地方博物館に保存されている貴重な展示品

モンゴルについて
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2020-08-14 14:19:56

 モンゴル文化遺産を尊敬し、研究している学者や次世代を担う若者、子ども向けにモンゴル博物館に保存されている貴重な展示を紹介すべく、今回、地方の博物館にある展示を紹介する。

 銀装飾りの銅製バケツ

モンゴルの有名な職人のM.バルダン・オソル氏によりスフバートル県を宣伝する「10日間の文化芸術」キャンペーンのために制作された銅製バケツ。バケツの周りに三つの銅バンドがあり、銅の蓋と銀のハンドルがある。上端と下端に湾曲したパターンの真ん中にあるホラ貝は銀を使って作られた。真ん中にはフレームとして四つの花びらの間に5畜が銀で作られている。バケツの外側の正方形の名付には「スフバートル県の文化芸術」と書かれている。蓋は七つの花びらの花柄で、中央にオガルジ模様(丸みを帯びた曲線の装飾模様)が施されている。

 細工が施された鞍

 モンゴルのカザフ族が使用してきた馬具とその製造方法は、国内の他の民族とよく似ているが、異なる特徴もある。カザフ族の鞍の長さと幅はモンゴルのどのタイプの鞍よりも長い。サドルは、その製造方法とその形状によってケレー(ヘリー)とナイマン、その使用形式により普段用と装飾用に男性、女性、子ども用に分類される。

 女性の鞍はおくるみの赤ちゃんを運ぶ快適さを考え、男性用サドルよりも大きく作られる。カザフ族の遊牧文化を表現するこの鞍は、現在、バヤン・ウルギー県の地方博物館に保管されている。金箔鞍と呼ばれ、巧妙な職人技で作られた貴重な展示品とされている。鉄で作られ、その装飾品は銀でメッキされ、金のコーティングが施されている。

 この鞍は、結婚に贈られた20世紀初頭の若い女性用に特別に制作された。


 サオケレという頭飾り

 バヤン・ウルギー県博物館に保管されている貴重な工芸品の一つは長いストリップが付いた伝統的なサオケレという頭飾りだ。サオケレの頭飾りは結婚する女性が出産するまで着用する伝統がある。展示品は1960年に同県ボルガン郡の地方民によって博物館コレクションに寄贈されていた。綿、フェルト、ベルベットおよびサンゴなどの素材で作られたこの頭飾りは20世紀初頭に属する。ハイクラウンのヘッドドレスは外側に赤い模様のコットン素材、内側に斜めの模様のコットン素材で作られている。帽子の前面には7.5㌢の黒い縁で、上部が開いており、内側はフェルトの作り。頭飾りの両側に長さ22.5㌢の赤いリボンと12x15.5㌢の黒い耳フラップがあり、後ろ側に長4さ58㌢の三角形の耳覆いがある。


 19世紀に属する翡翠の食器

 アルハンガイ県の博物館に保管されている最も貴重な展示物の一つは、19世紀から20世紀に属するこの特別な翡翠の食器である。食器の周りに六つのドラゴンが巧みに彫られている。食器の重量は765㌘。第6世ザヤゲゲーン教師のダムチャー僧侶がこの食器を使用していた。収蔵品は1996年にウルジート郡のD.テグシブヤントさんにより同博物館に引き渡された。


 蓮の花の彫刻
 バヤンホンゴル県の博物館に保管されている満開の蓮の花だ。E.サンボー職人が作ったこの花は真鍮で作り、金でコーティングしたものだ。1㌔のものを上に置くと自動的に閉じるロックボタンがある。八つの花びらに八つの縁起物がそれぞれ配置されている。花、葉、雲などのさまざまな模様が付いている。幅9.7㌢、高さ28㌢、重さ3155グラム。

 八つの蓮の花の彫刻があったと言われているが、現在同博物館に保管されているのは2つだけで、別の彫刻はフレーマラル郡の地方研究ホールに保管されている。しかし、1975年に同郡の収蔵品がどうした経緯で取得されたかについての記録はない。現在、バヤンホンゴル県の博物館に保管されている花の彫刻は、元博物館のL.ユンデンバト館長が1961年にエルデネツォグト郡のネルグイ氏から400トゥグルグで購入していた。


 モンゴル貴族のドンボ

 モンゴルの貴族がこのドンボ(モンゴル伝統的な茶瓶)を使用していたという。特にホブト県に住んでいたザフチン族の貴族は伝統的なこのティーポットを一般的に使用していた。同県マンハンとゼレグの各郡の郡民は現在でも世代を超えて受け継がれているドンボを使用している。ドンボに入れたお茶は、長時間たっても熱さを逃さないという。


 正座する人と同じ高さの銅製ドンボ

 以前ホブド県ダルビ郡にあるデルゲリーン・チョイリーン修道院で使用されていた銅製ドンボ(モンゴル伝統的な茶瓶)は現在、ホブド県の博物館に保管されている。ドンボの容量は16リットル、重さは20㌔。身長が63.5㌢で座る人と同じくらい高いという点で独特であり、僧侶が聖歌や祈りをする間、主にお茶を提供する目的で使用された。博物館の関係者は19世紀にモンゴルの貴族がこのドンボを使用したことを強調した。

 200年の歴史を持つツォール楽器

 ホブド県の博物館には、長さ70㌢の竹製のツォール楽器(笛)が保管されている。公式筋によると、ツォールには200年以上の歴史がある。2010年にツォール演奏者のE.バートルジャブ氏がこの博物館に寄贈した。ツォール楽器は、モンゴル西部の多くの民族から今日まで文化遺産を継承した楽器だ。ツォールを弾くと、一端が歯に吹き付けられ、笛が鳴り、喉でホーミーのような音を立てる。アルタイのオリアンハイ族の市民にはツォールを使用する長い歴史があり。彼らはツォールのメロディーを演奏し、山の風、嵐の笛、草、水の音、馬とラクダを表現する。

 ツォールは緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一つであり、2009年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の緊急保護無形文化遺産リストに登録された。


 13世代を超えて受け継がれたトブショール楽器

 ホブド県の博物館には18世紀に使用された13世代を超えて受け継がれた木製トブショール楽器がある。この楽器は、同県ドート郡出身の有名なオリアンハイ語り手であるZ.レンツェンが使用した。 

 トブショール楽器は松の木でできており、山羊の毛があり、4〜5本の馬の尾で縒糸を作る。アルタイ・オリアンハイ、バヤド、トルゴード、ザフチン、ダルブドなどの多くの民族はトブショール楽器を使用している。