割、関連する作業を開始しています。

――世界中の多くの国々が、衛星都市と経済特区を設立することにより、首都と大都市が直面する課題を解決しています。過去の事例から学ぶことが沢山あると思いますが。

はい、良い事例は沢山あります。最も近いのは1979年に中国で設立されたアジアのシリコンバレーと呼ばれる深セン経済特区です。わずか30年で、小さな漁村が1400万人の国際都市に成長しました。外国資本や技術の積極的な誘致に力を入れたため、これまで何千人もの外国人投資家を魅了してきました。その結果として一人当たりGDP100倍になりました。深センでの政策が最適化されたため、中国の他の都市や地域はそれを直接招き、経済力のある大規模な地区や衛星都市が多数設立されました。

同局は、これまで首都衛星都市と経済特区に関連する事例研究、一般計画、データベース作成など、さまざまな内部及び外部の調査と分析作業を行なってきました。これから多様な生産とサービスを提供するために、再生可能エネルギーを使用し、官民パートナーシップの協力により衛星都市と経済特区を段階的に形成していきます。

――衛星都市はどこに計画されていますか?

モンゴルの長期開発計画「Vision-2050」は、衛星都市や地方地域にエンジニアリングインフラストラクチャの段階的に建設し、拡張する事を挙げています。また、2040年までのウランバートルの総合開発計画では、首都周辺11ヶ所に15の衛星都市が計画されています。

第一段階として、ナライハ、アルガラント・エメールト、ブヤント・ウハーという3つの場所に経済特区を設立する計画が開始されています。

――衛星都市や経済特区の計画を研究する際に、何に注意を払っていますか?

まず、首都のニーズを優先しています。私たちは、首都ニーズを特定し、それらに応えることが最も重要であると思っています。特に、じゃがいも、野菜、建材などを首都近隣で生産する機会となります。

第二に、十分に活用されていない既存のインフラを経済循環に持ち込み、有効に活用します。たとえば、新たに建設された13㌔のボグドハン鉄道から4㌔以内に、砂利を運ぶために使用されていたビオ・ソンギノの行き止まり鉄道があります。これらの2つの鉄道路線を接続することにより、別の新しい貨物路線として使用することが可能となります。

第三に、税制上の優遇措置や規制緩和といった特別措置を設けることで、主要経済の多様化を図り、居住地域としても活用することで、首都の渋滞問題を解決する仕組みを導入します。

――経済特区設立の枠組みは、中小・民間企業支援と関係しますが、今後はどういう分野の中小企業と協力する予定ですか。

モンゴル経済は鉱業に依存しています。過去、何年にもわたって経済の多様化といった議論はありましたが、まだ進展はありません。統計によると、我が国の総輸出額は92億米㌦を超え、その内約92%(85億米㌦)が鉱業関連の収益です。このような困難な状況の中で、私たちは民間セクターの代表者らと緊密に協力して、建設資材や軽工業、食品、農業、情報技術分野、再生可能エネルギーを支援することで、起業家にとって好ましい環境を作り上げたいと目指しています。

――これらの関連する法的位置づけに置いて経済特区の活動をどのように定義していますか。

ウランバートルの法的地位に関する法律第6章に、衛星都市と経済特区について明確な規定があります。その中で、法律の第39条は、特別ゾーンの設立に関する5つの主要な方向性を定義し、情報技術、観光、文化とレクリエーション、軽工業、航空機サービス、組み立て、保管、温室農業の分野で、国際基準に従って確立し、発展させることが計画されています。第42条には、特別ゾーンの税制サポートに関する詳細な規定と、第43条に、非税制サポートに関する規定があります。

――税制及び非税制のサポートとはどういう意味ですか?

経済特区では、アルコール飲料とタバコの生産を除き、税制及び非税制のサポートが設けられます。税制上の支援には、土地税、不動産税、市民税の免税が含まれます。小中事業主において、光熱費などの諸経費は大きな圧力となるが、特別ゾーンでは常費用の支払いを免除する等の非課税のサポートが提供されます。また、事業に必要な書類や許可証を一点で入手できるよう、衛星都市管理事務所を設置する予定です。言い換えれば、国内外の投資を行う企業が事業活動を開始する際に、数ヶ月から数年にわたる手間を解消し、政府サービスをより緊密にすることを目的としています。

――衛星都市・経済特区開発局は設立して間もないですが、大きなプロジェクトを実現しようとしていますね。ご成功をお祈りしています。

ありがとうございます。市民の方々に情報を提供する機会を与えてくださった事に感謝します。一般的に、多国間支援、官民パートナーシップ及び協力は都市開発の主な推進力と見なされています。したがって、同局の扉は、市民、コミュニティ、起業家、あらゆる分野の科学者や研究者との協力に常に開かれているということを最後に言いたいです。


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