スフバートル県の民族学博物館の貴重な展示

モンゴルについて
gombosuren0625@gmail.com
2020-05-06 14:56:29

スフバートル県の民族学博物館に保管されている一連の貴重な展示を紹介する。スフバートル県は巧妙な技術を有する彫刻職人がいるので有名。同県の「ダリガング作り」は鍛冶屋や彫刻職人の間で知られている。

 底に動くドラゴンありの銀椀

 同県ダリガンガ郡の有名な鍛冶屋の1人であるダンバ・モロム氏が制作した銀椀だ。D.モロム鍛冶屋は、仏教の八宝、4人の強大な動物(ドラゴン、タカ、ライオン、トラ)およびトーノルジン模様などにドラゴンを組み合わせて彫刻することで優れている彫刻家だった。

 この銀椀は、彼のユニークなデザインの例だ。椀の底には動くドラゴンがあり、ドラゴンの裏には無限を象徴するトゥメンナサン模様が描かれている。銀椀の容量は1リットル。 モロム鍛冶屋は、「シャル・ダルハン( 黄色い鍛冶屋) 」として広く知られ、1898年にスフバートル県のバヤンデルゲル郡に生まれた。彼の父親のダムバさんは有名な職人であり、モロムさんは父からその巧妙さを受け継いだ。モロムさんは父親のスキルを受け継ぎ、編み物、掘り出しの銀器を作品した。

 ユニークなデザインのナイフ

 このナイフはJ.セングドー鍛冶屋は、鞘の片側に黄道帯の十二支、反対側に仏教の八宝を銀で削り、金メッキした。ナイフ鞘の上部に口が開いている2ドラゴンを彫刻し、赤珊瑚を嵌め込んでいるのが特徴。

 同作品は、1996年に開催された「モンゴル職人96」展に出展され、「ユニークなデザインのナイフ」として選ばれた。ダリガンガの有名な鍛冶屋の1人であるJ.セングドー氏は、赤珊瑚、真珠などの宝石を銀と組み合わせるのが特徴的で、他の鍛冶屋とは異なる。セングドーさんは1888年にスフバートル県アスガト郡生まれ。1908年に、20歳で彼は金細工の芸術に励み、1968年に亡くなった。 


 金属に琺瑯を施した銀椀

 20世紀の偉大な職人であるM.バルダン・オソルによって作られた金属に琺瑯を施した銀椀だ。椀底の凹み部分には琺瑯をエンボス加工した。そうすることで、ハンガリド鳥を描き、一対のドラゴンが雲の中で向かい合って描かれている。同銀椀は2杯作られ、両方も博物館に保管されている。カップの容量は1リットル。バルダン・オソル職人は、スフバートル県バヤンデルゲル郡に生まれた。同職人は11歳から鍛冶に興味があり、20歳から兄のツェベグスレンからお金を稼ぐ方法を教えられ、同県で最も有名な鍛冶屋の一人になった。 


 母親のために創った「黄金の椀」

 B.フレルバートル職人が磁器のカップに銀メッキを施し、金で覆った。彼の「お母さんが生きている間に黄金の椀から水を飲んでもらいたかった」という思いからこの作品が生まれた。モンゴルでは「生きさえすれば金椀から水を飲む(生きるとは金ほどの価値があるという意味)」ということわざがある。

 椀のデザインは、ドラゴン模様がある磁器カップに銀メッキを施し、金で覆った。椀の底には糸を編んでホロル模様を作り、中央に赤珊瑚を嵌め込んでいる。フレルバートル職人は、1981年に美術大学の職人学部を卒業した。 彼は金と銀で耳飾り、指輪、カップなどを作る職人だ。


 地名でロックする「コード化錠」

 シャラブ・ドンドブ職人によって作られた「コード化錠」は、言葉を作成し、ロックしたり、アンロックしたりする。例えば、「スフバートル」という言葉と数字の10を入力するとロックし、「ダリガンガ」という言葉と数字の10を入力するとロックされる。有名な職人のドンドブ氏はこれをスフバートル県を宣伝する「文化の10日間」のため作ったもので、1963年~1964年の間に作成された。また、同錠はモンゴル初のコード化錠になる。ドンドフ職人は1912年~1984年まで住んでいた。