アジア開発銀行の都市開発専門家アルノ・エクマン氏: ゲル集落の開発に精一杯尽力する

特集
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2021-05-17 09:47:09

 アジア開発銀行(ADB)の実施による「UB市のゲル集落を開発する資金支援」事業の枠組みでウランバートル市のゲル集落において6つのサブ・センターを建設し、このサブ・センターを主体にゲル集落の開発を進める。ADBと欧州投資銀行(EIB)のソフトローン提供を受けているこの事業の実施期間は10年で、3段階からなる。第1段階でUB市北部の集落におけるバヤンホショー、セルべの2つのサブセンター開発・建築工事がほぼ完了し、事業の第2段階となるデンジーンミャンガ、ダムバダルジャーのサブセンター開発が進行中。そこで、この事業の詳細についてアルノ・エクマン都市開発専門家にインタビューした。

 ――「UB市のゲル集落を開発する資金支援」事業の目標と融資について詳細をお聞きしたいです。

この事業はADBの支援によりモンゴルで実施されている大規模事業の1つです。UB市市役所とADBが共同で提案しました。UB市人口の60%が住んでいるゲル集落でインフラ整備を行う場合、住民のニーズに対応するほどの開発は不可能です。この状況を配慮し、この事業を展開しました。事業実施に必要な資金は3億4400万㌦で、EIBは協調融資をしています。この事業を通してゲル集落の住民に必須サービスを提供するとともに、彼らの収入にあった住宅から成る、環境に優しく、住み心地が良い、アクセスしやすい地域としてゲル集落を開発することを目指しています。これで、ゲル集落の6つの地域でインフラ整備、社会・経済施設、公共場所で構成するサブセンターを建築しています。ゲル集落の住民、特に弱者が長年間、困難な状況で暮らしてきました。冬季は火を燃やす、水、燃料を運ぶ、家を温める、遠い所から仕事に行くなどは、住民の負担となり、自分の仕事、家族、健康に費やす時間が短かくなります。一方で、土地を所有している住民も多く、彼らにとって大きなメリットです。上下水道、舗装道路、ケーブル、電気通信、電気、暖房などのインフラを整備することは、住民の所有地の評価を高め、将来、使用できる資産を作っています。

 ――インフラ整備の他、ゲル集落の社会・経済環境はどのように変わりますか。

公共施設を建設し、住民の生活を改善します。公共施設には幼稚園、ビジネスインキュベーター、公共センター、スポーツ施設、遊園地の他、家庭内暴力の被害者を保護するセンターも含まれています。UB市役所との共同でこの6つのサブセンターを雇用提供と他の活動を行える経済センターにするつもりです。例えば: バヤンホショー、セルべのサブセンターにおけるビジネスインキュベーターでワンストップセンターを設置しました。これで、この周辺の住民は約100余りの公共サービスが受けられ、わざわざ都市部に行く必要がなくなりました。ゲル集落でインフラ整備を拡張するとともに、通過水パイプを修復し、UB市上下水道公社でこのパイプの管理システムを設置しました。さらに、中央下水処理場の処理、水処理能力、構造改善を支援し、ゲル集落でインフラ整備を行えるため、このように包括的な活動を行っています。

 ――この事業はUB市のマスタープラン計画に組み込まれたのですか。

 はい、既に組み込まれており、サブセンター開発はゲル集落の発展における重要な戦略の1つとなっています。このような事業はゲル集落における問題を特定する他、ここでのいろいろな機会を見つけることにも重要です。都心に住んでいる人々はゲル集落の範囲と生活環境についてほとんど知識がないことに少し驚きます。ゲル集落のような定住型を改善するのはUB市の都市計画に直面している難しい課題の1つだと思います。課題の範囲によると、数多くの支援、解決が必要となっています。ゲル集落でインフラを整備するのに、相当な時間がかかります。開発パートナー、政府、市民団体、NGOの参加は不可欠だと思います。

 ――この事業の第1段階となるバヤンホショー、セルべでサブセンタ―の開発課題はどのように進んでいますか。

 この2つのサブセンターにおける社会・経済施設の建築工事はほぼ完了しました。幼稚園とビジネスインキュベータが既に開業しました。この辺にある学校、政府機関、保健センターを中央ヒーティングシステムに接続し、大量の汚染物質を排出する暖房ボイラーをやめる活動が進んでいます。第2段階で幼稚園、遊園地、スポーツ施設が建設されます。

この事業をモンゴル政府が良く支援していることを改めて強調したいです。この事業が始まってから政府は3回、首都知事が5回、他の関係者が何回も変わったにも関わらず、この事業の意義や実施に対する政府の支援に変化はなかったです。


 ――第2段階であるデンジーンミャンガ、ダンバダルジャーにおけるサブセンターの建築進捗率については。

 この2つのセンターの建築が進んでいます。コロナ禍の影響で進捗率が遅くなったが、今夏からより早く進むと思います。建築工事を2023年に完了する予定です。この2年間、コロナ禍の影響で、多くの人々が極めて困難な状況に直面しました。これにも関わらず、この事業を成功裡に終了させるため、ADB、UB市役所をはじめとする全ての関係機関は力を尽くします。

 ――現在、モンゴルで「グリーン住宅」事業が実施されている。これは「UB市のゲル集落を開発する資金支援」の継続事業ですか。

 そうです。「グリーン住宅」事業の目的は収入源が異なる1万世帯を対象とした住宅を建築し、ゲル集落の100㌶面積で炭素の災害に強い建築物からなるエコ地区を開発することです。エコ地区の各ブロックで賃貸住宅、手頃な価格の住宅、市場価格で販売される住宅が建築されます。これらの住宅地で緑地、貿易・商業エリア、自由時間を過ごす広場、社会施設などを充実させます。また、ゲル集落の住民が自分の土地をアパートと交換できる形で進めています。この事業は始まったばかりで、第1段階のエコ地区の建築工事は来年から開始すると期待されています。もちろん、結構時間がかかると思います。

 ――ありがとうございました。今後の活躍を期待しております。