カラコルム博物館の貴重な展示物

モンゴルについて
gombosuren0625@gmail.com
2020-11-23 14:50:33

 貴重な有形文化遺産の1つは中世の世界最大首都として知られたモンゴ ル帝国の古都カラコルムの遺跡である。世界遺産であるオルホン渓谷の 文化的景観とカラコルム遺跡に関する歴史的な文化財の保護及び宣伝などを目的とし、2010年に日本政府 の無償援助により「カラコルム博物館」が設立された。 当初は同博物館にモンゴル科学アカデミー・考古学研究所からの99点の出土品が展示され、展示物の収集活動が開始された。常設展示ホール、企画展示ホール、外の展示 場がある。現在、この博物館には累計3128点の出土品が保管されているうち、8割以上は考古学的発見である。また、モンゴルの歴史と文化のユニークな記念物リストに登録された63点の展示もある。この博物館にはモンゴルの最初の国家フンヌ(匈奴)をはじめウィグル、契丹、モン ゴル帝国の歴史、文化遺産に関する遺物と前期旧石器時代~13世紀、14世紀までの面白い発見も保存されている。その中でカラコルム古都関連の貴重な展示物を紹介する。

 グユグ・ハーンの勅書 

 1245年にイタリアのプラノ・カルピニ修道士は教皇の使節としてモンゴルへ派遣された。カルピニは1246年の秋、グユグ・ハーン(モンゴル帝国の第3皇帝)に謁見し、ローマ教皇の書簡を手渡した。この書簡にはキリスト教への改宗を勧めていた。グユグ・ハーンの教皇あて返事は1246年11月初旬に用意され、ペルシア語とラテン語に翻訳され、2通あった。カルピニの報告書によるとロシアの職人コズマ・ハーンは グユグに作成しあげた印璽の銘文はグユグ・ハ ーンからローマ教皇インノケンティウス4世に宛てたこの勅書にも捺印されているという。こ の勅書は横の長さ120㌢、幅20㌢のでんぷん紙に書かれており、グユグ・ハーン勅書のバチカン図書館に現在も保存されている。モンゴル・ イタリア外交関係樹立に当たり、勅書の写しはカラコルム博物館に譲渡された。


 カラコルムの記念碑

 トゴーントゥムル治世中、1347年にある記念碑がカラコルムの遺跡にある大きいな石亀の背中に設置された。この記念碑の裏面にはモンゴル縦文字銘文、表面にはナンギアド語の銘文が あり、同じことが2つの異なる言語で書かれたのが研究者の調査で明らかになった。1380年に明朝軍がカラコルムを攻撃する時、この記念碑は壊されたとみなされる。記念碑の銘文にはモンゴル帝国の首都をオルホン渓谷に建設するチンギス・ハーンの命令、オゴデイ・ハーンの命令による「トゥメンアムガラント」宮殿の建設など歴史的な出来ことが書かれている。


 アユシリダラ・ハーンのパスパ文字付けの印璽 

 1371年にビレグト・ハン尊号を受け、モンゴル帝国の第16代ハーンとなったアユルシリダラ・ハーンの財務官僚に使用されていた印璽はカラコルムは博物館の貴重な展示物の1つである。この印璽のデザインとサイズは元王朝に関連する印璽と似ているが、この印璽の上部にある銘を見ればいつ、どこで作成されたのかがわかる。青銅製のこの印璽の重さは730㌘で、幅0.5㌢の枠にパスパ文字による3行の銘文がある。2001年に行 われたモンゴル・ドイツ合同チームの発掘調査でこの印璽は発見された。

 磁器像

 2003年のモンゴル・ドイツ合同発掘調査チームは白い粘土で作り、半透明釉を用いる青い琺瑯をかけた凝ったデザインの磁器像を発見した。最初はこの作品を土製獅子と推測していたが、最終的にライオンではなく、一種の神話の動物とされた。この磁器像は宋朝か元朝のものである。


 グトグ帽子をかぶった女性の石像

 研究者たちがこの石碑は古代の女王を描写していると推測している。この石像にかぶらせたボグトグ帽子は古代モンゴル女王がかぶっていたものだ。全ての石作品の中で女性の 石像の発見は珍しい。


 アミタバの土製像

 カラコルムの仏教寺院の発掘で数多くの土製仏像、小塔、建造物装飾が発見されたうち、阿弥陀仏(ブッダ・ア ミタバ)の土製像がある。この土製像が見つけられた所で五智如来 の彫像も出土された。


 迦陵頻伽の粘土像

 ハラホリン郡の住民であるN.オドフウさんと弟のO.アンガラグスレンさんがこの迦陵頻伽像を発見した。 (上半身は人で、下 半身は鳥の仏教における想像上の生物) 


 ソヨンボ文字付けの石碑

 この記念碑には16世紀前半にカラコルムで建設されたイスラム教修道院の歴史がペルシア語で書かれており、カラコルムに共存していた宗教派、特にイスラム教の歴史の研究に役立つ。その後、エレデネ・ゾーの僧侶達がこの石碑の銘文にソヨンボ文字を彫刻した。1686年に僧侶ボグド・ザナバザルが作成したこの文字を石碑に彫刻した唯一の遺産である。


 皇帝達の硬貨

 モンゴル帝国征服の結果、アジアとヨーロッパにまたがる偉大な帝国が創設されたことは世界の自由貿易地域の構築に大きな影響を与えた。チンギス・ハーンは貨幣製造の古代の伝統 を持つ国々を支配したことは、大皇帝達の名前が彫刻された硬貨発行のきっかけとなった。2002年~2005年の間、カラコルムの周辺で300個以上の銀製硬貨が発見され、現在、これらの硬 貨は同博物館の中央ホールに展示されている。その中で1237年~1238年にカラコルムで作られ、アラビア文字が書かれた銀製硬貨が一番高価で、ユニークな展示物である。この硬貨の表面 に「アッラー」という言葉が鋳造され、オゴデイ・ハーンのゲレゲ印章も捺印されている。