地震の頻発化、昨年より30%多い
社会近年、特に2005年以降、専門家たちがモンゴルでの大地震発生に関して指摘している。それは、単なる警戒心によるものではない。というのは、モンゴルで地震が頻発し、そのマグニチュードも年々増していることが確認されているからだ。この度、国家安全保障評議会も大地震の発生確率について議論をしたばかりだ。今年は、通常より発生回数が多いという。年明けから8月末まで、前年の総回数より約30%も多くの約2万7850回の地震が観測された。その内、マグニチュード3.5以上の地震は47回で、直接揺れを感じたのは16回ある。揺れは年々強くなっているという。
モンゴルは地震に無縁な国というイメージがあるかもしれない。だが、世界各地で頻繁に起きている地震による悲惨な問題が、現実にこの国でも起き得ることを否定できない。モンゴルは急速に都市化が進み、多くの人々が都会に集中している。こんな過密都市に地震が襲ったら、壊滅的な打撃を受けるのは確実だ。大地震の発生とその被害などについて、モンゴル非常事態庁災害緊急対策部シニア専門官のZ.バトトゥルガ氏が「UB市周辺で、マグニチュード8以上の地震が発生した場合、市内にある建物の2割から5割が崩壊。市民の3割から6割が犠牲となる」と語っている。たった一回の大きな地震が来れば、都市人口の3割が犠牲となるというのだ。
UB市周辺には、活断層がいくつかある。UB市北西部エメールト集落、トゥブ県ホスタイ国立公園、トゥブ県セルゲレン郡の活断層だ。研究者たちは、これらの活断層が日頃から活発化しており、地震の発生の頻度とその強さも増えていると指摘する。昨年10月3日にグンジ郡を震源とするマグニチュード4.4の地震が専門家たちの結論を裏づけている。
突然、襲いかかってくる震災に対して心構えと対策が必要だ。UB市のマスター・プラン局建築安全課が、市内の各公共施設と集合住宅を対象に安全評価を行ったところ、市内オフィスビルの約103棟のうち12棟、病院関連のビル26棟のうち21棟、文化や商業施設401棟のうち117棟が耐震性に問題ありとされた。これほど地震対策が遅れているという。さらに、60年代~70年代に都市開発の一環として建てられたアパートもこれに加えられる。築年数が古い上、老朽化が著しいこれらのアパートは、現実に大地震が起きたら、倒壊するのは確かだ。イタリア中部を襲ったマグニチュード6.2の大地震から一つの教訓を得た。それは大地震に対して備えるべきだということ。つまり、建築物の耐震補強、ライフラインの防災対策、市民の防災意識と能力の向上である。
地震の活発化について、モンゴル科学アカデミーの天文学・地球物理学研究所のS.デンベレル所長に聞いてみた。
-2016年度、モンゴルで地震が頻発しているといわれていますが、一体年間に何回くらい発生していますか?
平均して2万5000回です。今年の8月末で、これまでの平均を上回る約2万7850回に上っている。震源地からみると、地震はモンゴル・アルタイ山脈、ウーレグ湖、ブスイン川、モゴド付近で活発化している。
-近年、UB市周辺で地震が頻発しているようですが、それは本当ですか?
2005年からUB市周辺、つまり、中心から半径150kmの円内での地震発生が急増した。この10年間で2005年以前と比べると、地震発生回数が約2~10倍も増えた。ほとんどがマグニチュード2以下のものであったが、最近、市民も体感できるほどの地震が4~6回ぐらいあった。今年に起きた地震の740件(65%)が西部エメールト付近を震源としている。
-UB市において地震計は何カ所にありますか?
1 9 9 4 年~ 2 0 0 0 年にかけて、UB市で地震計15機をフランスとアメリカの地震学者らと共同で設置した。UB市周辺では32機がある。
-地震を事前に感知できますか?
事前の感知は不可能だ。地震発生から地震計が感知し、その情報が非常事態庁に送られる。それが警報として流される。住民が強い揺れを感じる約3 0 秒前に知らせる。ただ、UB市付近で発生した場合は、知らせることが出来ない。
-事前に感知できないということですが、震災から身を守る方法は?
まず、地震に強い建物を建てることだ。うちの研究所では、地震被害想定も行っている。都市付近で地震発生だと仮定して、その被害を想定し、対策は耐震性の高い建物や施設を建てることしかない。また、都市計画と人口密度を正しく把握した上で、危機管理マネジメントを正確に行うなどの方法もある。人口密集地帯のUB市の場合は大変だ。大地震によって引き起こされる火災で壊滅的な被害を受ける確率が高い。特に、ゲル地区の問題が深刻だ。
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